第二部 成り上がり編
第27話 馬ゴーレム
さっそく朝一でフィオレラに土魔法をコピーしてもらう。
だがそう上手くはいかなかった。
土魔法は発動できない。
なぜだ、やっぱり無属性と言う事なのだろう。
ローレッタが洗浄をコピーしてもらって上機嫌で出かけようとしているのを捕まえる。
「ローレッタ、これから弓買いに行くんだよな。だったら、投げナイフも買わないか?」
ローレッタには物理攻撃を極めてもらいたい。
弓以外の中距離から遠距離といったら、投げナイフぐらいしか思い浮かばなかった。
「んだね
「庭が狭いから弓の練習は出来ないので投げナイフの練習をしてほしい。筋力強化の訓練にもちょうど良い」
「はい、いっぱい練習す。では行ってく」
ローレッタが出かけたのでフィオレラを連れ庭に出る。
「フィオレラ、魔力探知かけてみてくれ。家の周りに怪しい奴いないか?」
「【魔力探知】周りに人はいません」
ギルドマスターは凄い疑ってた。
俺なら監視付けるけど、どうも違ったみたいだ。
俺の考えすぎか。
「いきなり変な事言ってすまない。それでせっかく休みだ。しかし、フィオレラには馬ゴーレムを試してもらいたい」
馬ゴーレムはゴーレム商隊や貴族の馬車などで主に使われているゴーレムだ。
安定性は良いが、慣れるまで操るのがとても難しい。
熟練者は二頭同時に操ると言うがそこまでいくと職人芸だ。
「はいやってみます。【ゴーレム作成】【ゴーレム操作】」
泥で馬ゴーレムが出来上がる。
さっそく歩かせているが前足と後ろ足が同じ動きだ何かが違う。
そして、曲がろうとして失敗している。
「初めてにしては上手い。後で石でゴーレムを作ろう。今日は休みだから明日から本格的に練習しよう」
「なんで馬ゴーレムが必要か聞いていいですか?」
「ワイバーンの領域は木の間隔が狭くて大型のストーンゴーレムは移動できない。荷物運びとして馬ゴーレムが最適なんだ。慣れるのに時間が掛かるから練習あるのみだ」
そうだ、露店に飯食うついでに味覚強化を見てこよう。
「あのー串焼き三十本買うから味覚強化を使っているところを見せてもらえません?」
「お兄さん変な注文する。さては料理人の卵だろ。スキル見たからって料理は上達しないぞ」
「駄目です?」
「味や手順は盗む物だ。まあ、先輩として見せてやらん事もない。いくぞ【味覚強化】ふむタレはいつもの味だ」
やっぱり舌に魔力を纏わせて味を知りたいというイメージで味覚強化を実現している。今日のスキル訓練の時にフィオレラに教えよう。
「ありがとうございました」
「おう、頑張って修行しろよ」
余った串焼きは処分の為に孤児院に差し入れる事にした。
家に帰り、腹ごなしに馬ゴーレムを色々試していると、ローレッタが帰ってきた。
「馬ゴーレムだか。商隊でいぐ見かけだ」
「ちょっと練習してた。弓は買った所で試したか」
「筋力強化すごいだの。クロスボウより威力が出はだ」
「今日中に確かめたい事がある。筋力強化のアビリティがどれだけの時間できるか試してほしい」
「具体的に何ばへば」
「そうだな、筋力強化掛けて薪割りだ」
裏庭でローレッタに薪を割らせる。
「魔力切れだ」
「ローレッタの魔力量だと大体二時間だ。弓を引くときだけ使えばいいから充分使える。明日から今日買ってきた弓に切り替えよう」
日は替わり。
ストーンゴーレムを連れずに泥の馬ゴーレムで狩りに出た。
「どうだ、フィオレラ、なんとかなりそう?」
フィオレラが操る馬ゴーレムはフラフラとして安定してなかった。
木の根に躓いたり危なっかしくてしょうがない。
「だめですね。操れる気がしません」
「馬ゴーレムは捨てていこう。操作は後でプロに教わろう」
「そうしましょう」
「せっかく狩りに来たのだからローレッタの弓を試していこう。魔獣を探そう」
