第59話 忘れかけた設定にガードされるとは!
桜の下で火花を散らす攻防。
そんな火花が見えない先輩は静かに花見に興じていた。
春の陽射しが花の影を先輩に落とす。
「……桜花今ぞ盛りと人は言へど我は寂しも君としあらねば」
ふっと先輩の口からそんな短歌っぽいものが漏れる。幼馴染は動かない。あたしは動く。
「先輩、すごい文学的です!」
そう手を叩いたら、先輩が微妙な顔をする。
「一応、文芸部なんだが」
しまった! 先輩ばかり見てて、忘れかけた設定にガードされるとは!
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