第45話迷宮ホウリョー12

「関係者は全員揃ったようだな?


では・・・正座あぁぁ!!!」


トキの住む家にクリプス辺境伯とクルス隊長、


冒険者ギルドのハリーギルド長が集まり、


異世界にはない正座をさせる。




レクチャーはヴァイスと牛鬼人のブラッド。


確りした正座姿を見せて土下座も教えている。


経験させてるからだなと考えた。




本来ならクリプス辺境伯は貴族だから


不敬に思われるが関係無い。


ヴァイスがいるからだ。


クリプス辺境伯は冒険者の息子に会いにきた。


警備にクルス隊長を連れている。


家に入ればこっちのもの!


外聞なんて分からない。




ハリーギルド長は無理矢理拉致した。


ギルド員のゾルが功績により


補佐官へと昇格したので


互いに話し合い計画を立てた。


ゾルもはぐらかされていたので


上手く手伝ってくれたのだ。


俺の説教は当たり前と快く許可をくれた。


依頼を通して良い知人を得る。




ちなみに牛鬼人のブラッドとルティを


テイマーギルドで登録、更新しに行くと


用紙を記入したら受付の女性が青ざめて


卒倒してしまった。


何事かと思い他の受付の男性が現れ


同じく用紙を見たら同じように卒倒した。


危険度ランクSの牛鬼人の登録と


危険度ランクDマーブルテイルから


危険度ランクAのゼクスマーブルテイルへの更新。


これでは不味いとゲルム補佐官に


新たに来た受付の女性に連絡させる。


ゲルム補佐官の部屋に行き、事情を説明。


同じく青ざめたが流石補佐官。


我慢して登録と更新を終えた。


なんとなく理解してるが青ざめた理由を聞くと


べラムいやエクサクロス内で


危険度ランクA以上を3体従魔してるのは


数少ないらしくそんな魔物を見た事無いらしい。


ルティについてまだ進化するから都度更新すると


告げた途端にゲルム補佐官は倒れた。


俺は何も見なかった事にして家に戻った。




シルド達の子供も元気に過ごしていた。


連絡通り大人と子供達にテストさせると


及第点は免れて安心していた。。


今はシルド達と共にグループに分かれて


森で魔物討伐依頼を受けている。


貴族達の説教姿は見せられないからな。


朝から出掛けさせ夕方に帰ってくる様に


伝えてある。


家の仕事も今日は休みと告げて全員行った。




今家に居るのは俺と仲間達と関係者の3人のみ。


最初はヴァイスにクリプス辺境伯を呼ばせて


クルス隊長を警護にと来させた。


ヴァイスに会う理由に冒険者の活動報告と


安否確認をさせるためを理由にした。


流石に使用人の前で怒るのは侮られると思い


歓迎すると伝えると予定通り来てくれて


内心ほっとしている。


そしてヴァイスからブラッドの説明させて


歓迎ムードでお茶等用意して和ませてから


暗に依頼についての怒りを伝えさせる。


怯えから喜びそして青ざめの表情の豊かさには


フィルのリアクション並に驚いた。




そしてヴァイスとブラッドから正座について


教えてる時に俺はハリーギルド長を


ギルドから拉致して屋根を伝い戻ってきた。


ハリーギルド長は部屋でくつろいでいた。


部屋には多数の罠が仕掛けられていたが


ゾルの協力でその場で解除してもらい


ゾルと手を振って笑顔で別れた。


手足と口を縛り袋に入れられたハリーは


暴れたが家に着いてクリプス辺境伯と


クルス隊長の正座講座を受けて何故なのかを


一瞬で理解して一緒に受けてくれた。


迷宮についてだとヴァイスがぽろっと


溢したから。




こうして講座を終えて俺の前に立たせてから


正座あぁぁに至る。


3人共に正座を確りした形で床にしている。


俺の隣にヴァイスがいて


3人の後ろにそれぞれフィル、ルティ、ブラッドが


監視している。ルティは元の姿で。




「さて・・・ヴァイス?


簡単に簡潔に関係者へ教えてやってくれないか?


何故呼ばれ何故拉致られ


何故正座させられてるのかをな?」


「分かりました!先生!


