第48話ゾラム領の内乱ー2

トキ達がゾラム侯爵領の反乱鎮圧依頼をを受けて


べラムから出た頃。


ラジュマ王国のある場所に霧が揺らめく土地がある。


濃霧に包まれる土地に人影が集まり始める。


その人影は徐々に数十、数百と徐々に増えていく。


その土地に数百年前に作られた砦があり


人影が集団で入っていく。


その砦の1つの部屋には蝋燭で灯された


10人の人影が揺らめく。


「さて・・・ついに始まったね」


「そうね!ここから始まるのよね」


「時間が掛かったが無事にな!」


「まさか僕達が暗躍する事になるなんてね」


「仕方ないさ!決めてた事だからな」


「しかし上手く動いてくれるかな?」


「大丈夫だろ?あれは考えられる頭がある」


「それも俺達のおかげだけどな!」


「教え育てた賜物だな!」


「あれが教えか?ここでは仕方ないのかな?」


「恩は確りと返して貰わないとな!」


「確かにね!当たり前の事よね!」


「さて反乱して王国はどう動くのかな?」


「軍の派遣が始まるだろうね!」


「ハハハ!無理だろ?一斉に反乱だぞ?」


「ククク!それもそうだな!」


「アハハハ!笑うしか無いわね!」


「ワハハハ!見ものだな!」


「フフフ!きっと公爵優先でしょうね!」


「貴族優先で民は蔑ろにされて可愛そうね」


「仕方ないさ!これが貴族社会なんだから!」


「そうね!そうよね!そうなるわね!」


「選民がどう動くか!冒険者もどうするかな?」


「自分の命優先の奴等が動くか?高尚な奴はいないさ!」


「だろうね…ラジュマ王国の危機どう乗り越えるか


俺達は見守ろう!俺達の願いの為にね!!」


「では各自は移動して見守ろう!


濃霧の中は気が滅入るからね!」


「ではいつもの様にアインスは中央、ツヴァイは北、


ドライは北東、フィーアは東、フンフは南東、


ゼクスは南、ズィーベンは南西、アハトは西、


ノインは北西に移動してね!」


「ヌルは?どうするの?」


「嫌だけど王子の周辺かな?戦況知りたいし!」


「分かった!それじゃ次はどうする?」


「次は・・・詩人らしく次の満月の夜はどうかな?」


「アハハハ!詩人らしいね!んじゃ満月に!」


「ああ!満月にここで!」


「ちゃんと連れて来たのを一緒にね!」


「わかってるわ!ちゃんと選んだ人達だからね!」


「では解散で良いかな?久しぶりだから


話したいとかない?無いなら解散で!」


濃霧が包む砦に集団が離れていく。


10の集団が目的地に向かって行く。


「さてとヌルとしてではなくスカイに慣れないとね!」


スカイと名乗る人物が集めた集団が


第3王子の許に向かった。






その数時間がたった頃。


「先生!急がないと姉様が!!」


「ヴァイス!落ち着け!!考えてみろ!


ヴァイス以外他の領地に行った事ないんだぞ?」


「でも・・・先生…」


「ヴァイス殿?落ち着きましょう!」


「キュイ!」「モオォォ!」


「ほら!ルティ殿とブラッド殿も仰ってますよ?」


「フィル…分かりました・・・でも先生?」


「不安なのも分かる!でもな?どうするんだ?


街道歩けば着いたのになんでこうなるんだ?


反乱に伴い街道に掛かってあった橋を壊すとは


考えつかないだろ?鎮圧しても流通が滞る


だから今作ってるんじゃないか!


橋作りなんて1年ぶりだぞ?俺は!


