第68話ゾラム領ー1

部屋の窓から朝日がトキの顔に射し込む。


「・・・ん…ここは?」


「キュイ!」


「ルティか?久しぶりに声聞いた気がするな?」


「キュゥ…」


「すまんな!しかしこの展開前に・・・」


ベッドから日射しで目が覚めたトキに


ルティはトキの体に乗っている。


トキが久しぶりにルティと話してると


扉のノック音が聞こえて返事を待たずに


メイドが肩で息しながら入ってくる。




「トキ様!起きたんですか!?良かったです!


あの…起きたばかりで申し訳無いのですがルティが…」


「・・・全く同じだな…メイドさんかな?


ルティは俺の上に乗ってるから大丈夫だ!」


「キュイ!」


ルティは右前足上げてメイドに返事する。




「そこに居られたのですか…良かったです!


はぁ…疲れました…朝起きると


ルティが部屋から居なくて・・・」


「そうか・・・ルティ?同じ事するなら


ちゃんと起こしてから来い!


2度目だぞ?4回起こしたら…ワカルナ?」


「キュイ!!」


トキの最後の単語にルティは右前足で敬礼した。


ルティは一瞬発した気配に怯えて器用に行う。




「すまなかったな?ルティが騒がせたな…


ここは?後、あんたは誰?」


「申し遅れました!


私はゾラム侯爵家のメイド、シーサと申します!


ここはゾラム侯爵の住居でございます!


今までの経緯を話しますね?


トキ様はヴァイス様達と昨日反乱軍を静めました。


ニバルの住民及びゾラム侯爵の総意として


感謝を申し上げます!


トキ様は反乱軍への尋問を終えると


私含めてニバルの全員が気を失いました。


そして数時間経ち不思議な音と共に


全員が意識を戻したそうです。


私はこの家に居りました。急に体に震えが起こり


動かなくなり汗も流れて気付かぬ内に倒れてました。


そしてあのジリリリリッと音が聞こえて


目が覚めると口元に泡が残ってました。


ラベル様…ラベル=ゾラム侯爵の名前ですが


ラベル様達が起き上がると牢獄を残して


トキ様とヴァイス様がうつ伏せに


倒れていたそうなのです。


ラベル様は牢獄の事を聞いていたらしく


迂闊に触れないと判断しその場に放置して


お二人をブラッド様、ラグ様の力で運び込み


各部屋にてお休みしていたという流れになります。


何か質問はありますか?なければ


食事をご用意致しますがどうでしょうか?」


「経緯は分かった。軽く食事頂くかな?


ヴァイスはどうなってる?」


「ヴァイス様は隣の部屋にお休みしてますね!


アイサ様が看病すると聞かなくて・・・


心配していたのでしょうね?中々離れなくて…


ですがガデル様とラベル様が今後の行動と


反乱軍について話し合うからと無理矢理離そうと…


それが夜中の出来事でしたね…


暴れて騒がしくなってきたのでガデル様が


ラベル様に了承とり気絶させて


現在同じ部屋で寝かせています…」


「・・・ブラコンか!?アイサは?


だが流石ガデルだな!気絶させるのに


了承とるとは…俺なら気づかれないように


一瞬で意識を取るがな…」


トキはガデルの女性に対する礼節に


感心し自分とは違うなと感じていた。




「何か不穏な言葉が聞こえましたが


きっと気のせいでしょうね!疲れてますから…


では今から軽い食事をご用意致しますので


お待ち下さい!お部屋まで移送しますから!」


「ありがとう!その間ルティと遊んでるよ!


最近触れ合いしてないからな!」


「キュイ!キュイ!」


シーサは気のせいにして部屋から出た。


その間久しぶりにルティへブラッシングをしていく。


ルティは嬉しそうに力が抜けて2尾を出してる。


本来はゼクスマーブルテイル。


6尾を持つが今はマーブルテイルの姿の為に


2尾でルティは我慢していた。




「しかし・・・シスコンにブラコンの姉弟か…


よく離れて暮らしてるな?


そしてよく嫁いでるよ…


まさかヴァイスがべラムでは有名だったとはな!


なんだっけ?『天才のヴァイスに秀才のアイサ』か?


また物語が出来るぞ?なあ?ルティ?」


「キュゥイィ?」


「・・・ブラッシング気持ちいいか?


聞いてないなら良いけどな!


何ヵ月ぶりだ?ブラッシングするの?


ほとんど愛護部屋のファンかヴァイスだったからな…


1年近くしてない気がするな?


そんぐらいしてないかな?ルティ?」


「キュイ!!」


「そこまで力強く頷かんでも良いのに…


まぁ時間が有ればしてやるよ!


無さそうな気がするけどな・・・」


トキはブラッシングしながら次の機会を


考えてファンとヴァイスがするから


次は無いなと考えた。




コン!コン!コン!


