ぼっち姫、慈悲に溢れる寛大な処置をする。
「……儂が、セスティの、友達?」
めりにゃんはついに我慢が出来なくなったらしく、ぽろぽろと大きな涙を零した。
「うん。私達は呪われ仲間だし、めりにゃんの事気に入っちゃったから。もう、友達だよ」
「友達……うん、それは楽しそうじゃ。……いや、でもやっぱりダメじゃ。あのガシャドは魔王軍の中でもかなりの魔法の使い手じゃ。人間に敵う相手ではないのじゃ。お主だけでもすぐに逃げ……」
「めりにゃん」
彼女の言葉を途中で遮る。
そして、にっこりと笑いかけて頭を撫でる。
「大丈夫。私に任せておいて♪ あんな奴すぐにぶっ殺してあげるから」
「ダメなのじゃ! ダメなのじゃ! せっかく出来た友達を儂は失いたくないのじゃ。だから、だから……っ」
めりにゃんは俺の体をぎゅっと抱きしめて泣きじゃくった。
そして、俺の殺意はさらに膨れ上がる。
「おいガイコツ野郎。生きてここから出られると思わないでね」
「ふふふ……はぁーっはっはっ! これはお笑いです。貴方ごとき人間が我々をどうにかできるとでも? この数の魔物を相手に一体貴方に何ができると言うんで……す?」
話している間に目の前から俺が消え失せた事に気付き、慌ててガイコツ野郎が辺りを見渡す。
「後ろかぁっ!!」
ガシャドが振り向きざまに俺に向かって氷属性魔法を解き放つ。
だが、慌てて放ったせいか知らないがたいした威力ではなかった。
俺は剣を握っているのとは反対の手に防御魔法をかけて奴の魔法をぶん殴る。
バリィン!
「なっ、ななな、今何をしたっ!?」
「見てわからないなら言っても分らないわよ」
「くっ、そうやって自分のペースに引きずり込んで私達を退却させようという手ですか? 考えが甘いですね。今のような手品はもう通用しませんよ!」
「私達……? お前が言うところの『達』ってのは一体どこに居るっていうの?」
「何を馬鹿な事をっ! 我がしもべの……、しも、べ……の?」
「いったい、誰の事を言ってるの? もしかして、ここで真っ二つになってるこいつらの事かしら?」
「ば、ばばばばばばばばばばっ、ばけも」
「ガイコツ野郎に化け物呼ばわりされたくないわよっ!!」
奴が転移魔法でここから離脱しようとしたのでそれより早くその両腕を切り落とす。
「ひっぎやぁぁぁっ、ひっ、ひぃぃっ!!」
腕を切り落とされて、ガイコツ野郎は芋虫みたいに地面をのた打ち回る。
「たっ、助け…」
ガシャドは必死に自身に治癒魔法をかけようとしていたようだが、痛みで集中力が欠けているのかうまくいかないようだ。
「エリクシールライト」
最上級の治癒魔法。
「えっ? い、いったい何を…っ?」
私は地面に落ちた腕を拾ってくっつけてやる。
アンデットに治癒魔法をかけたら消えてなくなるんじゃないかと心配したが、そんな事はなくきちんと腕は元通り繋がったようだ。
そりゃそうだよね。自分でさっき回復しようとしてたし。まだ死んでもらっちゃ困るし。
「いったい何のつもりか知りませんがっ、必ず後悔させてやりますからねっ!」
ガイコツ野郎がまた転移魔法で逃げようとするので、今度はその両足を切り落とす。
「ぎぃぐぎゃぁぁぁっ、えぐぅっ、うぁっ、おぁぁぁぁっ!!」
「エリクシールライト」
またその足を繋げてやる。
「い、いったい……貴方、は……何が、したいの、です……か?」
ガシャドは完全に怯えきった目で、地面から俺を見上げる。
「謝ってよ」
「へっ?」
「めりにゃんに、私の友達に謝れ」
「え、えっ?」
理解力のない奴は嫌いよ。
今度は左腕と右足を切り落とす。
「……ッ!! あっ、ぐあぁぁぁっ、あ、あやまる、謝るからぁぁぁあっ!!」
「エリクシールライト」
もう一度手足をくっつける。
「ほら、早く」
先ほどいた場所から一歩も動けずにこちらをじっと見ていためりにゃんが、ゆっくりとこちらに近付いてきた。
「ひっ、ヒルデガルダ様っ、申し訳ありませんっ!この愚かなガシャドを、どうか、どうかお許しを……っ」
「も、もういいのじゃ。大丈夫じゃ」
めりにゃんは優しいなぁ。こんな糞ガイコツを許してあげるなんて。
それなのにこの糞ガイコツ野郎ときたら。
「せめてっ、お前だけでもぉぉぉっ!!」
ガシャドは、私に勝てない事を認め、めりにゃんだけでも殺そうと襲い掛かった。
本当に、救えない奴。
せっかくめりにゃんが許してくれたのに。
私の友達が、馬鹿で愚かな糞ガイコツ野郎を許してくれたっていうのにね。
でも、お前みたいな奴がやる事ってお見通しなんだよね。
再び裏切られた衝撃と、ガシャドが飛び掛かってきた驚きで目を見開いて震えているめりにゃん。
大丈夫だよ。守るって決めたからにはきっちり守るから。
あらかじめ予測している行動なら防ぐ事は容易い。
念のためにめりにゃんには防御魔法をかけておき、飛び掛かったガイコツ野郎の足をひっつかんで背後の岩肌までぶん投げる。
「うぐぉぉぉぉぁぁぁっぁぁぁっ!!」
よく飛ぶわ。さすが無駄な肉がついてないだけあるよねっ☆
奴は何か爆発系の魔法でめりにゃんを攻撃しようとしていたらしく、壁に叩きつけられた瞬間にそれが暴発して自らにダメージを与えていた。ばっかみたい。
私はそれをすぐに追いかけ、壁にめり込んでガタガタにあちこち欠けてしまったガシャドへもう一度エリクシールライトをかけてあげた。めっちゃ優しくない?
んでもう一度一本一本手足を、今度は無理やり手で引きちぎった。
「ひぃっ、はぁぁぃいいいぐぎゃっひ、ひぃ、ゆ、ゆる、じで」
「やだなぁ♪ めりにゃんはお前の事ちゃんと許してくれたでしょ? でもお前は何した?」
もう一度エリクシールライト。
「わ、悪かった、もう絶対に何もしない、何もしないからっ! お前が強いのもよく分かった。二度とお前の前に現れない、約束するからっ!!」
「ふーん。そういう事なら許してやってもいいかな♪」
「ほっ、ほんとに!? あ、ありがとうございばっ……だ、だん、で?」
奴がしゃべり終わる前に頭から一刀両断。
真っ二つにしてあげた。私が殺すって言ったら絶対殺すんだから。
「もう私の前に現れないようにしてあげたんだよ。もう大丈夫だからね? 死ねてよかったね☆」
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