ぼっち姫、RDSSPF!!
きっとトウネリバーはデュクシがイカサマをして勝ってきたと思ってたんだろう。
私が対戦相手で、尚且つ交換させずに最初に自分が配ったカードのまま勝負だったのだから負けるはずがないって思ってたんだろうね。
どうせトウネリバーもイカサマをしてる。
自分で自分に都合のいい手札を配り、私には全然ダメなカードを配っているつもりなんだと思う。
でもそんなの関係ないんだよね。
勝手にそっちがどこかでミスって天文学的な確率が偶然毎回起きて私が勝っちゃうだけだから気にしないでね☆
「あり得ない。絶対にイカサマをしている!」
あーあ。
「そういう事を言い出すなら証拠は? イカサマはバレなきゃイカサマじゃないんでしょ? あんたも何かしてるみたいだけどね♪」
「ぐっ……いいでしょう。次だ。次は必ず勝つ」
「掛け金はどうするの? いくらでも好きな額決めていいわよ?」
「その言葉、後悔しますよ!?」
トウネリバーがカードを配り終え、手札を確認している。
「ふふふ……謝るなら今のうちです。私は次必ず勝ちますからね」
「凄い自信ね♪ そんなに自信があるならこのカジノ賭ける?」
「面白い。貴女の言うように賭け金は……私はこのカジノをかけましょう。貴女にそれだけの金額が払えますか? 選択肢をあげます。まずは……」
奴が提示してきた選択肢は三つ。
まず一つ目は、勝負を降りる事。この場合負けになるけど今日稼いだ分を全て返還するだけ。
もう一つは勝負続行。あいつが勝つから私達はお金むしりとられてどうにかなっちゃうんだって。奴隷行きって事ね。
最後の一つは、私達の運をこのカジノで活かす事。
要するにここで働かないかって話。
デュクシはその辺の説明聞いてるのに顔色一つ変えてない。
多分頭に入ってないんだろう。ずっと黙って私の勝負を見守っていた。
勿論私の結論は、
「もち試合続行ね☆ それと私は交換しないからそのままで行きましょう♪」
「……冗談、でしょう?」
冗談かどうかはすぐにわかるわよ。
「私はイカサマしてないって分かるわよね? だってあんたが今配ったこのカードに私は一度たりとも手を触れていないし、まだ手札も見てないんだから」
「確かに……ですが、触っても見てもいない手札にどうしてそこまで自信が持てるのですか?」
少し震えた声で彼が聞いてきた。
デュクシの能力を信じてるから、なんて恥ずかしいから言わない。
「それにね、めくる時に何かしたって思われても嫌だからあんたが一枚ずつ捲ってよ。そのかわり……それで負けたら分かってるよね? 自分で言った掛け金、覚えてる?」
自分が勝つと絶対の自信を持っている彼は、それでも私の態度に不安を覚えたようで手がプルプルと震えていた。
「い、いいでしょう。貴女が何もしていないのは分かってます。この手札が完成しているなどという事はありえません。それに、先に出しますが私の手はストレートピカリンフラッシュです」
そういいながら一枚カードを捲る。
十。絵柄は槍のようなマークの物。
もう一枚捲る。十二。この時点でトウネリバーが高笑いをあげた。
「はーっはははは! 驚かせやがって!!」
「ふふふっ。焦っちゃって可愛いのね。ほら、さっさと残りを捲りなさいよ」
私が机を指でとんとんと叩くと、「失礼。そうですね。一応念のために捲らないと貴女が納得できないでしょうからね」と笑いを堪えながら次のカードを捲る。
十三、槍のマーク。
慌てて彼は先ほどの十二のマークを確認する。槍だ。
ここまできたら私にも何が出るかわかっちゃう。
勿論トウネリバーだって気付いた筈。
「う、うそだ。だって、一度も触ってない。私は、こんなカード配っていない!!」
混乱して堂々とイカサマ宣言しちゃったけど、面白いから気にしない。
「そんな、そんな馬鹿な事があるわけ……」
汗を額からポタポタ垂らしつつ彼がもう一枚捲る。
十一。槍のマーク。
「嘘だ嘘だあり得ない。あり得ないこんな事……」
「いいから、早くめくっちゃいなさいよ♪」
「うるさい! うるさい。うるさい……そんなわけ、そんなはずが……あ、あれ?」
これでもうここのカジノは私の物!
って言ってもこんなカジノいらないから、そんな事はどうでもよくて、どちらかというとこいつを締め上げて奴隷とナーリアの事について詳しい話を聞かないと。どこに捕らわれているのか。
それと、オークションの日までできれば騒ぎを大きくしたくないから、今日のところはナーリアの情報を得るなり助けるなりして終わりにしたい。
そしたらもうこいつに利用価値は無いし、どうにか騒ぎにならないような始末を考えないとね☆。
「あ、あの……」
なんだかトウネリバーが控えめに、私に何か言いたい事があるみたいな顔をしてきた。
「これ、なんですけど……」
妙な緊張から解放されて彼の顔が弛緩している。
そんなに自分の終わりが楽しいのかなぁ?
悲しい事もあるもんだねー。
トウネリバーはゆっくりと、最後のカードをこちらに見せてくる。
ハイ、一の槍!
ロイヤルデリシャスストレートスピアピカリンフラッシュ!!
……って、え?
トウネリバーが最後に捲ったカードは
三の槍。
あっ……あれ??
「あの……、これ、こちらの勝ちですよ……ね?」
私、めっちゃ負けてるじゃん。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます