第八章

第118話 異世界異文化交流編①〜決して変わらない荘厳荘の朝の風景

 * * *



『――とても衝撃的な会見内容でした。突如として公表された異世界の存在。そして実は歌手で女優でもある綾瀬川心深さんが、異世界の男性と結婚していたという事実が明らかになりました。大倉さん、これについてはいかがでしょう?』


『うん、ビックリですよね。以前から綾瀬川さんの電撃引退は所謂できちゃった婚だったんじゃないかと言われてましたけど、まあそれは正しかったわけだ。でもまさか、えーっと「マクマティカ」でしたっけ? 別の世界の男性と結婚してたなんてねえ』


『そうなんです、ポイントとなるのが、綾瀬川さんが結婚したお相手というのが、ただの一般人男性ではなく、異世界の王様というから驚きです。しかも普通の人間の方ではないというお話なんです』


『え、そうなんですか?』


『はい、こちらのフリップを御覧ください。これが政府によって公開された魔法世界マクマティカの地図です。総面積は地球の約1.7倍、公転周期や自転速度はとても地球に近いそうです』


『陸地広いですなあ』


『そうなんです、魔法世界マクマティカは三つの大きな大陸からできており、そのひとつひとつにはユーラシア大陸がすっぽりと入るほどの大きさなんです。まずは左のこちら、プリンキピア大陸といいまして、主に住んでいるのはヒト種族、私達人間と変わらないヒトたちが住んでいます。そして真ん中がヒルベルト大陸、ヒトよりも遥かに寿命の長い魔族種という方々が住んでいます。そして右側なんですが――』


『はあ、これ全部森ですか?』


『そのとおりです。全部森です。なんとアマゾンの50倍近い面積を持つのが魔の森と呼ばれる大陸です。こちらには沿岸部に獣人種と呼ばれる獣の特徴を多く持つ人々が住まわれているそうなんです。魔の森を開拓しながら暮らしているので、開拓民とも呼ばれているそうです』


『――説明ありがとうございます。CM明けもまだまだ異世界関連のニュースが続きます。次は綾瀬川心深さんの生い立ちから振り返っていきましょう』



 *



 俺こと衣笠伊織の朝は、女の子のいい匂いを胸いっぱいに吸い込むところから始まる。本日の匂いは――


「ティアだ」


「当たり。おはよご主人」


「うん、おはよう」


 俺の胸から顔を上げ、ティアがニッコリと微笑む。

 そして彼女はそのまま俺の胸に顔をくっつけると「す〜は〜」と深呼吸をした。


「熱いよ」


「ご主人の匂い。うちの匂いと混ざってええ感じえ」


「自分じゃ自分の匂いなんてわからないよ」


「それやったらうちの匂い嗅ぐ?」


 手をついてティアは上体を持ち上げた。

 Tシャツの中、ブラをしていないGカップの質量が大きく動く。

 そして俺の股の間に膝をついた彼女がグワッと顔に覆いかぶさってきた。


「ほら嗅いでみ?」


「いや、ちょっと待って。苦しい……!」


「ああ、堪忍。これでどない?」


「ちょうどいいです」


 俺の目の前にはしっとりと汗ばんだティアの胸元が。

 くんくんと匂いを嗅げば濃密なティアの香りしかしない。


「これ、本当に俺の匂い混ざってる? ティアのいい匂いしかしないんだけど?」


「えー、それやったらうちが嘘ついてる言うん?」


「そうは言わないけど……」


「それやったらもっとじっくり嗅いでみて」


「了解」


 俺はティアの細い腰を抱き寄せ、胸の谷間に――というか乳房そのものにダイブした。熱い。そして柔らかい。さらに言うならとても大きい。褐色のGカップに溺れてしまいそうだ。


「あは。夢中になってうちの匂いクンクンしてからに。可愛いなあうちらのご主人様は」


 言いながらティアは俺の頭を両手で抱きしめて撫でてくれる。

 手が触れたところがジンワリと熱くなる。

 まるで脳みそそのものを撫でられているようだ。


 俺はピタッと、おっぱいの海をかき分けていたのを止め、ティアの胸に耳を当てる。ドクンドクンと激しい早鐘の音が聞こえる。ああ、好きな女の子の心臓の音ってどうしてこんなに安心するんだろう。


