スーサイド再びー10

「そういや、何でスーサイドにいるんだ?」


トキは拠点へと戻る途中でヴァルに尋ねた。




「いやな?この王国に反乱が起きたじゃろ?


家が心配なってべラムに戻ったんじゃ!


戻ったら嫁いだと聞いてた孫娘のアイサとあって


スーサイドの事を聞いたんじゃよ!


スーサイドは危険度ランクSSの森じゃ。


反乱よりもそっちが深刻だと思ったんじゃが…


久しぶりに来たらほとんど変わっとるじゃろ?


生態系や川の流れ、橋も出来とった!


儂はな?あそこで現実逃避してたんじゃよ!」


「・・・現実逃避で釣りって…


あんたの感性もおかしいからな?」


「ワン!」




・・・シルは突っ込みなのかな?ボケなのかな?


悩むんだよな?振り返りでもボケ入れたし


なんとなくルティと被るんだよな…


・・・同じ運命なりそうな気がするわ…


まぁ良いや!俺じゃないし!




しかしヴァルは反乱が心配で戻ったのか…


そしてスーサイドはクリプス辺境伯の領地だもんな?


めんどくさいで地位押し付けて我関せずじゃないのは


まだ好感持てるな。


けどスーサイドに来て釣りとはな…


今回はヴァルも説教かな?


実力あるから出来たんだろうけど


流石に釣りは無いな。幻獣探せよって話だよな?


とりあえずヒュドラは倒したから後は・・・




「ヴァルってどこまで聞いてるんだ?」


「幻獣が4種類現れたとしか聞いてないわな!


でも1種は倒したんじゃろ?」


「まぁな?ヒュドラがその1種類だった。


けど2体いたからな…他にもいる可能性あるんだよな?」


「ヒュドラは多数の首で有名じゃが幾つあったんじゃ?」


「ヴァイス達が倒したのが三つ首、俺は五つ首だったな?」


「よく倒したのぅ…首が増える度に強さが増える。


この王国では最大の数じゃないのかのぅ?」


「そうじゃないか?エクサクロスにいる自体が


珍しい存在だろ?差界ディストにいるらしいがな?」


「あそこは別物じゃからな?行くための規定がある


くらいの危険度が高い場所じゃからな?」


「規定ねぇ…あれか?冒険者ランクSSSとか?」


「それもじゃが各国の保証が無いと行けん場所じゃ!


これは機密事項なのだがランクが上がると


冒険者プレートの機能も増加する!


SSSまで行くと王国の保証紋が施し出来るんじゃが


最低でも5国の紋章は必要じゃな?


関門があってな紋章がないと入れん!」


「関門以外から入る事出来るのか?」


「さてな?分からんよ…噂では裏道あるとは聞くが


本当かどうかは分からんよ…」


「そうか…まぁ死にたがりしか行かないんだろ?


差界ディストってところはよ?


なら行かなきゃ良い!ヴァイスのお陰で稼いでるし


フィルとルティの商売も順調だしな!


態態行く必要ないな!行きたくないし!


行ってもし戻ってきたら・・・


考えただけで嫌になるわ!」


「差界ディストから戻れる自信はあるんじゃな?」


「当たり前だろ?俺はトキだぞ?」


「いや、知らんよ…」




話が脱線して自画自賛してしまった。


仕方ないよな?相手が弱いんだし…


ギルドの機密事項はあれか?


元貴族だから知ってるのか?それともSSSなのか?


あれ?ランクって最高SSSだったっけ?


・・・振り返り忘れてるな…後で思いだそう。




「先生!ご迷惑お掛けしました!」


トキが拠点へと戻るとヴァイスが目を覚ましてた。


見た感じ傷は少しあるが大怪我は無いようだ。


「大丈夫か?きつかったら休んでて良いからな?


今日は休みにするから確り休めよ!


じゃないと俺のあれが起こるからな?


地面に「分かりました!戻ります!!」そうか!


んじゃ休めよ~!」


ヴァイスが急いでログハウスに戻っていった。


流石に土下座は見たくないのだろう。




「ヴァイスは急いで戻したが儂忘れてないか?」


「ん?忘れてないぞ?今日起きたばかりだからな!


ヴァルを見て驚いて何かあったらまずいだろ?」


「そういう事なら大丈夫じゃがな…」


「まぁ夜には俺の仲間全員の紹介するから!


