第462話 注意してくれ。そこに亜獣が出現する
気が狂いそうな衝動——。
エドはここ数ヶ月、毎日のようにそういう衝動にかられて、いたたまれない気分に
目に涙があふれ、見つめているモニタ映像ががぼやける。が、エドはそんな
亜獣が出現するときに現われる『生体マーカー』らしきシグナルがうっすらと浮かびあがっていたように見えた。AIなら誤差として修正か、ふるい落としされているレベルのあまりに微細な信号だ。
エドはあわてて空中に投影されるヴァーチャル・コンソールの、スライドスイッチを動かしてみ取り精度をあげていく。
マーカーのシグナルが強くなっていく——。
エドは画面を睨みつけたまま叫んだ。
「パイロット諸君、注意してくれ。そこに亜獣が出現する!!」
「エド、どういうこと!」
ミサトが椅子から跳ねおきるようにして、からだを前に乗り出した。今回の戦いはとりあえず終了したと脱力していたらしかった。
「わかりません。ですが、そこにある『移行領域(トランジショナル・ゾーン)』の入り口が開こうとしています。こちらの世界へなにかが出現しようとしています」
「でも、さっき帰っていったでしょう。ちがう亜獣が続けて出現するっていうの?」
エドは結論めいた回答をもっていなかったので、金田日のほうへ顔をむけて訊いた。
「金田日博士、そちらでも確認できてますよね。亜獣は別のヤツですか?」
「いや、エド。亜獣はさきほどのヤツとおなじシグナルがでている」
「では、イオージャが戻ってきたと?」
「あぁ、そうだ。だがありえない。いままでではじめての現象だ」
金田日は
「じゃあ、延長戦っていうわけかしら?」
若干迷惑げな顔つきで、春日リンが問いかけてきた。
エドはリンの質問が、自分と金田日のどちらに向けられたかわからず口を開けなかったが、金田日はここぞとばかりに反応した。
「それが、春日博士……。シグナルはおなじなのにどうもちがうのです」
「ちがう?。なにがちがうの!。場合によっちゃあ、わたしはあの子たちをひきあげさせなくちゃならないのよ」
「いえ。それが……、ちいさいんです」
金田日の報告に、リンよりも先に
「——ってことは魔法少女が戻ってきたんですか!」
ショートが言葉尻をとらえて勝手に短絡的な答えを導き出す。
「ちがう。それよりちいさいのだ」
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