第46話「なんてこった、鑑定しよう(後編)!」


 さて、

「どれどれ……」


 ※ 闇骨王の冠 ※


 闇耐性──中:増

 聖耐性──極大:減

(聖属性に耐性がなくなる──死にます)


 その他の魔法耐性──小:増


 魔力微量増幅──体内の魔力をかなりに消耗する代わりに、魔法に威力を僅かに上乗せ


 死霊忌避【アクティブ】──下級以下のアンデッドが避ける(中級以上には効果なし)


 死霊言語【アクティブ】──アンデッドと意思疎通が図れる(ただし、精神負荷が大)


 瘴気【アクティブ】──魔法を吸収し、威力を減じて反射

 


 ──────って!

 え?!

 

 し、死ぬの!?


 マジで!?


 あ、……ダメだこれ。

 罠アイテムだわ。


 被ってる時に、浄化魔法をかけられたらアンデッドみたいに死ぬらしい……。


 え? マジかこれ。


「こんなもん、売るしかないな……」

 好事家なら買うかもしれない。

 それに金や銀が使われているから飾るだけなら価値はありそうだ。


 でも俺は装備しない。

 だって死ぬもん!


 あー……。ろくでもないもんだわ。

 あとは、心配しかないけど……。


 最後に────。


 ※ 闇骨王の腕輪 ※


 聖耐性──小:減

 その他の魔法耐性──小:増

 魔力増幅──体内の魔力をかなりに消耗する代わりに、魔法に威力を僅かに上乗せ


 恐怖耐性──大:増


 ????覚醒──効果不明、何かを覚醒させる。



 んーーーーーーーー……微妙。


 恐怖耐性はともかく、聖耐性が下がるのはちょっとな……。

 多分、聖職者が作る結界とかに入ると、痺れたりするんじゃないだろうか。

 リスティが得意だった結界魔法からはじき出されるとか勘弁だぞ。


 そして、「????」だけど……。

 多分、これってあのダークボーンドラゴンに関係しているな。


 覚醒っていうくらいだから、ダークボーンドラゴンが目覚めた原因に直結しているのは間違いない。


 腕に眠る力が覚醒────とかだったらカッコいいけど、……ないな。


 となると、結局使えそうなのは杖とナイフと弓か────……。


 ローブもあるけど、もういいや。

 どうせ着ないし……。

 さすがにこれを着るのは勘弁願いたい。


 なんたって、死体が着ていたんだもん。

 絶対腐敗汁とか吸ってるし、かび臭いし……──うん、バッチィ。


 とはいえ、効果は高そうだから、街でなら高値で売れそうだ。


 どっかの、枯れた爺さんが買ってくれるだろうさ。

 爺さんも爺さんで、棺桶に片足突っ込んでて墓場いくのも近いから、きっと似合う似合う。


 な~んて、失敬な事を考えているビィトだったが、その実苦労の割に実入りが少ないことに多少なりともガッカリしていた。


 杖が手に入ったのは嬉しいことだが、この杖を使った場合、魔力を無尽蔵に使うというわけにはいかなくなる。


 熟練度を高めたビィトの腕ならほぼ体力・・が尽きるまで魔法を使い続けることができる。

 だが、杖を使って魔法を行使した場合、その補助を受けて魔力が多めに吸い取られる。

 その差は微々たる量かもしれないが、普段使いの魔力よりは明らかに多くを消耗するのだろう。


 使いどころを間違えれな諸刃の剣となるかもしれない。


(ま、研究だな、こりゃ)


 切り抜けられる場面ではいつも通り杖の補助なしで魔法を使った方がいいかもしれない。

 ビィトは、魔力の枯渇とは無縁なため、あまり意識したことはないものの。

 魔力の回復はしっかりとした休養・・・・・・・・・を取るか、マジックポーション等のアイテムを使用しなければならない。


 その点、ビィトの場合は──下級魔法に限りほぼ無尽蔵に魔法を使える。


 それは大きなアドバンテージだ。

 しかし、闇骨王の杖を使った場合────威力と引き換えに、普段は減ることのない魔力が減っていくということ。

 敵前やダンジョン深部で魔力切れになったら目も当てられないことになる。


 ……もっとも、それは普通の魔術師なら誰にでも付きまとう問題なのだが……。


 ビィトはこの点が無頓着だった。


「さぁ、鑑定はこれくらいにして────」

「お兄ちゃん! わかった! わかったよー!」




 んん?

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