フィルがラグ連れてきたから良いものの!」


「ガアガア!」




今トキ達はゾラム侯爵領に向かって橋作りしていた。


クリプス辺境伯やクルス隊長、ハリーギルド長の


意見を聞いて地図を見て街道歩くと


川に有ったはずの橋が壊されていた。


地図見ても川を越えないとゾラム侯爵の所に行けない。


流通も滞るなら作り直せと考えて


現在フィルに頼んでスーサイドで橋専門職をしている


アシュラグリズリーのラグを連れてきてもらい


一緒に橋を作っている。


「しかしラグ?お前橋作り上手くなったな!」


「ガアア!」


「おかげで勘を取り戻してるよ!ありがとうな!」


「ガガア!!」


ラグは嬉しそうに鳴きながらも橋作りは


止めてなかった。




突貫工事で橋作りを終えたトキ達は


最後にと細かい所まで見ていた。


「この柱まではルティにして次からはフィル、


反対はブラッドで半分からはラグだな!」


「ガアガア!」


「あの先生?忘れてませんか?」


「あ!すまん忘れてた!こっちの岸には


ヴァイスを刻むよ!」


トキは橋柱に刻む物を考えてた。


「・・・良いですけどね…どのくらいになります?」


「そうだな・・・ラグがいるから


後3時間程度かな!全員で刻めば!」


「分かりました!やりますよ!先生!!」


「ヴァイスやる気満々だな!なら2時間かな!!」


「お任せを!主殿!」「キュイ!」「モオォ!」


ヴァイスはトキが忘れてるのを理解して


早く終わらせようと作業に入る。




「コラ!ルティ!そこは横顔だ!」


「キュイ!」


「ブラッド!慣れてないから加減しろよ!


柱の壊しは何度目だ?


最悪歩く人が傷つかない様にすれば良いからな!」


「ブモォォ!」


「フィル!勝手に柱の上部を削るな!


全体のバランスを見てしてるんだからな!


また全体をやり直しさせたいのか?」


「すいません!主殿!!」


「ラグ!そこはもうちょい上向きで!」


「ガアア!」


「ヴァイス!急ぎたいのは分かるがちゃんとやれ!


じゃないとアイサ殿助けに行けないぞ?」


「分かりました!先生・・・って覚えてたんですね!?」


「当たり前だ!何のためにここまでしてるんだ!


帰る時にも橋を渡るだろうが!だから確りとな!」


「了解しました!棟梁!!」


「何故先生から棟梁に?


橋作り中だから問題ないけどな・・・」


俺は現場監督として全体を指揮していた。


依頼を忘れてたがヴァイスの時に浮かび


話しを出したので誤魔化せる事に成功した。




全体のバランスも終わり外観に魔物を刻み終え


微調整を整えて完了した。


マーブルテイルにグリフォン、アシュラグリズリー、


牛鬼人の彫り物がある石橋を作り終える。


「よし!良い感じで出来たな!


ラグはどうせだからこのまま来てくれ!


ではヴァイス!すまんが俺とラグは徹夜の橋作りで


眠いから暫く本気で寝る!だからその間は


フィルとルティ、ブラッドを案内してくれ!


フィルに俺が、ルティの元の姿にラグを


背中に乗せて動いてくれ!


ブラッドは周囲の監視確りとな!


何かあればラグ共に起こしてくれ!


ではルティ元に戻ってくれ!


ラグはルティの背中で寝ろよ!」


「分かりました!先生!」「コオォォン!」


「ブモォォ!」「ガアア!」「お休みを!主殿!」


俺とラグはフィルとルティの背中で熟睡した。




「・・・せい!先生!起きてください!」


俺はヴァイスに起こされて周囲を見ると


盗賊?悪党に囲まれてた。


人数は10人ほど。


「おい!ガキ!早く通行料払いな!」


「ここからはダスティ様の領地だからな!」


「払えないならその魔物を置いてもらおうか!


高く売れるだろうな!キャハハハ!」


「・・・すまんヴァイス?なにこれ?」


「お?寝起きのガキは分からないようだな!」


「優しい俺様が教えてやるよ!


俺達はダスティ様の部下で新たな貴族だ!


だから入るなら税を払いな!」


「・・・すまんまだ夢にいるわ!お休み!」


「お?また寝たのか?そのままあの世に行きな!!


キャハハハ!!」


「ギャハハハ!!助けなんていないなあ?ガキ?」


「ガハハハ!早く払いな!税金をよお?」


「先生!現実ですから寝ぼけないで!」


「ヴァイス?流石に夢だろ?


あの盗賊の姿で貴族なんて夢に決まってる!


だから寝直して再び新たな夢をみる!