「ほら、うちもずっとこうしてたいけど、もうええ加減起きんと。な、ご主人?」


「そうだな。もう起きないとな。でも最後に――」


 さっきからずーっと気になっていたこと。

 ティアのおっぱいに溺れている最中、ずっと俺の頬や口に当たっていたものがある。それは薄っすらとしたピンク色の突起であり、まるで物欲しそうに固く凝って自らの存在を主張しているようだった。


「えい」


「きゃッ!?」


 パクっとシャツの上から突起に吸い付いてみる。

 今までとは違う艶を帯びた悲鳴がティアから漏れた。


「ご、ご主人、あかんて。朝からそんなぁ……!」


 朝だろうが昼だろうが夜だろうが。

 そこにおっぱいがあれば夢中になるのが男であり、そこに可愛らしいポッチがあれば吸い付くのが俺という男である。


「ダメ、ご主人……みんなもう起きとるんやから、うちの声聞かれてまう……!」


「我慢して」


「が、我慢て。軽く言うてから――にぃ!?」


 カリッと、歯先でポッチを甘噛する。

 途端ティアの頭が跳ね上がり、細く美しい喉が目一杯逸らされる。


 ティアは自分の右手の人差指を噛むことで声を殺していた。

 褐色の肌が赤く染まり、ムワッとティアの身体から熱気が放たれる。

 ツツツっと、その目尻からは涙が一滴零れていた。


「ティア、お前ってヤツは――!」


「ご主人ッ!」


 俺の理性はあっさりと崩壊した。

 ここでやめるだって? そんな選択肢俺には選べない。

 朝だろうが学校があろうが、俺はやってやるぞ……!


 まずは右のポッチをチューチュー。


「あっあっあっ……!」


 次に左のポッチをカリカリ。


「ひっ、あっ、はぁ……!」


 そして最後は禁断のおっぱいを寄せての両方責め。


「ごしゅ、じんッ! うち、うち、もうダメぇ……!」


「ほっは、ろんろほい(よっしゃ、どんとこい)!」


 なんて幸せ。自分の愛撫で好きな女の子が感じてくれている。

 そしてさらなる高みへと導くことが出来る。

 これほどの快感があるだろうか。


 ティア、もっと乱れろ。乱れるんだ。

 俺の前であられもない声を上げ、だらしない顔をさらけ出せ。

 キミにそんな顔をさせられるのは俺だけに許された特権なのだ――!


「ひぐッ――――あっ、ああああッ……!」


 両手で自らの口を抑え、くぐもった悲鳴が上がる。

 ティアの全身がまるで鋼にでもなったみたいに固くなる。

 そして――


「――――はぁッ! はあ、はあ、はあああ……!」


 ボヒュっと息を吸い込む音がして、ゼイゼイとティアが荒い呼吸を繰り返す。

 全身が上気して発汗している。俺がそばだてるティアの胸はまるでF1のエンジンのように心臓が鳴っていた。


 少しやりすぎてしまったかな……?

 恐る恐る顔をあげると案の定、唇を尖らせたティアが俺を見下ろしていた。


「この、スケベご主人は……朝からこんなことしてからに」


「ご、ごめん」


「アホ、ここまでしておいて謝るなや。次はうちの番え」


 グワッと抱き寄せられ、そのまま回転する。

 俺を押し倒す形になったティアは真っ赤な顔で不敵に笑いながら、「こんなんいらん」と俺の唾液でびしょびしょになったシャツを脱ぎ捨てた。


 現れたのは褐色にピンクのポッチのティアの乳房。

 玉のような汗が首筋から胸の谷間を滑り落ちていく。


 美しい。例えようもないくらいの美しさだ。

 今の今まで俺の唾液で汚されていたというのに神々しささえ感じる。


「ん? ふふふ。ホンマに助平やねえご主人は」


 ぽーっとした俺の視線に気がついたのか。

 ティアはまるで見せつけるように自らの乳房を持ち上げた。


「おおお……!」


 下から持ち上げられ、綺麗なおっぱいが歪む。

 だがその歪み方さえも美しい。


 ティアはそのまま首を限界まで下向けて、俺の唾液が付着した自らのポッチをペロッと舐めた。やばい……エロすぎる!


「夢中になって見てからに。ほれほれこれはどない?」


「うわ、すごっ……!」


 ギュッと両腕を組み、腕の上におっぱいを乗せる。

 ダメだよ、そんなに持ち上げたら零れちゃうじゃないか……!


「こういうのはどない?」


「最高……!」


 さらにその状態のまま自らの身体を前後上下左右に揺らす。

 プルンプルン、ユッサユッサ、タユンタユンと。

 ティアのおっぱいは俺の視界内で暴虐の限りを尽くした。


「さらにこんなことまでするえ……」


「わわわっ!」


 俺の顔の両脇に手をついたティアが近づいてくる。

 顔に覆いかぶさってくるのはティアのおっぱい。略してティアパイだ。


 重力に従って下向きに形を変えながらも、ピンとしたハリを忘れない優秀なおっぱい。それこそがティアパイの真骨頂(?)である。


「ほれほれほれ……!」


「わわ、わわわ、うわわわっ!」


 頬をぶたれた。

 一回、二回、三回。

 おっぱいビンタだった。


「そんでさらに……パフパフっと」


「むぐ。ぐぐぐ……幸せ」


 ティアのおっぱいに顔が挟まれる。

 さらにその上からティアの腕に抱きしめられ、俺は息苦しさも忘れて「ハフハフ」と喘いだ。


 ……祖父さん、見てるかい? 俺は立派にやってるよ。

 極上の美少女がこんな大サービスをしてくれるような男に成長したよ。

 草葉の陰で見てくれてるかい……?


「うちのことぎょうさん気持ちよくしてくれたからなあ。今度はうちの方からもご主人を気持ちよくするえ」


「お願いします」


 何を躊躇う必要がある。

 何かいいことをしてもらったら、こちらからもしてあげたくなる。

 素晴らしい魚心と水心の精神である。


 だから俺は甘んじて受け入れる。

 ティアがこれからしてくれるという、何かとてつもなく気持ちいい行為を――


「そこまでだっ!」


「そこまでですっ!」


 ティアの手が俺の下半身に伸ばされた瞬間、バーンとドアが開かれ、二人の小柄な影が飛び込んできた。


 一人は金髪をお下げにし、長い耳が特徴的な美少女。

 もうひとりは赤毛のショートカットに猫耳と尻尾を持つ美少女である。


「危ないところだった。出歯亀に夢中になってこちらも気をやるところだった……!」


「リオさんっ! 今それは言わなくていいですようっ!」


 そう、エルフの戦士と赤猫娘のコンビだった。

 最近成長著しいメリアにより、本格的にバストサイズで上回られ、密かに枕を濡らしているリオと、もともと栄養状態が悪かっただけで環境さえまっとうならすくすくと身体も頭の中身も成長中のメリアである。


