第61話 氷結の大魔法使い
「みんな聞いてくれ。町を救う事になった。今度の作戦はフィオレラに無理をしてもらう事になる。町を救う価値が無いと思うなら止めてもいい」
「教会長は家族みたいに思ってますし、他にも大切な人が沢山います」
「そうだな。俺も親方や女将さんなど世話になった人は沢山いる。ドラゴンの時にも逃げようと思ったが結局逃げなかった」
「やりましょう。どんな事をすれば良いですか?」
「みんなにも手伝ってもらう」
「はい、やる」
「聖騎士だから民を救うのであればいやはない」
作戦はこうだ。
ワイバーンの群れの進路上に餌を置いておびき寄せる。
餌を食っている時、隠れていて冷却のスキルを辺り一帯に掛ける。
動きが鈍ったところを大量の魔力ゴーレムの一斉魔法で攻撃。
魔力ゴーレムの攻撃は特大の魔石で作った魔力障壁の魔道具で防ぐ。
傷を負ったワイバーンをギルドで集めた低ランクの手勢で蹴散らす。
早速準備にかかった。
餌を置いておびき寄せる場所をギルドと相談して決める。
生活魔法の冷却を使える人を紹介してもらう。
フィオレラにスキルを覚えてもらった。
おびき寄せる場所の中央に隠れる為の穴を掘る。
ハンターには餌を狩ってもらう。
俺のパーティは魔力ゴーレムを沢山作る為に森のあちこちを駆けずり回る。
ビオンダさんが不思議がっていたが、秘術の為に魔力集めていると言ったら納得した。
ゴーレムを作ってスキルを入れる為にフィオレラには無限魔力を何回も使わせてしまう。
危ない行為だとは分かっているがしょうがない。
魔力ゴーレムからスキルを入れられれば良かったんだが出来ないみたいだ。
コピーからコピーは駄目って事か。
同じ理由なのか魔力ゴーレムに魔力放出させて魔石に充填するのも出来ない。
魔力放出の魔道具から魔石に魔力を充填するのは出来た。
魔石は生物なんだな。
思念が無いとコピーは無理と推測する。
準備は整った。
後は一人で穴に隠れ待つだけだ。
「みんな行って来るぞ」
「ギルドのみんなと少し離れた所にいます。危なくなったら、撤退の合図を出して下さい。絶対助けに行きます」
「約束があるうちは死んだら駄目だ」
「貴君は勇敢だ。少し見直した」
フィオレラと抱き合いキスをする。
こんな時だ良いだろう。
フラグを立てた気もしたが、気にせず魔力ゴーレムと穴に隠れ蓋をする。
待つ時間はなんで長く感じるんだろう。
どれぐらい待ったかワイバーンの鳴き声が聞こえてきた。
魔力ゴーレムを使い冷却を掛ける。
大分気温が下がったので、用意していた防寒着を着込む。
蓋の覗き穴から外を見る。
爬虫類みたいだから冷やしてみたが、あれ予想外に効いてるぞ。
ワイバーンは瞬きをして眠気をこらえている。
もう少し待ってみるか。
冷却を掛けながら少し待つとワイバーンは丸くなり寝ているようだ。
思い切って穴から出て辺りを見回す。
これ魔法攻撃したら、一斉に起き出して逆効果じゃないか。
どうする。
そうだもっと冷たくしよう。
魔力ゴーレムを使い水魔法で液体窒素みたいな冷たい物を作り出しワイバーンに掛ける。
水魔法はワイバーンに当ると魔力障壁によって魔力にかえっていく。
問題ない。
空気や周りの地面は冷えている。
魔力ゴーレムを何度も取替えながら水魔法を執拗に掛けた。
魔力ゴーレムが尽きるかワイバーンの魔力が尽きるか勝負だ。
遂にワイバーンの中の一体の魔力が尽き凍り始めた。
もう少しだ。
やった全てのワイバーンが凍りついた。
攻撃成功の合図を魔石銃で送り離れた場所にいる手勢を呼ぶ。
「どうなったシロク」
「ギルドマスター、水魔法で死んでいると思いますが、念の為今の内に魔石は取り出した方が良いでしょう」
「だいぶ冷える」
「ワイバーンも冷たくなっているから注意して下さい」
「分かった後は任せろ。おう、お前ら作業にかかるぞ」
大勢の低ランクハンターがワイバーンの解体にかかる。
大魔法使いだという声が上がると共に氷結の魔法使いだという声も聞こえる。
人ごみから数人こちらに駆け寄ってくる。
「シロクさん無事で良かった」
「フィオレラ心配をかけた。これでSランクだ」
「シロクさん、おめでたい」
「ありがとう、ローレッタ」
「貴君は本当に悪運がすごい。きっとどんな戦いでも生き残れるぞ」
「ありがとうビオンダさん、みんな心配を掛けた。これからも危ない場面はあるだろうけど、みんなで乗り切っていこう。さあ凱旋だ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます