第34話 銃ゴーレム

 俺のスケジュールはこんな感じだ。

 起床朝飯。→魔道具を作る。→昼飯を食べる。→商業ギルドへ行く。→馬ゴーレムの練習又は道場。→スキル練習。→夕飯就寝。


 ちなみに二人に聞いたところのスケジュールは。

 フィオレラの場合。

 起床朝飯。→魔道具と水筒を作る。→昼飯を食べる。→馬ゴーレムの練習。→スキル練習。→夕飯就寝。


 ローレッタの場合。

 起床朝飯。→薬作り。→弓の練習。→昼飯を食べる。→薬作り。→投げナイフの練習。→薬作り。→夕飯就寝。


 一週間に一度は買い物などをする休みを入れ。こんな感じで二十日程経った朝。




「師匠大変です」

「フィオレラ何が大変なんだ」

「ローレッタにスキルが有ります」

「おう早いな。二ヶ月以上かかると思ってた」

「そうではなくて遠目というスキルです」

「筋力強化でないという事は正規ルートで覚えたのか」


 もしかして、アビリティを教える必要なかった。

 余計な事したかな。

 弟子にしたのは間違ってなかったよな。

 あのままなら野垂れ死にだったろう。

 弟子にしたなら今更だ。

 戦力強化になったのを喜ぶとするか。


 遠目ってどんなスキルだったっけ。

 そうだ射手が覚えやすいスキルだった。

 確か能力はレーザーサイトとスコープを足して二で割った様なスキルだ。

 レーザーサイトは着弾地点を赤い光で知らせるという物で緑の色の光など色々種類がある。

 スコープは望遠鏡に十字の印が入って見える物だ。

 レーザーサイトとスコープか何か引っかかる。


 そうだ銃だ。

 なんでゴーレムで銃を作るのを思いつかなかったのだろう。

 思い立ったら吉日だ。


「ローレッタにおめでとうを言っておいてくれ。商業ギルドに行く」


 商業ギルドで借金をしてミスリルのインゴットを三本と鉛を買う。

 杖ゴーレムの借金返せてないのにやってしまった。しかたない成り上がる為の必要経費だ。

 家に帰り、銃ゴーレムの作成に取り掛かる。


「【ゴーレム作成】。おおっ、ついている頭と手足が間抜けだが銃だ」


 なぜ銃をゴーレムで作ったかと言うと、黒色火薬ぐらい作れると思うが、銃作るために工作機械作れとか言われても無理だ。

 更に雷管は無理だろう。

 結局弾薬は不可能と言える。


 雷管と言うのは弾薬後部にある叩くと発火する仕組みだ。

 雷管の内部には発火薬が入っている。


「急に出て行ったと思ったら、何を作ったのです?」

「また妙だ物ば無駄遣いして」

「ローレッタ、初スキルおめでとう。これはな銃ゴーレムだ携帯できる遠距離武器では最強だと思いたい」

「使っているところを見たいです」

「弓より凄いだが」

「みんなで試射に行くぞ。その前に準備がいる」


 弾丸を鉛でフィオレラの変形でいろんなサイズを作ってもらう。

 杭を用意して西門から森へ向かう。

 森の近くの適当な所に杭を打ち銃ゴーレムを固定する。

 弾丸をセットして発射できる状態にした。


「【ゴーレム操作】撃つぞ。その前にフィオレラ土魔法で石の壁出してくれ」


 フィオレラに壁を出してもらい。

 ゴーレムを遠隔操作して銃ゴーレムの薬室で魔術を使い爆発を起こす。


「やっぱりな破裂したか。ゴーレムを修理していろんな条件でためすぞ」


 試す事、数十回、やっと安定して前に弾丸を飛ばす事ができた。


「手に持って試すのはちょっと怖いがやるか【ゴーレム操作】発射」


 うまくいった。何回か木に向かって撃つ。


「ライフルリングも再現しただけあって命中率はいい。魔法だの魔術には劣るが威力もまあまあだ」

「筋力強化で撃った矢より強そうだの」

「これはまだ最終段階ではなくてな。対物ライフル級のと言っても分からないだろうから、要するにもっと威力の高い物を作る予定だ」

「それが完成したら、ドラゴンでも倒せそうですね」

「ドラゴンはどうかなオーガとかワイバーンぐらいは倒せるといいな」


「遠目のスキル試してはんで曇りの日に狩りにでましょうよ」

「そうするか。銃ゴーレムも試せるし一石二鳥だ。そうだいっその事石で馬ゴーレム作るか。そうすればそのテストもできる」

「今日はローレッタをギルドで登録して帰るか?」

「ハンターギルドに登録してだ」


 ハンターギルドに行きローレッタを登録する。


「パーティ登録したいと思うがどうする」

「そうですね。私はハンター登録するつもりはないですから、これまで通りに助っ人という事で」

 フィオレラが答える。


「格好いい名前こがだ」

「そうだな、豪雷なんてどうだ」

「どった意図で名前こ付けだんだが」

「フラッシュバンにはお世話になったから、光と轟音という事で名づけた」

「んだの。と思う」

「よし登録しよう」


 ローレッタとパーティ登録をする。

 チーム豪雷結成記念の宴会をせねば。たまには外食しよう。

 少し品の良いレストランでローレッタのお祝い兼チーム結成記念の会を開いた。




 そして日は替わり、次の日。

 馬ゴーレムを作り、わくわくしながら曇りの日を待つ。

 今日は久しぶりの晴れだ。

 雨期の終わりも近いのか。


「よし、狩りだ。最初にローレッタの遠目を試す」

「「はい」」


 西門を出てゴブリンの領域に行く。


「馬ゴーレムの扱いが大分上手くなったな」

「はい、いっぱい練習しましたから」

「ゴブリンを探そう」

「【魔力探知】あちらに一匹居ると思います」

「ローレッタ準備は良い?」

「はい何時でもいける」




「見つけだ【遠目】」


 気合と共にローレッタが矢を放つ。矢は目に突き刺さるが死なない。

 ゴブリンは目に刺さった矢を抜こうとして痛みに悶えている。

 俺が魔術で止めを刺す。




「命中精度が良くても子供用の弓ではな」

「あのスキルどアビリティ同時発動は出来ねですか?」

「俺は挑戦したけど、無理だったどっちかが切れる」

「駄目元でやってみる。【遠目】」


 ローレッタは背負っていた強弓を取るとスキルを発動して弓を引いて構えた。


「出来てるのか」

「はい、遠目のスキルも筋力強化のアビリティも同時さ行えら。後二つぐらいアビリティ追加しても大丈夫だ」


 なんで出来るんだ。

 そう言えばヤギウの伝説にも複数のスキルを同時に操ったって有った。

 器用ならできるという事か。


「フィオレラは同時発動出来る?」

「何回か試しましたが一回も成功しません」


 スキル同士の同時発動も無理なんだよな。脳にある魔力回路の仕様だと思うから仕方が無い。


「ローレッタ、コツとか有るのか?」

「んだね思考ば分ける。宴会芸ど一緒だ」


 そんな事してたのか。チートが居る。

 俺の存在意義が、俺のチートは知識チートだ。

 そういう事にしておこう。

 分析もあるし。


「じゃあ、ローレッタ貫通のアビリティを教えとく」


 貫通のアビリティを説明する。


「貫通は筋力強化より簡単そうだ。やってみる【遠目】」


 ローレッタがスキルとアビリティ二つを同時に使って矢を放つ。

 矢は木を貫通しどこかに飛んでいったみたいだ。


「すごい威力だ」

「魔力がもう有らね。筋力強化が切れだ」

「魔力が少ないのはしょうがない三つ同時は切り札だ」

「そす」

「よし今度は銃ゴーレムを使うぞ」




 ゴブリンを探す。今度は二匹みたいだ。

 気づいていないゴブリンの一匹を膝撃ちの体勢で銃ゴーレムを撃つ。

 銃声と共にゴブリンの頭に穴が空く。

 良い調子だ。


 二匹目は銃声を聞いて全速力で駆けてくる。

 当り易い胴体を狙う。

 撃つ、外した。

 ゴブリンも弓を相手にする事で学習したのかジグザグに移動する。


 撃つ、また外した。

 足を狙ってみたが外した。

 かなり近づいた。

 今度はどうだ。


 胴体を狙う。

 ようやく当たった。

 急所に当たったのか崩れ落ちたゴブリンは動かない。




 動いている的は当たらない。

 練習が必要だ。

 弾丸の装填は問題ない。

 ゴーレムを動かし、一秒に二発は撃てる。


 魔力消費も問題ない。

 一発当たりの魔力は炎の矢とさほど変わらない。


「ローレッタ投げナイフも試してみない?」

「んだの。いっぱい練習したはんで」


 ゴブリンを探す。

 一匹いたみたいだ。


「少しは魔力回復しただろう。筋力強化して投げてみろ」

「はいそす」

「いたなあそこだ」


 ゴブリンが近寄ってくるまでローレッタは待つつもりだ。

 ゴブリンはまたジグザグに駆けて来る。

 十五メートル程になった時、気合と共に投げた。

 見事額にふかぶかと刺さる。


「この距離なら外さね」

「お見事。二人とも帰る?」

「はい」

「魔力も切れだし」


 今度野営の訓練の時、鳥とか撃って銃ゴーレムの練習しよう。

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