人が俺と2人しかいないけどな…魔物ばかりだよ…」


「クゥン…」


「・・・まぁ元気だしな…テイマーだと考えれば


良いんじゃないか?多分じゃけど…」


「クゥン…」


「すまんな…シル?嫌って訳じゃない…


一緒に2日前に今までを振り返りしたろ?


そんときにメインが少ないと思っただけだからな…


今は大丈夫だからな?ありがとなシル、ヴァル…」


シルとヴァルが励ましてくれた。


けどな?主要キャラが魔物ばかりでな?


ボケが多いんだよ…シリアス少ないんだよ…


トキは違う方向で落ち込んでいた。




「主殿~!戻ってきましたよ~!」


「グルァ~!」


・・・ふぅ・・・祈るとするか。


フィル達が森から出て来た。




「どうしたんですか?両手絡まして胸に当てて?」


「いや、何でもない…収穫あったか?」


「特に無いですね!橋も流れも戻しましたので!」


「グルァ!」


「そうか!なら良いや!お疲れだったな!休んでいいぞ!」


「ん?なんか遠ざけて無いですか?」


「グルァ?」


「いや?気のせいだろ?あぁ夕食にな?


隣の人紹介するから夕食の時に全員集めてくれ!」


「・・・固まってて彫刻だと思いましたよ!


分かりました!全員に連絡しときますね?」


「グルア!」


「あぁ!頼んだ!」


フィルとリケラが遠ざかる。




何故リケラとフィルの傷増えてる?


何かと戦ったのか?いや自主トレしたんだ!


そうに違いない。じゃないとおかしいだろ?


目玉が・・・フィル片方無いんだから!


何処に落とした?


どうやって見てんだよ?怖いんだけど!


あの黒い空洞の中に引き込まれそうだった…


ん?フィルが戻ってき…ガチャン!!・・・戻ったー!!?


えぇ!?ガチャン!って何!?何なの!?


何で目玉が空洞から出てくるんだ!??




「主殿!忘れて「お前は生き物だよな?」…ん?


どういう・・・あぁ喋るからですね?


今さらですね!ずっと喋ってるじゃないですか!」


「いや、そういう訳じゃ・・・」


「いやいや、分かってますよ?


どんだけ長く主殿と居ると思ってるんですか?


喋るグリフォンは異常ですからね?


だから異常=生き物じゃないと考えてた!


酷いですね!ねぇリケラ殿?」


「グルァ!」「リケラ殿も心外だと言ってます!」


「・・・すまん、で?忘れての続きは?」


「何でしたっけ?あぁ!雑食魚の数が激減してましたよ!」


「魚の数が?幾つか考えられるが・・・謎だな…」


「謎ですよね?なので報告をしに戻りました!」


「・・・分かった、考えて調べる!アリガトナ!」


「ん?お礼がおかしかったような?


では、全員に連絡してきますね?」


「あぁ、頼んだ!」


謎が謎を呼んだ。そして戻りに戻った。


・・・シルは?


トキは首をギギギギギとシルへと動かした。


驚いているが正常な姿をしていた。




・・・良かった!本当に良かった!!


スーサイドにいると変化するからな。


フィルが顕著に現れてる。あれは機械だ!


グリフォンの形した兵器だ!


俺は心で思うことにした。


ヴァルは・・・立ったまま気絶してるな…


無理もない…あのフィル見たら思考は飛ぶ。


俺も祈るぐらいだからな。仕方無い。


あり得ないがあり得ない事してるから。


そのまま記憶が飛ぶ事を願うとするか。


そしてシルはルティ枠確定だな。


リアクションで判定出来るから楽だよな。


「とりあえずヴァルを運ぶか!


シル?起きてるか?」


「・・・!? ワン!」


「なら問題無いな?ヴァルをログハウスまで担ぐから


着いてくるか?ルミスの所に行くか?」


「ウォン!」シルが近づく。


「了解だ!なら付いてきてくれ!はぐれるなよ?」


「ウォン!」


俺は固まったままのヴァルを脇に抱えて


ログハウスのソファーに寝かした。


直立不動で助かった。


シルもちゃんと付いてきてくれた。


俺は夕食までシルと寝る。


ロッキングチェアで揺られて眠る。


俺の膝で嬉しそうにしてくれてるからお気に入りなのかな。




夕食前に目が覚めた。


目が覚めるとシルは膝の上に居なかった。


母のルミスの元に行ったのだろう。


俺はソファーで寝ているヴァルを起こす。


さてどこまで記憶が飛んでくれたかな?