扉の叩く音が聞こえたので返事をして


部屋に台車を押して現れるシーサ。


台車の上にはオートミールと


猪型魔物肉の腸詰めし燻製したもの


所謂ソーセージが2組。


俺とルティで皿のサイズを変えて置かれた。


寝起きだからと配慮したらしい。


俺は礼をしてルティと食事する。


オートミールとは異世界ものでよく見られる


食べ物の一つだ。


人によって知ってたり調べるのもありだが


ここは見たものをネットの


ウィッキー先生の内容を記載する。




燕麦エンバクを脱穀して調理しやすく


加工したものである。


全粒穀物であるため栄養が豊富で、水や牛乳、


豆乳等で煮て粥状にして食べるほか、


料理の副材料として用いられることもある。


完全に乾燥した状態から、軽く煮るだけで粥状になり、


食べることができるので、


朝食用のシリアルに用いられることも多い。


粥状にして食べる場合は、好みで塩、砂糖、バター、


ジャムなどを加える。 中華粥のように味をつけたり、


具を混ぜ込んで調理することもある。


梅干を加えるなど和風に味をつけてもいい。


塩だけで調味する場合は、


粘り気のある白粥のような味であるので、


朝食に焼いたソーセージなどと


一緒に食べられることが多い。




これで分かるかな?ちなみに塩だけの味付け。


メタな事を話してるが気にしない。


だって地球文化の知識を自動更新している


図鑑の内容だから!


図鑑は本になっている。厚さは10cm。


流石にスマホみたいな物を持ち込めない。


厚さは更新しても一定に保ってる。


更新しても前の中身が消えるわけではない。


調べたい物を図鑑を開いて思えば


文字が動き挿し絵ありの開きとなる。


調べたものはページの数だけストックされる。


俺の魔力で動くため他の人が使っても


ただの厚さ10cmの本のまま。


基本はストレージに入れてるため盗まれる


心配は無い。暇な時に読んで調べてる。


なのでウィッキー先生と勝手に呼んでる。


あの名前は言えない。例え異世界でも。




俺達は食事を済ませてヴァイスの見舞いに向かう。


扉を出ると木造建築らしく


床が木材。壁は白く壺や絵画が置かれてる。


燭台も一定に飾られており


芸術の一部として壁に配置されている。


自分が居た部屋からの情報だが2階にいる。




廊下を少し歩き左隣の部屋に着く。


自分が居た部屋は6畳の広さ。


奥行きある部屋作り。ヴァイスも同じだろう。


コン!コン!コン!


俺はフィルを頭に乗せてノックする。


ノックには回数に意味がある。


地球文化では、


ノック2回はトイレ用。


ノック3回は親しい間柄。


ノック4回が国際標準という「プロトコールマナー」


地球での国際的礼儀をプロト・・・というらしい。




このエクサクロスでは3回までノックされる。


どんな場合でも、同じく3回。


なので俺は3回ノックする。


返事がない○の様だ・・・は


有名な文だろ?初めて使ってみた!


返事がないからな?たまには良いだろ?




さて返事がないから俺は探索しようと家を回る。


一緒にヴァイスのいる部屋に向かったシーサには


許可を得ている。部屋には入らない様に言われた。


まず2階から探索しよう。


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┗┻┻┻━━━┻┻┻┛上からの2階の図。


真ん中にある≡は階段。


┼は廊下やスペース、濃い線は壁。


階段が1階と2階を繋ぐ2つ。


左右に5つの部屋があり、入口側に3部屋、


奥に広い部屋と普通の部屋の2部屋ずつある。


執務室と広い応接室は左の奥にある。




入口側のスペースには台車や


2つの形が違う鎧や武器が飾られている。


金属鎧と革鎧。2階の戦闘に使われるのだろう。




俺が休んでいた部屋は左側の入口側の右。


ヴァイスは左側の入口側の中。


アイサはその隣の部屋を書斎として使用している。


2階は屋根裏に行く隠し扉が右側の真ん中通路にある。


よく見ないと気付かない様に隠してる。


行ってみたいが我慢するとしよう。




俺は階段を降りて1階を探索する。


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┗━━━┻┫┼┣┻━━━┛上からの1階と庭の図




右側奥に地下への階段が設置されている。


普段は鉄格子で封鎖している。


左の入口側にリビングと奥に厨房と食料倉庫。


倉庫は中に運搬出来るように外と繋がってる。


右の入口側に着替え部屋と広い使用人室。


奥には補佐官執務室と地下入口。




地下には牢屋と尋問部屋等ある。


今回は地下に入れなかったので記してない。


庭は2mの石壁に囲まれて広く


門番用の部屋が2部屋ある。


各部屋に1人ずつ交代で入る様だ。




俺が探索していると庭にフィルとブラッドがいる。


中に入れるが入らずにフィルは寝ており、


ブラッドは素振りをしている。


ガデルは補佐官執務室で寝てる様だ。


補佐官が反乱軍だったからな…




ラグを探してると左の門番室にいて門番している。


俺に気づいたのか部屋の窓を開けて体を出して


上部の右腕で手を振っている。


・・・器用に窓開けたな?就職したのかな?




シーサに聞くと門番の1人が反乱分子らしく


人が足りない為に手伝いしているらしい。


反対に人の門番がいるため問題ないとか。


暇なのか窓開けて門番とラグが話している。


門番が主体でラグが相槌している様だ。


・・・ラグ魔物だよな?慣れすぎてないか?




シーサによると一緒に戦った仲なので


意気投合しているらしい。


俺はシーサにゾラム侯爵達が目覚めるまで


ブラッドと朝練してるからと告げて


シーサは戻りブラッドと軽く朝練を行った。

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