第13話「なんか巣穴を見つけました」
どうも、しっくりと来ない反応をするエミリィを不思議に思いながらも、ビィトはラージアントの死体を追うように巣穴を目指す。
残した一匹はそのまま逃げ帰るだろう。その
点々と死体と、そのドロップ品が荒野に散らばっているが、回収は後回しだ。
放っておくと鳥類に食い荒らされるだろうが…仕方ない。まずは迅速に
エミリィが着いてきているのを確認しながら、ラージアントと適切な距離を保ちつつ追跡する。
群れを編成しているの時はノロノロと歩いているのに、
速い速いっ!
チョコマチョコマカと、6本の足をせかせかと動かし逃げていく。
しかしその動きは直線なので、
「やっぱりダンジョンに近いな…」
どういった習性か知らないが、広い荒野でありながら───この地方に住むラージアントはわざわざダンジョンに繋げるかのように巣穴を掘ろうとする。
もしかすると、ダンジョンからなにか甘いものでも出ているのだろうか?
ちなみに、
ダンジョンと巣穴が繋がると、ほどなくしてラージアントはダンジョンのモンスターに駆逐されて全滅するらしい。
つまり、繋げてもラージアントに良いことは何もないのだ。
「お兄ちゃん!」
うん! ……エミリィが指さす方向。目を
うず高く積みあがった土砂をみれば、ラージアントの
ここまでくればもう案内は必要ない。下手に巣穴に逃げ込まれて警告を発せられても面倒だ。
───火球!
タタタとさらに速度をあげるように、小走りに近づいて必中の距離で火球を叩き込むと、断末魔の声を上げてラージアントが燃え堕ちていく。
「エミリィ…探知はできる?」
ここでエミリィの能力を試してみてもいいだろう。
「ん?
「そう、構造と
流石に厳しいだろうか。
「近くまで行けば…」
そう言って先頭に立つと、あっという間にラージアントの巣穴に近づくエミリィ。
人が立って余裕で入れる高さに、
幅も二人は並べそうなもの。───それがラージアントの巣穴だ。
微かに甘い匂いが漂っているのは、ラージアントのギ酸やフェロモンだろうか。
「…………───」
瞑目して、地面や
ジッと感覚を研ぎ澄ませているらしいエミリィは、
「……深さはそれほどでもないみたいです……中には、───……20匹ほどです!」
す、
凄いな……
アサシンのリズもこれくらいの感覚の鋭さは持っていたが、数までは分からなかったはず。
「一番奥に女王はいますね」
くんくん、と匂いを嗅ぎつつ耳を澄ませている。あらゆる感覚を使って調べているのだろう。
「なら、まだ作られて日が浅い
これが古い巣穴ならちょっとしたダンジョン並みの構造になる。
下手をすれば中で迷子になりかねない規模になることだってあるんだから、馬鹿にはできない。
「分岐は少なそうです」
「うん、ありがとう」
ナデナデ…
えへへ。
「俺が先頭に行くから横からの奇襲だけ気を付けて」
「うん!」
これからモンスターの巣に踏み込むというのに全く危なげの無い二人。
とは言えCランク推奨の
それほど難しいわけではない。
優秀な前衛職がいれば、巣穴の中では狭さも相まって取り囲まれないだけ地上で戦うより有利な場合もある。
少数で踏み込むビィト達もまた、比較的気楽に挑むくらいには簡単な
そうして、二人は蟻の巣へ踏み込んでいく。
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