第2章3 『盗賊』

「なぁエイヒ、護神龍ってのはどんなものなの?」


 キリユウ達一行は護神龍と言われるティナを探す事になったのだが、そもそも護神龍とは何なのか知らないキリユウ達。


「護神龍はな、俺様の国を護る神龍だ!」


「そのまんまだな!?」


「ティナは護神なんよ。とは言っても、元は風魔の神龍でな、代々風魔の巫女がティナに選ばれて、一族を護って来たんよ。数年前、龍鬼帝国りゅうきていこくに風魔が加わる時に盟約を交わして龍鬼帝国の護神龍になったんよ」


「ハクアは最年少で風魔の巫女に選ばれたんだぜっ!」


 代々ティナに選ばれてきた風魔の巫女、現在はハクアの事らしい。自分の事の様に胸を張って威張る様な素振りを見せるエイヒにハクアも苦笑い。


「まぁ、護神言ってもウチの友達なんやけどな? 少し目を離していた隙に、いなくなってしもぉて……」


 悲しそうにうつむくハクア。それを見たエイヒもまた悲しそうな顔をしている。ハクアにとってティナがどれだけ大事か思い知らされる。


「手掛かりとかあんのか? エイヒ」


「この辺で有名な盗賊団だ!」


「うみゅ? 盗賊団?」


「盗賊だったら洞窟とか川辺とかだな」


「何でそんなに詳しいんだよルナ、お前盗賊だったの!?」


「んな訳あるか」


 ルナはキャラバンを襲う盗賊も多いため、盗賊がいそうな場所を把握しているとの事。ルナはエイヒに心当たりはないかと聞く。


「洞窟なら滝壺の近くにあるはずです」


「案内しろ」


 ルナの問いかけにエイヒは、思い当たらなかったようでハクアが代わりに心当たりのある洞窟へと案内してくれる事になった。ルナの予想が洞窟と川辺が近くにあるという事は盗賊にとって恰好の場所だ。洞窟の場所を知るハクアは、ティナの居場所が分かったと途端早く助けたいのか、少し焦っている様だった。

 そして、木々を迷う事なく進み、滝壺たきつぼの近くに到達した。ここからはルナが先陣を切るのか、前へと出る。滝壺の近くに洞窟があるのが分かる。

 その近くには昼間だというのに酒を飲み、戯れている盗賊らしき姿が見られる。

 後少しでティナに会える事が嬉しいのか、走り出そうとするハクアをルナが止める。


「どうするんだよ、ルナ」


「俺が先陣を切る、フィアナは後方からフォロー頼む」


「うみゅっ」


「エイヒとハクアはフィアナに任せる。後はキリユウが何とかするだろ」


「え? 僕に何をしろと?」


「よし、行くぞっ」


 ルナはキリユウに何を期待しているのか、それとも何も期待していないのか。御構い無しで盗賊団へと突っ込むルナ。


「何だ貴様っ」


斬撃の疾風波ラフ・エアレイドっ」


 斬撃の風を盗賊に向け、後先考えずに突っ込むルナ。ルナに視線が入っていることを良い事に、キリユウは盗賊達の間を縫って洞窟の中へと潜り込む。二十程の盗賊達を相手に、ルナは淡々と薙刀で風を操り相手のバランスを崩し、薙刀で一人一人確実に気絶させて行く。

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