第47話 俺の考えた最強の必殺技

「フィオレラ、魔力ゴーレムを作ってくれない?」

「分析で周りの魔力を感じてそれをゴーレムにすれば良いのですね」

「ああ、それからフィオレラのスキルで必要なのを紙に書いた。それもゴーレムに入れてくれ」

「【ゴーレム作成】できました」

「すごいぞ。辺り一帯の魔力がゴーレムになっている。俺の百倍以上の魔力だ」


 周りに魔力が無くなって健康に被害が出ないだろうか。

 今度から魔力ゴーレムを作るのは人のいない所にしよう。

 必要なスキルをゴーレムに入れてもらう。




 準備は整った。さあ出発だ。

 東門から外に出てしばらく進むと次第に草木が減り更に進むと荒野になる。

 ここはオーガの領域と呼ばれている。


「この辺りで試験しようか」

「何も無い所ですね」

「鳥も殆ど飛んでね。狩りには不向きだの」


「まあ魔獣以外の生き物は殆どいない。雨期になると一斉に花畑になるらしいが」

「それはすごそうですね。見てみたいです」

「花畑はだの。村ば思い出しそうだ」


「この領域の魔獣はワイバーンの領域に匹敵する強さだから、今までこれなかった。次の雨期には来てみよう」

「二人のデートにはぴったりです」

「ずるいフィオレラ。三人でいくべよ」

「そうだな、三人で行こう。そろそろ始めるぞ」




 自爆攻撃は目標がいないとどうも締まらないから、まずはトルネードだ。


「よしやるぞ。【風魔法】我ながら凄い」


 十五メートル先に出現する竜巻は怖い。

 自分で制御しているのが分かるから逃げ出さないが。


「砂埃酷すぎだ。森でやると被害が凄そうだ」

「これに太刀打ちできる魔獣なんているのかな」

「次は加速砲だ。遠くに大岩が見えるからあそこに打ち込もう。【念動】弾を入れるぞ」


 特別に作ってもらった魔鉄の弾丸は凄まじい空気を切り裂く音と共に爆音を響かせた。


「凄いです師匠。大岩の上の方が砕けてます」

「こいだばドラゴンも落とへそうだの」

「弱点はある。設置に何秒か掛かるから早い敵には当らない。真ん中を狙ったのにずれた。そうか回転を加えてないからか。練習が必要だ」




 音に引き寄せられたのか魔獣が走り寄ってくるのが遠くに見える。


「あれはメタルリザードだな」

「どんな魔獣なんです?」

「硬いだけのでかい蜥蜴だ。この領域の魔獣は硬いのが多い。そろそろ迎撃しよう。厚いトーチカだ」


 ちょうどいい。

 寄ってきた魔獣に自爆攻撃を試す。


「ローレッタ手を出すなよ。俺がやる」


 メタルリザードがかなり迫ってきた。

 近くで見ると凄い迫力だ。

 そろそろか。


「【雷魔法】。眩しい。そうだ後でサングラス作ってもらおう」


 バリバリと音を立てて自爆魔法が炸裂した。

 魔力ゴーレムは健在だ。

 自爆しないのか名前を考えねば。

 辺りには焦げた臭いが立ち込める。




「凄いです。ところでこれどうするんです」

「放置するのは勿体ないよな」

「そうですお金は大事です」

「フィオレラ、泥ゴーレム作ってくれ。遅くなるがそれで運ぼう」


「はい【ゴーレム作成】【ゴーレム操作】」

「フィオレラと俺はゴーレムの操作で警戒が出来ない。ローレッタ頼むぞ」

「分かった」

「町に戻ろう」


 自爆魔法の名前を考えなきゃ。

 至近距離から撃つ魔法という事でゼロレンジ魔法と呼ぼう。




 そんな事を考えていたら、ローレッタが警戒の声を上げた。


「オーガが来る。どすべ」

「どれどれ遠いな良く見えたな。よし加速砲の練習だ」


 加速砲を連続して打ち出す。なかなか当らない。三百メートルぐらいに近づいてきた。

 加速砲の長さがそれぐらいなのでこの距離なら外さない。加速砲を撃つ。


「うえ、三百メートル離れているのに血が飛んできた」

「帰ったら、鎧を洗わないと」


 フィオレラの意見に賛成だ。


「こいだばオーガはじぇんこにならんね」

「一応魔石を探そう」

「「えっ」」

「嫌か。そうだな責任持って俺が探す」


 魔力ゴーレムをいったん解除して泥ゴーレムを作りだす。

 泥ゴーレムにオーガの肉塊を探らせる。


「あったぞ。これで今日はかなり稼いだな」




 泥ゴーレムを解除して再び魔力ゴーレムを操作する。


「よし行くぞ」


 町につくとメタルリザードに驚かれた。

 こいつは魔術で体を硬くするから物理攻撃は効かないと買取所のおっさんが話してくれた。

 体を硬くする魔術なんてのがあるのか。

 魔力ゴーレムに覚えさせたら、武器持てないかな。

 スキルで同じのがあるのなら道場だな。

 二人と別れ道場に行く。




「こんにちは、師範今日はちょっとした頼みがありまして」

「おうなんだ言ってみろ」

「体を硬くするスキルがあるという事を聞きました。そういうスキルを持っている人がいたら、見たいなと」

「拒絶と言うスキルだ。木刀でも打たれると痛いだろ。そういうのを極端に嫌がる人がおぼえる。臆病者のスキルなんて言う奴もいるが、なかなか使えるぞ」

「拒絶という事は魔法なんかも耐えるのです?」

「おう、ある程度軽減するな」

「ぜひ見たいですね」




 スキルを持っている人が模擬戦をするのを見せてもらう。

 分析してみる。

 なるほど他人の魔力を拒絶するのか。深く分析すると対戦相手の木刀も魔力が薄っすらと宿っている。

 仕組みは分かった。家で色々試してみよう。




「師範ありがとうございました」

「まあ、こんな事ならどうって事ないが、なんでスキルを見たいんだ」

「スキルの研究を趣味でやってまして色々なスキルを拝見してます」

「本でも書くのか。酔狂だ」

「そんなところです」




 道場を後にして家に帰る。


「フィオレラ、覚えて貰いたいスキルがある。拒絶だ」

「楽しくなさそうなスキルですね」


「名前は悪いが優れ物のスキルだぞ。魔力を帯びた物をある程度跳ね返す。防御特化のフィオレラにぴったりだ」

「それなら覚えます教えて下さい」


 拒絶の説明をする。




「どうだ、出来そう?」

「やってみます。庭で小石を投げて下さい」


 庭に出て小石をフィオレラに投げる。

 普通に当ったが成功しているのか。


「どんな感じだ」

「石が当った感触がありません。不思議です」

「そうか訓練してアビリティをスキルにしてくれ」


 これで手札が更に増えるといいな。




 次の日になった。


「フィオレラ、拒絶は覚えた?」

「ええ、ばっちりです」

「よし早速ゴーレムに覚えさせるぞ」


 ゴーレムの準備をする。


「【拒絶】。とりあえず杖ゴーレムでも持たせてみるか。あれ、すり抜けたぞ」


 すり抜けたという事は俺の魔力は駄目って事か。


「フィオレラの物を何かゴーレムに渡してもらえないか」

「はい、これでいいです?」


 魔石をフィオレラはゴーレムに渡した。

 ゴーレムの手の上に魔石が載っている成功だ。

 その後色々試したがどうも魔力ゴーレムは力があまりないみたいだ。

 武器は軽くしないといけない。

 とりあえず魔力ゴーレムは前衛もこなせるようになった。

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