【序幕・第1章】次女花穂襲来すっ 後編!

1.未洗濯のパンツは回収してくださいっ!

 授業が終わって帰宅すると、玄関に花穂姉ちゃんの靴がない。

おそらく、生徒会の仕事で学校に居残っているのだろう。


(生徒会長っていろいろ大変そうだな……)


 学校での花穂姉ちゃんは、常に猫をかぶっている。

入学したての頃、学校で姉にボソリと耳打ちしてやったことがある。


「花穂姉ちゃんさ、家と違ってすげえ猫かぶってるよな?」

「蒼太……あんた、チンチン皮かぶってるよね? 次、言うと家で――」


 要するに、その一言に凝縮されているのだ。

余計なことは学校で口にするな、言えば家に帰ってお仕置きよ……と。


 プライベートと人がいる場面では、誰でも性格を多少なりとも変えるものだ。

花穂姉ちゃんの場合、もうサナギが蝶チョウに変態するかのごとく変貌する。


 学校では自慢の姉、容姿端麗で成績優秀な生徒会長として既に有名人。

家ではスキあらば弟を襲おうとする超ブラコン変態姉ちゃん。









◆◆◆◆◆◆








 しばらくリビングでくつろいだあと、二階の自室へと戻ることにした。

通学バッグを置いて、ブレザーを脱いでゴロリとベッドに寝転がる。


「紗月姉がいたら、花穂姉ちゃんの暴走もおさまるんだけどな……」


 大学生の紗月姉は、隣県で寮暮らしをしながら通学している。

そう遠くないのだが、入学したてで忙しい。

帰ってくるのは連休や盆正月になるだろうと言っていた。


(ゴールデンウィークにはみんな帰って来るかな?)


 ゴールデンウィークは毎年家族でどこかしら遊びに行く。

今年はどこへ行って、姉二人になにをされるんだろうと辟易する。

そんな先のことを考えながら、いつの間にか眠りについていた……





 股間付近の違和感で目が覚める。

どうやら俺の携帯電話がポケットで振動しているようだ。


「ふぁぁい……もす……もし? アホ姉ちゃんか、今日遅いの?」

『花穂か・ほねっ! 蒼太寝てたの?』

「うん……ちょっと寝てたな。姉ちゃんはまだ学校?」

『もうすぐ帰るよ! 夕飯の買い物して帰るからねっ!』


 それだけ言ってプツッと電話を切ってしまった。

時計を見ると午後六時過ぎ、外が少し薄暗くなってきた。


 学校から家までは、徒歩で一〇分程度の道のりだ。

しかし、姉は買い物に行くと言っていた。帰り道とは反対方向だ。

姫咲駅近くのスーパーで食材を買って帰るつもりだろう。


「ちょっと掃除でもするか」


 家事全般を負担する花穂姉ちゃんの補助は主に掃除をすること。

掃除は姉二人の部屋以外はほぼ全部屋担当している。


(とりあえず、俺の部屋から片付けるか)


 それほど散らかっているわけではないが……

昨日から出しっぱなしの雑誌やゲーム機を片付けないといけない。


 エロ本の隠し場所は工夫しても意味がない。

だから、あえてベタなベッドの下やシーツの中に隠す。

姉二人は俺が不在のときに侵入して、エロ本やDVDを必ず発見する。

趣味や趣向が姉たちには筒抜けというわけだ。





 掃除機をかけながら、ゲーム機のコードを巻いているときだった。

床の上に見慣れないものが落っこちている。昨日はなかったはずだ。


「これは……花穂姉ちゃんのシュシュか?」


 真っ白い薄手の布で、ゴムを通したようなものをよく見てみると……


(――そういや昨晩、姉ちゃん穿いてなかったもんなぁ)


 花穂姉ちゃんのパンツが丸まって落ちていたのだ。

それを拾い上げてみると、少し甘ったるい匂いが鼻を突いた。


「すんすん……この匂い、姉ちゃんの香水の匂いか?」



 パンツを手に取ってビロンと広げてみる。小さな白いパンツだ。

股の布地の内側に、シミが少々付着している。

深呼吸をするようにその部分に鼻を擦り付けて嗅いでみると……


「花穂姉ちゃんのアソコの匂いかな……すごい興奮する」


 嗅いでいる二重布の部分に姉の性器が乗っかっていたはずだ。

そんな妄想をしていると、下半身が無意識に反応中。


 何分経過しただろうか。

ひたすら花穂姉ちゃんのパンツを嗅いでいる俺。


 ふと我に返ったとき、閉めたはずのドアが開いて人の手が見えて……

部屋の入り口で何者かが端末を構えている!


「蒼太っ! そのパンツ欲しいの? あげようか?」


 ピョンと飛び跳ねるように、部屋の入り口に花穂姉ちゃんが出現。


「うわっ! もう帰ってたの!? 花穂姉ちゃん……頼むから脱いだパンツは回収しろっ!」

「その割にはクンクン犬みたいに匂い嗅いでたよ?」

「嗅いでないって!」

「証拠ー!」


 こちらに端末の液晶を向けて、さっきの様子を再生している……


「これで蒼太の弱みを握ったわけねっ! じゃ、さっそくベロチューをしてから、ベッドインねっ! あ、避妊具まだ買ってないからナマになっちゃうけどいいかな?」

「なに言ってんだよ! 絶対却下なっ!」



 これはいったい、なんのハニートラップなんだろうか。

姉が見せる端末の画面には、パンツを嗅ぐ俺の姿が映されていた……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー