64日目

「…あの、ナナシさん」俺たちはすでにドラゴンが住むという山の麓までたどり着いていた。その日の夜、ルメラが不安そうに俺に訊ねる。「その…ナナシさんは、ドラゴンを倒したことがあるんですか?」…ドラゴンなんて倒したどころか、そもそも見たことがないのだ。俺は力なく首を横にふる。すると、ルメラは以前と同様に青ざめた顔で俺を見る。「…じゃあ、勝てる見込みはあるんですか?」ルメラは不安そうな顔で言う。「いや、ないよ。でも俺はリオナを…」「む、無理ですよ!」俺が最後まで言い終わらないうちにルメラは叫んだ。その表情を見て俺はようやく、ルメラが本気でドラゴンに恐怖していることを理解したのだった。

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