魔獣は見つかったが、数が少し問題だった。その数十一匹。
「トーチカと鉄条網だ。ローレッタ魔獣が見えたら、ドンドン撃っていいぞ」
魔獣が見えたと思った瞬間にローレッタの矢で倒れている。
フラッシュバンの出番がない。
「フンッフン♪シッ」
鼻歌を歌いながら上機嫌で撃っている。
正面の四匹程倒したら、魔獣は引き上げていった。
「やっぱりウインドウルフだったか。もう一狩りいくか」
しばらく、魔獣を探す。
魔獣を見つけた。
この特徴的な足音はオークだな。
ストーンゴーレムは無いが、フラッシュバンで何とかなるだろう。
「厚いトーチカだ。ローレッタ先制攻撃してみろ」
ローレッタは近づいてくるオークに素早く連続して矢を放つ。
矢筒から引き抜いて撃つまでが速い器用なんだな。
「両目に当たっている。絶好調だなローレッタ」
炎の槍で止めを刺す。
オークは崩れるように息絶えた。
「もったいなかった。ストーンゴーレム持ってくれば良かった。魔石を取ったら、帰ろう」
馬ゴーレムは駄目だったが、ローレッタはかなり戦力アップになった。
次の日になり狩りは休みなので商業ギルドに行くことにした。
受付でクリフォードを呼び出す。
「こんにちは、クリフォードさん」
「今日はどうされました」
「お願いが幾つか有ります。変形のスキルを持った職人を紹介してもらいたいのと。馬ゴーレムを習いたいので何方か紹介してくれませんか」
「変形と言う事は又なにか新しい商品ですか紹介しましょう。馬ゴーレムの扱いに長けた人には一人心当たりがあります」
紹介状と地図を書いてもらう。
「ところで、こないだのスキルコピー屋上手くいきそうですか?」
ついでだから聞いておく。
「今店舗とか人員を確保している最中です。ですが一部の人にはとても感謝されています」
「というと」
「契約魔法は契約を
「それは良かったですね。問題とか起こってないです?」
「治安機関に契約確認のスキルを怪しい人に使うように通達したぐらいですかね」
そうか悪用される事も考えなきゃならないのか。
「その他には何かあります」
「条件を複雑にしたり。一度に沢山のスキルを許可しようとすると魔力をかなり消費します。現在条件はなるべく掛けない方向で検討しています」
「そんな事が一回の値段とかどうです?」
「スキル一つにつき大銀貨一枚ぐらいを目安にいこうと思っています」
日本円換算で数万円か。
いい値段だ。
「商売には詳しくないのでそちらはお任せします」
時間が余ったので馬ゴーレムの扱いに長けた人の所に行く。
尋ねて行った所、そこは南門の外の倉庫の脇の小屋だった。
「こんにちは、ゴーレム使いのシロクです。こちらに馬ゴーレム使いの人がいると聞いたのですが」
開けっ放しの小屋の中にいる。老人の男性に話かける。
「おう、昔取った杵柄でなんとかやっているデリックだ」
「何のお仕事をされているのですか?」
「馬ゴーレムの格納倉庫でゴーレムの管理をやっとる」
「紹介してもらったのですが、馬ゴーレムの使い方とか教えてもらえますか?」
「仕事の片手間なら。そうさな、一日銀貨五枚でいい」
「次の時に一人増える予定なんですが、その場合大銀貨一枚でいいですか?」
「それでいいぞ。大体毎日小屋にいるから暇な時来てくれ。一応聞いとくが、どのレベルまで習いたい」
「普通に歩ければ良いです」
「馬の歩き方は色々種類があって。一般的なのは
「どう違うんです」
「全部説明するのは面倒だから
「走る速さで歩き方が違うと言うことですか?」
「そういう事だ」
「荷物を載せたいだけなので
「そうだな、それがいいだろ」
「暇な時に又来ます」
ちょうど良い時間になったので家に戻る。
職人の所に行くのは今度の休みだ。
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