一回か二回、見返しに来ていると思います。本作の魅力は、ずばり津田です。なんか冷静なのだけど芯まで冷めきってはいないというか。達観してるけど、詰めが甘いというか。そんな津田の感性が、津田の語りが、とっても心地いいなと思います。学年に一人いるかな? いたら学校がちょっと楽しくなるよな、という感じの不思議な魅力を持っています。めちゃくちゃオススメです。
キャッチコピーや説明文の印象とは異なる冒頭だったので、最初は「あれ? 読む作品間違えた?」と思ってしまいました。もちろんそれは無関係ではなく、その一方で説明の印象通りのユーモラスな語りと台詞で、すいすい読んでしまいます。彼の言葉が聞こえてきそうなセリフには、胸が熱くなりました。
貧乏くじとは、普通はみんな引きたがらない損な役回りのこと。でもこのお話の主人公は、人より少しだけガマンができないために、貧乏くじを自ら進んで引き受けるミスター貧乏くじ。貧乏くじを引き続けた彼に、幸せな未来なんて訪れるのだろうか?答えはこの作品の中にありますよ。是非、この作品をご賞味あれ。