理由は簡単!迷宮についてです!」


「素晴らしいね!分りやすいよ!ヴァイス!!


100点満点の正解だ!


何故呼ばれたか?迷宮について!


何故拉致られたか?迷宮について!


何故正座をさせられてるか?迷宮について!


これしか無いよな?ありがとう!ヴァイス!!」


「ありがとうございます!先生!」


ヴァイスは誉められお礼を言った。




「さて諸君?理由は分かったよね?


迷宮について何かあるなら話してくれないかな?


何故繋がった穴は人工的なのか?


何故繋がったのか?


何故ミノタウルスを教えなかったのか?


何故砦の隠し部屋を・・・これは良いか!


何故洞窟の迷路について話さなかったのか?


何故千の魔物のいる部屋を教えなかったのか?


何故巨体の魔物について教えてないのか?


これはロックゴーレムの事だよね?


5mは巨体だからね?


色々聞くことあるんだよね?


随伴したギルド員達にも今回の事を聞いて回り


青ざめて知らなかったと謝られたよ?


問い詰めてもはぐらかされたと全員が言った!


話を合わせた?違ったよ?ブラッドのお陰で


正直に自分達が持っている情報を教えてくれた!


そしたら全員が同じ最低限しか教えられてなく


後悔していた・・・そんな場所に冒険者を


行かせたなんてね?冒険者は自分の命は


自分で守るのが信条だが今回はランクC以上の


危険な魔物のミノタウルスが2体居た!


千を越える魔物が居る部屋があった!


そんな場所に考えなく行かせるギルドはないとね!


争奪戦なんて軽々しく言えないとね?


冒険者ランク上位の内の1人が言ってたな?


『これは想定危険度ランクCではない』とね


確り調査をしていれば絶対にランクAだともね?


ミノタウルスに千を越える魔物の部屋…


迷宮が繋がり強化された魔物と増加した数!


実力が不足していた?装備が貧弱だった?


強者が少なかった?人海戦術で行けると?


ハハハ!笑わせるなよ?舐めるなよ?


俺は今回参加した1人の冒険者として


言わせてもらってるんだ!内密にね?


じゃないとテイマーギルドの二の舞だよ?


子供達にも見せないために外出させてるんだ!


この件は有力な権力者全員が知ってると


ある情報を受けてね?集めたのが諸君だ!


領土を治めるスーサ=クリプス辺境伯!


べラムの街警備隊のクルス隊長!


冒険者ギルドべラム支部長のハリーギルド長!


知らない案件とは言うなよ?そっちの落ち度!


べラムの事なんだから!依頼者なんだから!


さあ!話してくれないかな?スーサ殿からね?」




俺は殺気混じりの怒気を発しながら説明を求めた。


ちなみにブラッド以外も怒ってる。


ブラッドは関係無いからね。


怒気にやられたのかクリプス辺境伯は喋らない。




「あれ?喋らないのかな?言いたく無いのかな?


冒険者となった息子が死地に行ったんだよ?


冒険者になったから関係無くなった?


自分の命は自分で守らないと?


そんな場所に勝手に行った?


んー・・・体裁を気にしてるのならね…


ここには必要なんて無いんだよね?


その為に人払いして内密にしてるんだからさ!


ここには貴族なんで権力はないんだよ?


1人の人間として居てもらってるんだ!


1人の親としてもね?だからね話してくれないかな?


ろくでもない事に巻き込まないと考えてるのかな?


残念でした!もう当事者なんだからさ!


俺が完全に怒る前にさ?まだ理性残してる内に!


・・・話さないなら…はい!次!クルス隊長!」




俺は穏便に済ます為に理性を3割残してる。


クリプス辺境伯が話さないのでクルス隊長を指名した。


だけど話さない。沈黙している。青ざめたまま。




「ふぅ・・・隊長も黙りをしますか…


あのね隊長?この事はべラム全体の問題だったんだ!


考えてみてよ?もし俺達が殺られたらさ?


誰がべラムを守るの?もちろん警備隊だよね?


そしてもし!もしだよ?警備隊が殺られたら?


王国や世界で強い冒険者を雇うのかな?


その間、住民はどうなるのかなあ?


