第19話街べラムー4

魔物の定義か・・・


フィルに質問されて魔物とは


異常な力を持つ生き物が魔物で魔法の有無は


関係ないと答えたが実際どうなんだろ?


異常な力を持つとは異常な能力を持つ事。


という事はどうなのか?




異常をつければ魔物になりえる。


異常な力、異常な防御、異常な速さ、


異常な魔力、異常な魔力の行使、


異常な生態系、異常な姿…など


挙げていけばキリ無い。




動物だから魔物になるのか?人ならどうか?


人は魔法を使う。魔法を使う物が魔物なら


人も魔物となる。人を人物と呼ぶから。


でも人も異常な能力持つと化け物と呼ばれる。


化け物と魔物は一緒じゃないのか?


それじゃ魔物は・・・




馬車の中で魔物の定義について考えると


堂々巡りしてる感じがして唸る。




「トキ君?どうしたのかな?」




クリプス辺境伯が俺に話し掛ける。


今俺はクリプス辺境伯と馬車の中にいる。


馬車には他にクリプス辺境伯の息子と


メイド、いつの間にかルティもいて


メイドからブラシを貰ったのか息子が


ルティへブラッシングしている。


「キュゥゥゥゥゥ・・・」


嬉しそうに鳴いて和んでる。


・・・ルティ?いつの間に中に?




「いえ…ちょっと考えて事を…」




「そうか…なら良いがずっと黙ってるから


何か有ったのかと心配したよ!


酔ったのかなとね!


考え事は誰かに話すと解決策が浮かぶよ?


私も色々と悩むと意見を求めて


様々な人に聞くよ!老若男女問わずに!


悩みの中には貴族関係もあり迂闊に


話せないがそれ以外は住人にも聞いてるよ!」




クリプス辺境伯は俺の思っていた貴族と違うらしい。


傲慢で金と女に目がなく、常に自己中心的。


住人は金蔓で贅沢三昧。物欲があり肥えている。


上昇思考で人を落とす事に思考を巡らす。


そんな貴族を思っていたが


今の話とさっきの俺に対する姿勢で違うと


判断した。


まぁ演技かもしれないが第一印象は良い。


その息子とメイドにルティがなついてるのも


好印象をもたらす。




人は何かに対する姿勢は周囲の影響から形成する。


傲慢な親には傲慢に接する子供が、


逆に優しい親なら優しく接する子供となる。




俺の持論だが生き物は承認欲求を持つ。


認められたいと価値を持ちたいと思う。


否定されると反射的に反抗する。


価値を感じたいから。満たしたいから。


しかし否定され続け抑えられると


環境によって変化するが精神が弱まり


全てを諦めて自己否定し全てに嫌悪し


絶望し堕ちていく。


堕ちる先は考えるまでもない。


最後の希望として次の生を願い死を望む。


でも1人は嫌なので周りを巻き込む。


恨みや妬み、悪意を基準に考える。


そして自棄を起こして行動する。


その結果は・・・言うまでもないだろう。




人が1人では弱いと考えられるのは


これが原因だと俺は思っている。


俺もあの森、スーサイドで絶望した。


絶望しながら自棄を起こし弱い魔物を狩る。


魔物を狩り続けて精神も強くなり


魔物を狩る事で承認欲求を満たした。


今ではルティとフィルがいるから


大丈夫だが欲求に底は無い。


だから必要以上の物は求めない。




・・・話が逸れてしまった。


俺はスーサ辺境伯に悩みを打ち明ける。


するとスーサ辺境伯も悩んで唸る。


元はフィルとクリプス辺境伯からの会話から


始まってるので当事者だ。


責任を感じたのか一緒に考える。




俺達の隣でルティを抱いて息子が寝ている。


・・・大分打ち解けてるな。




俺はクリプス辺境伯にこの話は永遠の宿題と


伝えて街について話して貰った。




クリプス辺境伯が治めてる街はベラル。


ラジュマ王国でも辺境にあり


王都から随分離れている。


(辺境は都から離れた土地、国境を意味する)


人口は約8万人。多数のギルドがある。


山や森に囲まれた自然の要塞。


辺境であるが活気があり貿易も盛んで


通商や冒険者も多い。


理由は辺境の治安維持、魔物の部位の需要。


辺境なので魔物が多くこの場所にしかいない


魔物や動物が生息し様々な迷宮や領域がある。




「・・・とまぁこんな処かな!


トキ君はルティとフィルが居るから


何処にいても心配ないと思うよ!


けど私の街を拠点として行動するなら


めんどくさいと思うけど従魔として


テイマーギルドへ登録と冒険者ギルドへ


登録しないといけないよ!」


クリプス辺境伯は2本、指を立てて話す。




テイマーギルドと冒険者ギルドが


街にあるらしい。


「やっぱりしないとダメですかね?」


「もちろん!自衛出来るからといっても


可愛いマーブルテイルのルティと


喋るグリフォンのフィルは狙われるよ!


どちらも魔物だしね!


冒険者ギルドも登録していればどの街にも


ある程度自由に入れる通行証となるよ!」




「そうですね・・・登録します!」




「良かった!トキ君みたいに強い人達は


ベラルとしても私にとっても心強いよ!


登録してないと最悪討伐されるし


知り合いがいなくなるのは悲しいしね!


息子のヴァイスとルティは仲良いみたいだし


助かるよ‼姉が嫁いで1人息子になってしまって


家に籠るようになってしまってね…


仲良いのはメイドのメリアとリアンだけなんだ…


私はこの機会に外に出てくれると嬉しい!」




・・・色々あるんだな…クリプスさん…


クリプス辺境伯は俺に手を重ねて握手する。


「私の事はクリプス辺境伯ではなくスーサ殿と


呼んでもらいたい!呼び捨てでなければ


問題無いよ!トキ君!」




・・・気に入られたかな?これは…


「それではスーサ殿!お願いします!


たまに顔出してヴァイス殿とルティを


合わせますよ!」


「それは嬉しい事だ!こちらからも頼むよ!」




俺達が話をしているとベラルに着いたらしい。


何故、らしいなのか?


馬車後方のグリフォンを見て周囲の通行人と


通商、警備兵が騒いでいるからだ。

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