第26話【鯖じゃねぇのか】

レストランの席の一つに食べかけの焼き鯖と御飯が置いて有り

モーニングはもっしゃもっしゃと食べ始めた


「・・・鯖、お好きなんですか?」

「勿論、だから鯖レストランを開いたんだが、正直失敗だったかもしれない」

「何故?」

「だって客が俺から鯖を持って行くじゃないか、金と引き換えとは言え腹立つ」

「ははは・・・」

「で?俺に何の用だ?」

「実はちょっと買って欲しい物が有りまして・・・」


モーニングの鯖を食べる箸が止まる


「鯖か?」

「いえ、鯖じゃないです」

「鯖じゃねぇのか・・・じゃあ鯖関係の何某か?」

「いえ、鯖関係無いです・・・」

「関係ねぇのか・・・原材料が鯖で出来ているとかか?」

「いえ、そういう事もないです・・・」

「無いのか・・・鯖と抱き合わせ販売か?」

「いえ、鯖は抱き合わせじゃないです」

「そうか、じゃあ買う意味は無いな・・・商売下手だなお前」

「うーん、一応冒険者でギルドの仕事で今日は伺ったので

物売るトーク力は無いんですよ」

「ギルド?」

「都の神州進撃会ってギルドをやっています」

「都のギルドか、覚えておこう、だがしかし鯖関係無い物は買いたくないからお引き取り願おう」

「あ、すみません」

「良いって事よ、因みに何を売りに来たんだ?」

「鎧と兜と盾と足甲です」

「また妙な物を売りに来たな・・・年代物か?」

「ええ、はい、そうなります・・・かね?」

「年代物なら大昔から有る老舗に売りに行ったら如何だ?

俺が昔修行していた【竜神の顎】と言う店が有る、そこに行ってみると良い」

「【竜神の顎】ですね、分かりました」


ハック達は鯖レストランから出ると教えて貰った店まで行った


「・・・何だこりゃ?」


教えられた店の場所には巨大な骨?の様な物が有った

一応【竜神の顎】と言う看板は有ったがこれが店なのか?と首を傾げた


「君もこの店に来たのか」

「トーホクさん」


後ろからやって来たトーホクの声に振り返るハック


「この店は古代の龍の化石をそのまま店舗にしたこの街では老舗の店なんだ」

「へぇ・・・何だか高級そうですが」

「店自体は高級店では無いらしいよ、平々凡々されど腕が有る、と言う感じだ」

「・・・それにしてはお客さんが居ませんね?」

「休業日なんだろ、ほら」


確かに店の看板には月・水・木曜日休日と書いてある


「・・・週三日休むって何か変な気が・・・」

「確かに可笑しい気もするがとりあえず中に入って見よう」

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