ぼっち姫、必殺の一撃。
「儂は……何をすればいいのじゃ?」
俺はめりにゃんに、俺の考えていた方法を伝える。
「なるほど……分かったのじゃ。しかし、メディファスは本当に大丈夫なのかのう?」
『めりにゃん様。心配は無用です。思い切りやって下さい』
めりにゃん様、か。
個体名ヒルデガルダ・メリニャン。から随分進化したもんだぜ。
でもこの二人が居ればなんとかなるかもしれない。
いや、なんとかしないといけない。
「面白い。面白いわ貴方達。次は何を見せてくれるの? その全てを受け切って無力さを味あわせてあげるわ」
メアの目つきが鋭くなり、その両手に今まで以上の魔力の高まりを感じる。
あいつも本気を出してくる気だろう。
それを上回れるかどうか、俺達の力を見せてやろうぜ。
めりにゃんがそっと目を閉じ、魔力を集中させる。
かなり大きなのをかますつもりのようだ。
メディファス、頼むから耐えてくれよ!
「いくのじゃ。
めりにゃんが俺の手を握ったまま、メディファスの刀身に手を触れて魔法をかける。
メディファスの身体が微振動し、凄まじい発光の後、根本から切っ先まで魔力で満たされていく。
「魔法剣……アーティファクトを剣に変えて超極大威力の魔法を上乗せしたのね。素晴らしいわ。魔法の知識はあれどこういう応用はやはり実践でこそ培われる物ね」
余裕かましてられるのも今のうちだぜ。
赤とも青とも黄色とも判別しにくい色に目まぐるしく輝きながら『いけます』とメディファスが告げたのを合図に、俺はメアに向かって全力で突き進み、小細工は抜きで思い切りその頭目掛けて振り下ろした。
めりにゃんも一緒にメディファスを握り、絶えず魔力を注ぎ続けてくれている。
いきあたりばったりだが、だからこそ、メアが油断している今だからこそ一発で決める。
次はまともに受けてくれるとは限らないのだからこのチャンスで仕留める!
最初で最後の一撃!
後の事なんて考えない。
全力。全力だ。
これが俺達の全てだ!!
「うおりゃぁぁぁっ!! くたばりやがれ!!」
「ぐっ……」
メアが今度は両手を前に出し、先ほどまでとは全く違う光り輝く障壁を展開して俺達の攻撃を受け止める。
障壁に接触した瞬間爆発にも似た閃光が迸り、バチバチとお互いの魔力がぶつかり合い、削りあう。
だがな、お前はただの魔力のみの障壁だろう?
こっちはアーティファクトの剣に魔王の魔法、そして俺の力が乗ってんだぜ?
『我の力を甘く見ないでいただきたい!!』
ぶわっと、剣に纏わせた魔法が発光を強める。
どうやらメディファスが魔法の増幅装置としての働きもしているらしい。
やるじゃねぇか!
このまま押し切るぞ!!
「なっ、何よそれっ!? なんて……威力っ、なの……!? くそっ! 何? 貴方達……いったい何なのよ!!」
『「「砕けぇぇぇぇぇぇぇっ!!」」』
バギャリィィン!!
メアの障壁は砕け散り、俺にはその瞬間がまるでスローモーションのように見えた。
砕けた障壁に驚愕するメア。
メディファスを握る俺の手を上から包み込むようなめりにゃんの小さな手。
そして
刀身がメアの左側頭部に触れた瞬間、その顔面がぐちゃりと、切れるというより潰れるように変形し、そしてメアの体内に食い込んだメディファスから大量の魔力が開放され、その体内で炸裂する。
「こ、んな……っ!」
その言葉を最後に、メアの身体は跡形もなく砕け散った。
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