「ヴァル?起きろ!夕食なるぞ!」


「・・・トキか?ここは?」


「俺の拠点の家の中だ!どこまで覚えてる?」


「覚えてる?何をだ?孫と会ったのは覚えてるが?


だがその先がな?いつの間に寝てたのじゃ?」


「あぁそこまでなら大丈夫だな…


スーサイドが変わりすぎてたのと俺の仲間見て


驚いてな?ほら、俺の仲間は魔物が多いだろ?


それに理解してても思考が追い付かなくてな?


気絶したんだ!だから俺が担いでここにいる」


「そうじゃったのか…すまんなぁ…


やっぱり昔の姿を覚えてるからじゃな…


余りの変わりように追い付かなかったんじゃな…


迷惑掛けたのぅ…もう少し休めば整理つくから


大丈夫じゃよ!」


「なら良いが・・・気を付けろよ?


いくら俺がいても守れない時は守れないからな?


ヴァイスが悲しむぞ?んじゃ、外でな!」


「あぁ…整理ついたら向かうとする…」


俺はヴァルをソファーに残して机に水を用意して


外に出た。流石にビックリ機械には勝てなかったか。


俺は安心して外に出ると仲間が夕食の準備していた。




「起こしてくれって言ったのに寝るなよな?」


「ガデルすまんな!色々有りすぎてな!」


「それなら仕方ないのか?そういやフィルから


紹介したい奴がいると聞いたが?」


「あぁ、思考の整理してるよ!


そいつも色々有ったからな!もうすぐ来るだろう!」


「ん?なら良いがな!」


「先生!誰なんですか?紹介したい人って?」


「ヴァイス!そうだな…もうすぐ来るから


楽しみにしとけ!後でわかるから!」


「分かりました!先生!」


ヴァイスとガデルは離れていった。


「主様!ルティ殿が離れてくれないのですが…」


「キュイ!キュイ!」


「今は諦めろ!後でヴァイスの頭に戻るから!」


「なら某も問題ないのですが…」


「キュイ!」


ブラッドとルティが悩みを話して離れていった。


・・・今後あの場所が定位置になるかな?


フィルとリケラは離れた場所にいるな。


ヴァルの意識が飛ばないように補助しないとな。


ケルは家族といる。シルもいるみたいで安心した。


さてヒュドラを倒した祝いの夕食でもしますかね。




トキが久しぶりに今回は料理している。


普段は交代制。人型が多くなったので


練習がてらブラッドの料理の持ち回りが増えていた。


今回の食材は兎型魔物のお裾分け物。


ヴァルから頂いた物をミックス塩で味付け。


ヴァルの下処理だけで旨い肉がどう変化するか?


後で下処理の方法を学ばないといけないな。


味見してみると・・・旨いな。


止まらなくなりそうだな。




ウサギは瞬発力の優れた動物で白身肉だ。


一般的に入手できる肉(牛・豚・羊・鶏)では鶏が


最も近いし、似ているといわれればその通りだ。


地球の戒律で四足の動物を食べることを禁じられた


坊さんが1羽2羽と数えるようになったのも


伊達ではない。


鶏のささみ見たいな感じがする。


臭みというかウサギ肉独特の香りはある。


脂分が少ないので、加熱に注意しないと硬かったり


パサパサしたりする。




なので丁寧に調理して食べさせると


全員が無口になって食べてくれてる。


いつの間にかヴァルもいてヴァイスの後ろにいた。


今回外には地面に敷物を敷いている。


汚れないためにだ。魔物も足を綺麗にしてから上がる。


花見の光景に近いと思って欲しい。


敷物の横に机と釜戸を準備して調理している。


俺は作り終えて敷物の上に立ち視線が集まる。




「さて全員が起きたので改めて言わせてもらおうか!


みんな!久しぶり!元気になって良かったが…


宴会中だが説教兼反省を始める。これは必要だがらな?


今回のヒュドラは点数付けると20点だ!


俺はなんて言ったか覚えてるか?フィル?」


「えぇと・・・ヴァイス達で討伐しろでしてか?」


「正解だがな?俺は殺れと言ったんだ!


誰が戦えって言ったか?言ってないだろ?


なのに・・・」


トキは全員が目覚めた事で説教を始める。


ヴァルはどんな説教兼反省が起こるか見ていた。

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