 その二人が部屋の中になだれ込んでくる。

 なんだか二人とも内股気味で、顔なんかも赤い様子だった。


「うわ、なんだこの部屋、とってもエロい匂いがするっ!」


「換気です。こんなエッチな匂いのお部屋にいるからエッチな気分になってしまうのです!」


 シャーッとカーテンを開き、メリアが窓を開ける。

 11月になって朝夕のひんやりとした空気が侵入してくる。

 ティアは「さぶっ、ご主人温めて」と俺に抱きついてきた。


「いい加減にしろ! 平日の朝はエロいことは程々にする取り決めだろっ!」


「そうです、旦那様に一回気持ちよくしてもらったんだから我慢してください!」


「なんでうちが気持ちよくなったこと、あんたらは知っとるん?」


 リオは「バカっ!」とメリアを見、メリアは「しまったです!」と天井を仰いだ。


「この覗き魔ども。ずっとドアの前で聞き耳立てとったんやね?」


「ち、違いますっ、聞き耳なんて! リオさんが魔法で――」


「バラすなーっ!」


 どうやらリオの水魔法を使って、部屋の中を覗いていたようだ。

 方法はわからないけど、レンズとか屈折とか色々できそうではある。


「あんたらなあ……一緒に混ざる?」


「望むところだっ!」


「やったっ!」


 ティアの提案にリオとメリアは飛び上がって喜んだ。

 嘘だろ俺、朝から4Pするのか――


「全部聞こえてるんだけど」


 そうは問屋がおろさなかった。

 これはどうも夷隅川問屋の娘さん、今日もごきげん麗しゅう。


「誰が夷隅川問屋よ。もうごはんできてるんだからみんな早く来て。いつまでも食べられないでしょう。あとティア、そのバカの目の毒だからおっぱい早くしまって」


「ははは、ご主人、うちばっかりしてもらって堪忍え……。今度はうちがご主人を気持ちよくするから楽しみにしててな」


 そう言ってティアは「チュ」と、本当に触れるだけのキスをした。

 脱ぎ捨てたTシャツで胸を隠しながらそそくさと出ていく。


「むう。まあ今日はティアの日だったから一番は仕方ない。私は二番目か」


 そうしてリオもまた、「チュウ」と挨拶にしては濃厚なフレンチなキスをする。


「あの、えと、芽依さんお先に!」


 そうしてメリアもまた「おはようございます」と言って「チュチュ」とキスをしてくれる。「ふっ」「えへへ」と笑いながらリオとメリアは部屋を出ていった。


「見せつけてくれるじゃない」


 室内には俺と芽依だけが残された。

 ジーッと半眼になった芽依が寝乱れた布団と俺とを見比べている。


「ちょっと立って」


「……はい」


 ここで逆らうことなど出来はしない。

 言われるがまま立ち上がると、襟首を掴まれて「はむ」とキスをされた。


 唇全体を芽依のプクッとした唇に覆われる。

 舌先が俺の唇を割り、その奥へと侵入を果たす。

 俺は熱くヌルリとした芽依の舌を受け入れ、しばしふたりで舌と舌とを絡め合う行為を楽しむ。


「……春になったら覚えてなさいよ。絶対合格してあんたとエッチするから……!」


 爛々と輝く瞳で宣言される。

 お兄ちゃんとしてはもっとこう、頬を赤らめて恥ずかしそうに言って欲しい。

 まるで喧嘩でもするみたいじゃないか……。


「ほら、さっさと朝ごはん食べるわよ」


「はーい」


 促されるまま共有食堂へと向かう。

 そこには美味そうな朝食の数々が。


 ハムエッグにウインナーが添えられ、千切りキャベツにポテトサラダ、ごはんに味噌汁、そしてほうれん草のおひたしと。まさに理想的なメニューがテーブルには並んでいた。


「あ、伊織様、おはようございます」


 振り向きつつ挨拶をしてくれるのはアリス。

 エプロン姿の彼女は鼻歌まじりでごきげんな様子だ。

 今や家族六人分の朝食も鼻歌まじりに作れてしまうほど、彼女の料理スキルは上がっている。


「おはようアリス。今日の朝飯も美味そうだね」


「ありがとうございます。あ、ちょっと今手が離せなくて、もう少し近づいて貰えますか?」


「うん?」


 チュッと。首を伸ばしたアリスが、洗い物の手を止めることなく俺にキスをする。


「さあ、みんなでいただきますをしましょうか」


「……そうだな」


 脱衣所で身支度を整えてきたティアが合流する。

 リオとメリアも席についた。

 芽依は全員分のお茶をグラスに注いで、俺の前にも置いてくれる。


「それじゃあ、いただきます」


「いただきますっ!」


「いただきます。食うぞ……!」


「いただきますぅ」


「いただきます」


「はい、召し上がれ」


 俺の掛け声と共に全員が唱和する。

 メリア、リオ、ティア、芽依が手を合わせ、それをニコニコとアリスが見守っている。


 これが我が家、衣笠ファミリーの毎朝の光景。

 例え異世界の存在が明るみになったとしても、決して変わることのない大切な毎朝の儀式である。


 続く。

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