第38話迷宮ホウリョー5
トキ達は通路の罠を解除しながら
奥へと進んでいく。
虫型魔物に途中襲われるが難なく倒す。
暫く進むと大きな扉を発見する。
人よりも大きな5mはある扉に
トキ達は止まり考える。
「・・・これは隠し専用ボスかな?
通路も確実に砦から出ちゃってるし・・・」
トキ達が歩いた長い通路は下へと傾斜をつけており
現在位置は砦の外で洞窟と反対の位置に存在している。
2階から通路を歩き、分かれ道を経てから
螺旋状に進み直進して今に至る。
「先生?これは進みますか?
ボスがいて戦闘に入ると確実に時間喰いますよ?」
「同意です!主殿!迷宮核先に壊されますよ?」
「キュイ!キュイ!」
「でもなぁ・・・目の前に宝があって取らないのはな…
実際誰も入った事が無い場所だぞ?
もしかしたら洞窟の迷宮核が偽物で本物が
前にある可能性も考えられるしな…」
「まあ・・・そうかも知れないですけどね…」
「という事で・・・入ろうか!」
「入るの確定してたんですね…分かりました!先生!」
「了解しました!主殿!」「キュイ!」
「皆の了承得た事で入るがその前に
ボスの能力によってある程度の能力制限を
各自解除しても良い!
ヴァイスは4割ぐらい!フィルは1割!
ルティは元の姿で1割を最低限とする!」
「「了解しました!先生!(主殿!)」」「キュイ!」
俺達はそれぞれの能力について決めて
俺が大きな扉を開ける。
ゴゴゴゴゴ・・・
重く低い音が響きながら開いていく。
部屋の中を見ると・・・
大きな部屋で広く、天井が高い。
その部屋に3匹の小さな小鬼型魔物ゴブリンが見える。
緑の醜悪な姿で異臭を放つ魔物。
体長は1mぐらい。
3匹がちゃぶ台を囲んで話していた。
「ギギャ・・・ギギャギギャ」
「ギャギャ?」
「ギギギ!ギギャギャギャギャ!!」
「ギギャ!ギギャキャ!」
談笑しているみたいだ。
扉が開いた事に気付いていない。
部屋の奥にはもう1つの扉が見える。
「ここでゴブリンか・・・守護者かな?
流石に普通とは言えないと思いたいが…」
「そうですね・・・談笑してますよ…」
「先日見たお笑い魔物について話してますね!
話を聞くとコンビの喜劇をしたみたいです!
猿型と熊型の魔物だそうです!」
「なにそれ?お笑い魔物?観たいんだけど!!」
「キュイ!キュイ!」
「僕も観てみたいですね!魔物がどんなのをするのか
笑いのツボが同じなのか調べたいですね!」
「聞いてて私も観たくなりました!」
戦闘シーンになるはずがフィルの言葉で
展開が変わる。
・・・魔物の世界でもお笑い芸人いるのかな?
疑問に思ってると1匹のゴブリンが
扉が開いてるのに気付いた。
「ギャギャ!」
「ギャギャギャ?」
「ギギャ!ギギャギギギャ!!」
それぞれが武器を持ち始める。
鉈に大剣に斧。2回りも大きな武器を
軽々と持ち上げていく。
「凄いな…あの体にどんな筋力が付いてるんだよ?」
「不思議ですね?僕達も同じ様な存在ですけど…」
「キュゥゥゥン…」
「主殿!私達に気付き戦闘態勢に入りました!」
「くそ!お笑い魔物について知りたがったのに!
倒しづらいじゃないか!」
「先生!そんな事言ってる場合じゃないですよ!」
「キュイ!」
「主殿…私も殺りづらいです…」
ゴブリン達はちゃぶ台を持って端に移動させ
真ん中に陣を敷く。
「仕方ない!突入するぞ!」
俺達は部屋に入っていった。
俺達が部屋に入ると扉が勝手に閉まり
鍵が掛かる。部屋も一回り大きく変化する。
「驚きの不思議部屋だな!鍵なんてなかったし…
気のせいかゴブリン達が大きく見えるな…」
「気のせいではないですよ!ゴブリンから
赤と青のオーガ2体、黒のスプリガンへ変化を!」
「緑のゴブリンから巨体のオーガにスプリガン…
しかも色つきか…固有個体かな?
スプリガンはまだ小さいが巨人になるから
気を付けろよ!油断するなよ!!」
トキはヴァイス達に説明すると
敵対する魔物が襲いかかる。
トキにスプリガン、ヴァイスとルティに赤のオーガ、
フィルに青のオーガが敵対する。
「フィル!!そいつに確認したい事があるから
確認してから倒せよ!!」
「お笑い魔物についてですね!了解です!主殿!」
シリアスな戦闘シーンが台無しになる。
各自が周囲と離れてから戦闘が始まる。
ヴァイスとルティと敵対する赤のオーガ。
オーガは3mの巨体を持ち武器は右手に鉈を持つ。
「ガアァァ!」
叫びと共に口から火のブレスを放つ。
ルティはヴァイスの頭に乗り、
ヴァイスはプレスを左に避ける。
避けると同時に普通のチャクラムを放ち反撃をした。
チャクラムは放物線を描きながらオーガに
進んでいくが鉈で防がれてしまった。
オーガはヴァイスの元に体当たりを仕掛ける。
能力を制限しているヴァイスには見えていたが
あまりの早さに驚き攻撃を受けてしまう。
「ガッ!苦しい!」「キュゥ!」
ヴァイスの頭から離れないように踏ん張るルティの
尻尾がヴァイスの首に巻き付く。
ヴァイスは複数から攻撃を受けていた。
「キュゥゥ!」
ヴァイスの頭からルティは上空に
赤い火の玉の雨を打ち出す。
上部からの攻撃で怯んだオーガは後退り
距離を稼ぐが隙を見てヴァイスが前に出て
オーガの体に剣で横に切り裂く。
オーガは鉈で防ぐが子供と思えない強力な力に
驚愕し鉈を縦から斜めに変えていなしていく。
再度距離を取り互いを見据える。
オーガは子供と侮らない様に考え戦略を
組み直していく。
ヴァイスとルティも火のオーガについて
思考を巡らしていく。
赤のオーガは鉈を構えて突き刺す様に
突進してくる。
ヴァイスは体を右前の半身にして避けるが
オーガは鉈を横に振り抜きヴァイスに追撃する。
「グゥ!ガッ!」
ヴァイスは剣で防ぐが力に押されて飛ばされた。
飛ばされたのを見て笑顔になるオーガだが
体に痛みが走る。
左腕と左腿の痛みの元にはチャクラムが刺さっている。
飛ばされたヴァイスは衝撃から避ける為に自分から
後ろへ飛び同時にチャクラムを放っていた。
「ギャアアア」
慣れない痛みに思わず叫ぶオーガ。
チャクラムには炎を纏わせており
切り裂きながら焼いていた。
チャクラムを抜き捨てヴァイスに怒りを表す。
「ルティ!乗るよ!」「キュイ!」
ルティはヴァイスの頭から離れて
姿を変化しながら前に飛び出す。
ヴァイスの目の前には体長3mある
6尾の狐、ゼクスマーブルテイルが現れる。
ルティは進化していた。
スーサイドでの生活でフュンフマーブルテイルから
ゼクスマーブルテイルへと。
普段の赤と黄色のマーブル模様の姿から
黒い肢体に赤と青、黄、紫、白、黒の尻尾を
優雅に揺らしながら出現する。
ドシンと地面を揺るがし四足で立つ。
「コオォォォォン!」
ルティが威嚇と共に変化完了の声をあげる。
ヴァイスは跳んでルティの体に跨がる。
青と白の尻尾をヴァイスの体に巻き付き固定する。
オーガとルティの間に雷が落ちる。
第2ラウンドの鐘がなり開始の合図が響いた。
ルティは巨体をものともしない早さで
オーガを翻弄し始める。
見切りをしてオーガの鉈での攻撃がルティへと
向かうが切った感覚が訪れない。
ルティが今まで居た場所には幻影が残り
分身してる様にオーガの周囲に現れる。
オーガは回転し横に一閃して薙ぎ払うが
全てが幻影で幻影の中に一部、雷と火の魔法が
織り込まれており自動的に静かに反撃を行う。
雷魔法は鉈を伝導して徐々にオーガの体に痺れを、
火魔法は鉈を徐々に熱くさせ持てないように
圧縮された小さな塊が幻影の中に仕込まれている。
オーガは体や鉈の違和感に気づくが
気にせず幻影を攻撃していく。
ついにオーガは複数の雷、火の魔法を受けて
鉈が熱くて離してしまい、体が痺れて動けない。
バットをスイングした様な姿で止まってしまった。
ヴァイスはルティから離れて剣に風と火の魔法を
纏わせて青く揺らめく炎の剣が形成する。
「ヤアァァァァ!!」
ヴァイスは声と共に剣をオーガへ上段から下段へと
振り抜きオーガの両腕を焼き切り、
剣の向きを変えて下段から上段に斜めへ
逆袈裟斬りをして胴体が焦げながら崩れていく。
オーガは崩れていく体で目の前の子供を見て
焼けた肉の匂いを感じながら目を閉じ意識を失なう。
ヴァイスは剣を元の姿に戻して残心する。
ルティも子狐へ姿を変えてヴァイスの頭に乗り
良くやったと頭をポンと叩いていた。
赤のオーガとの戦いはヴァイス達が勝利した。
ヴァイスは部屋の2つの戦闘音に気づいて体を向ける。
1つはフィルが喋りながらオーガに空中で前方に
腹を見せて前転の要領で青のオーガに
四足の爪で切りつけ、縦に裂き青い液体が流れている。
「フィルは器用な戦い形するね…」「キュイ!」
もう1つの音に向けると
トキが黒い巨体からの攻撃に対して
アクロバットに避けて右手に改造したハルバードを持ち
笑いながら足元の皮膚を削り落としていく。
良くみると全身が黒から赤い姿に変化している。
わざと終結を遅らせてる様に感じた。
「ルティ…先生が怖いよ…」「キュゥ…」
隠し部屋の対決の軍配はトキ達に向いていた。
フィルと青のオーガの戦闘は会話から始まった。
「こんにちわ!フィルです!貴方と戦いますね!」
「ガアァァ!ガアァァ!」
「礼儀はあるみたいですね!ドルガさんですか!