食品が流通しなくて食べ物が無くなる!


食べ物が無いから自分達で取りに行き自分達が


餌となる!もしかして自分達で食い合うのかな?


怖いねぇ!知性なんて存在しない街が出来上がるね!


もしくは上手くいくかも知れないけど反乱起きる!


その時止める人は誰もいないよ?死んでるからね!


その時雇われた冒険者は踵を返して戻るだろう!


自分の命は自分で守らないとだからね?


態態自分から反乱に入る赤の他人なんていないよ?


雇われたからなんて理由にならないからね!


さて住民の為にも話さない隊長なら


次は依頼者の登場だよね?ハリーギルド長?」




俺は最悪を想定してべラムの街の未来を告げた。


残った冒険者なんてランクGの小遣い稼ぎの住人。


守れるか?無理だろう…魔物と戦った事無いから。


そんな人がミノタウルスと戦う?確実に逃げるさ。


信用第一の冒険者も自分の命には比較しない。


強くても絶対がないのがこの世界だ。




さて話してくれるかな?駄目ならこっちの


質問に答えて無理矢理にでも話させよう!


理性は2割を切っている。


同じく黙ったままのギルド長。




「あなたもですか・・・ふざけてるのかな?


あれかな?雇った冒険者がちゃんと


調査してないから私は悪くない!


冒険者の怠慢だと言いたいのかな?


違うだろ?ギルドの怠慢だよな?


ちゃんと確り調査してたら争奪戦なんて言わない!


冒険者は欲に眩むから扱い易いと思ってる?


ハハハ!冒険者も人だよ?しかも知性ある!


感情や信念よりも命は大事な物なの!


それを蔑ろにしてさ!神様なのかな?


絶対なる支配者なのかな?単なるギルド長だろ?


さてもう一度言おうか?長い時間で忘れたろ?


ミノタウルス、千の魔物、迷宮の繋がり、


危険度ランクの想定、巨体の魔物について、


人工的な穴、洞窟の迷路だよ?


多くないよな?7つの質問だ!答えられるよな?


正直に言おうか?まだ理性あるがあと少しで


俺は完全に怒る!優しさなんて無くなるよ?


なぁ?ヴァイス?フィル?ルティ?ブラッド?


俺はまだまだ理性的だよな?」




咄嗟にヴァイス達は聞かれて説得をする。


「お父さん達!今の内に話さないと本当に


下手したら命無くなりますよ!」


「キュイ!!」「モォォォ!!」「早く答えて!!!」


ヴァイス達は焦ってる。


今までに無いほどに我慢しているトキを見て


怒りが爆発した時の想像が出来なかった。


街が消えれば御の字だと感じる程に・・・


しかし答えない大人達。




俺は懐中時計を取り出して時間を見る。


今は午前10時36分。


「ヴァイス達の説得も駄目か・・・


子供に説得されてむきになったかな?


なんで子供に説得をされないといけないのか?


俺達は大人だぞ?ってか?下らないプライドだな!


偉くなるとそんなにプライドが高くなるのか?


俺と会った時のお前らはそんなのみじんも


感じなかったんだけど時間は悪だな!


とりあえずカウントダウンを始めよう!


ヴァイス達の説得や俺の優しさも無視するんだ!


覚悟あるんだろ?自分でもあれだが凶変するぞ?


ブラッドは初めて見せるかな?


いや?俺でもここまでの怒りは感じた事はない!


ほら!ヴァイス達見ろよ‼俺の怒気にやられて


完全に防御態勢だ!普段は無い事だからな?


それを踏ませたのがお前らだ!


街が消えても仕方ないだろうな・・・


では10、9、8・・・2、1、ゼーロ!!!」




カウントダウンが終わり怒りの蓋が外れた。


部屋内に怒気混じりの殺気が漂う。


割合が完全に変わった。


ヴァイス達は完全に怯えて座り込み


嗚咽しながらなんとかごめんなさいと聞こえる。


魔物が怯える、震える、嗚咽する。


そんな存在が目の前に誕生した・・・




「てめぇらよお?ふざけてんのかぁ?


もうおさまんねえぞ?コラアァ!!!」


トキは爆発した・・・

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