馬鹿どもがいる夢から更にまともな夢を!じゃ!」


「先生!現実ですから!」


「おい?あの寝ぼけてるガキなんて言った?」


「馬鹿どもと言ったな?ふざけてんのか?あいつ?」


「ふざけてるのはお前らだろ?


盗賊の姿した貴族なんて聞いた事無いし


こんな森の中で囲んで税金払えなんてあり得ない!


ダスティなんて聞いた事無いしな!


だから夢だ!現実にいたら本物の馬鹿どもだ!


おかしな夢を見ているから寝直し新たな夢を見る!


な!当たり前だろ?薄汚くみすぼらしい格好で


それが礼服なら夢しかあるまい!んじゃまた後で


ブラッドとヴァイス?夢だけど頼んだぞ!」




トキは現実を拒否してフィルの背中でまた寝た。


橋作りで徹夜したので凄く眠かった。


「あのガキ現状わかってるのか?」


「しかもまた寝て熟睡してやがる!!」


「俺達の事を馬鹿にして寝やがった!!」


「反乱軍の一員の俺様達を虚仮にしやがった


そのままあの世まで寝てやがれ!!」


どうやら反乱軍の一員のようだ。




トキはパッと起き上がり盗賊を見直した。


「お?また起きたぞ?現実だと理解したのか?


馬鹿にした罪で直ぐに眠らせてやるよ!!」


「・・・お前らさ…反乱軍っつたか?今?」


「口の聞き方に気を付けな!ガキ!


ああ!俺達は王国反乱軍!


ゾラムの新たな貴族の人間だ!頭を下げな!!


馬鹿にしたから許さないけどな!キャハハハ!」


「・・・先生…理解しましたか?」


「あぁ…理解した!また寝るから起きるまでに


終わらせろ!2人残してな!後は肥料にしろ!」


トキは特製の耳栓をストレージから取り出し


耳に着けて寝た。




「ふざけやがってガキだからと我慢したが


もう良い!税金払えないなら殺せ!」


「不敬罪で死ねや!」


「・・・先生本当に寝ちゃったよ!?


穏便にするために起こしたのに・・・


ブラッド仕方ないから言われた通りにしようか?


僕が1人、ブラッドが1人で確保ね!大丈夫?」


「モオォォ!!」


「なら行動開始で!!時間は先生が起きるまでに!」


「ブモォォ!!」


「子供に何が出来るんだ?皆!行くぜ!」


「おう!殺してやる!!」


自称反乱軍とヴァイスとブラッドの戦いが始まった。


徹夜の後に来るなよ…眠いんだからさ・・・


タイミングを考えろよな?反乱軍(笑)


俺は深い闇に意識を沈ませた…




「・・・ン!あ~!よく寝た!


変な夢見たけど・・・なんだこれ?」


俺は目を覚ますと縛られた2人がブラッドに担がれてる。


耳栓を外してストレージに戻して周りを見る。


森の中で現在フィル達は歩いてる。


「先生?完全に目が覚めましたか?」


「あぁ!起きたよ…であれ何?」


俺はヴァイスにブラッドが担がれてるのに


理由を聞いた。


「先生・・・本当に寝ぼけてたんですね・・・


あれゾラム侯爵領に向かった時に現れた


王国反乱軍を名乗る盗賊ですよ?


言われた通りに2人確保したんですけどね…」


「あれは夢じゃあないのか?


通りで変な夢だと思ったよ!


そうか・・・殺してないよな?あれ?」


「まだ生きてるとおもいますよ?


情報源は大事ですからね!」


「・・・そのわりには痙攣してるが…


分かった!ありがとうな!


んじゃ!熟睡するからまた宜しく!!」


「!? 先生また・・・あぁ…寝ちゃったよ…」


トキは再度耳栓と新たにアイマスクを取り出して


フィルの背中で再度夢に入った。


ヴァイスは呆れたが確りしないと行けないぞと


意気込みフィル達をゾラム侯爵領へと歩み続けた。


ゾラム侯爵領中央まで後2日・・・


歩きなのでいつもより時間が掛かる。


周囲の村から見て回る事をヴァイスは決めて


街道を進んでいく・・・

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