第98話【狭い喫茶店での話】

気落ちしながらギルドの外に出るミンとハック。


「立ち聞きされて貰いましたよ」


ギルドのドアの後ろに立っていたトーホク。


「トーホクさん」

「貴方は?」

「失礼、私、ここのギルドと新聞記者を兼業しているトーホクと言います

以後お見知りおきを」

「はぁ・・・」

「ミンさん、と仰いましたよね?ドンちゃんの態度と言い少し気になります

少々お話をお聞かせして貰っても宜しいでしょうか?

ひょっとしたら御力になれるかもしれない」

「・・・分かりました、では喫茶店にでも・・・」

「えぇ、では私の行きつけに行きましょうか」


トーホクの行きつけの喫茶店に向かう三人。


「・・・トーホクさん、ここですか?」


せまっ苦しい喫茶店で座る三人。


「狭い・・・」

「私は結構好きなんですがね・・・おススメはドライカレーです」

「コーヒーじゃないんですか・・・」

「結構込み入った話なので御飯食べないで下さい・・・」

「おでぶちゃんは食べたいにょ」


ポーチから顔を出すでぶ妖精。


「角砂糖あげるから黙ってなさい」

「はーい」

「さて、ミンさん、貴女とドンちゃんの関係について教えて貰っても良いですか?」


記者の目付きでミンに話を振るトーホク。


「えぇ・・・まずドンちゃんの過去についてどれ位知っていますか?」

「俺はあんまり知らないです」

「私は彼が昔は有名な鍛冶屋の跡取り候補で跡取り対決に敗れて

神州進撃会に来たって話は聞いた事が有ります」

「そんな過去が有ったとは・・・」

「・・・そこまで知っているのですか・・・深い仲、なんですね」

「酒の入った席でしたし、何処まで本当か知らないですけどね」

「・・・私はドンちゃんとは幼馴染でした、元々私の家は剣術の名家で

私はそこの一人娘、ドンちゃんとカチ、ドンちゃんの弟は良く

私の遊び相手になってくれたんですよ」

「ほう、そのカチと言うのが鍛冶屋の跡取り候補の対抗馬、と言う事ですかね?」

「えぇ・・・」

「ドンちゃん程の鍛冶職人を負かすとなると相当な実力者・・・ですね?」

「ドンさんってそんなに凄い鍛冶職人なんですか?」


ハックが空気を読まずに尋ねる。


「何時も酒盛りしている酒とかつまみとか大体はドンちゃん持ちだ

ドンちゃんが包丁を打てば高値で買い取って貰える逸品になるからな」

「包丁?今、彼は包丁を打って居るんですか?」

「主に包丁、ですね、鋏とか、他にも日用品を作っています」

「嘆かわしい・・・」

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