名前持ちなんですね!驚きました!
魔物は名前なんて種族名しかないですからね!」
「ガアァ!ガアァァ」
「なるほど!主人に名前を…そして恩を感じてると…
その主人の名前を教えて頂きありがとうございます!
ザルツ様はどこにいるんですか?」
「ガアァ…ガアァァ…ガァァ…」
「不要な質問でしたね…すいません…
砦の建築当初に当時の司令官に隠し通路で…
だからここを守護者として守ってたんですね!
感心しました!では最後に先程のお笑い魔物に
ついてですがどのような魔物なんですか?」
「ガアァァ!ガアァガァ!」
「なるほど!人間の真似事で始めたらしいと!
名前は自分達で『ウルベア』として世界を旅してる…
不思議な魔物ですね!一度お会いしたいですね!
では…ザルツさんの冥福を祈りながら
何百年も守護者としてのドルガさんへの尊敬を抱いて
戦いを始めましょうか!!」
「ガアァァ!!」
フィルは情報を集めながら戦っていた。
どうやら3匹はザルツの従魔だったそうだ。
名前は青のドルガ、赤のベルン、黒のリガン。
それぞれが固有個体で優しい主人の命で
ゴブリンの姿をしていた。
建築者だった当時40代のザルツは当時の国王の勅命で
この砦『ワンドラ』を築いていた。
従魔達も一緒に作り砦を完成させた。
この部屋は秘密に造られた思い出の場所。
当時は4人でここを拠点に建築ををしていた。
当時は砦と繋がっていなかった。
砦が完了し数日が経ち、建築祝いとして
ザルツ達はこの砦に呼ばれた。
喜びながら向かったがその祝賀会は罠だった。
当時の司令官達が砦を見て他の国でも
建てられない様に砦の機密保持として
勝手にザルツを隠し通路へ幽閉し
内密に魔術師に呪いを掛けさせた。
ここから出られないように・・・。
ザルツ達は通路を拡張していく。
出られないなら繋げば良いと。
隠し通路の出口は森に繋がっている。
ドルガ達に頼んで食べ物を用意して貰っていた。
通路を拠点と繋ぎ生活をしていく中で
2つ目、3つ目の呪いが発動する。
当時の司令官が完全に殺すために
複数の呪いを掛けさせていた。
人間関係の断絶、能力の低下、
そして反転する生態へと・・・。
徐々に主人が魔物へと変貌していく。
ザルツは人間としての気持ちが
消える前にもう1つ通路を作り
その奥で命を絶った。
箱と従魔を残して・・・
主人を喪った悲しみに溢れる日々。
数年が経ちドルガ達は復讐を実行した。
砦の者達に対しての正当なる行いとして。
砦の周囲に狩られていく魔物を密かに保護して
数を増やしていった。
充分な数を揃えて魔物達と砦を襲撃した。
砦の周囲にいた魔物も心を持つ。
仲間が狩られる姿に思いを募らせていた。
こうして砦の陥落を完了し魔物達は
砦での生活を行い始めた。
ドルガ達は思い出の場所で終わりまでいると
告げて今の部屋で生活をしている。
書斎にあった資料はリガンが纏めた物らしい。
リガンはザルツに文字を習い記載していた。
フィルは資料と砦の謎に理解して
ドルガと最終局面を迎えていた。
傷だらけのドルガに対して無傷のフィル。
ドルガは斧を用いて戦うが当たっても
歯零れを起こすほどに固かった。
フィルは体に風を纏い土で覆ってる。
ドルガの鋭い一撃も風で和らぎ土で止められる。
水のブレスや水の玉、生き物に姿に水を変化させ
攻撃するも意味を成さなかった。
一方でフィルの攻撃は多彩な攻撃にも
驚きながらも当てていく。
爪や風の刃、土玉がドルガに襲い痛みを与える。
「お疲れ様でした!ドルガさん達の過去を知り
納得しました!私も同じ事をしたでしょうから!
ですが・・・今は主人の許に向かってください!
怒られるでしょうがきっと赦してくれるでしょう!
それではありがとうございました!」
ドルガの斧の一撃を避けて宙を飛ぶ。
空から下降して嘴を開けて突撃した。
フィルは嘴で挟みドルガの首を体を
回転させてねじきった。
ドルガの頭は胴体から離れてゆっくりと
フィルの嘴から地面へと置かれる。
フィルは尊敬の念を持ちながらドルガの首を見ている。
ドルガはフィルに対して感謝しながら
目を閉じ意識を暗闇に落とす。
ドルガとフィルの戦いは互いに敬意を持って
幕を降ろした・・・。
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