第23話「ひろくんのこと(前編)」

 ……そういえば、ひろくんはどこに行っちゃったんだろう?


 父さんと母さんは私に何も話してくれない。

 ただ、家出したとだけしか。

 かなりしつこく聞いているんだけどね。それしか言わない。

 ん~そうだ。

 確か母さんとひろくん、なんか折り合いが悪かったみたいなんだよね。

 母さんが言っていたけど、家出したのは私のせいかもしれないって。

 おじいちゃんとおばあちゃんが死んじゃってから、何かあったのかな? 

 あの二人、昔はとっても仲が良かったのになぁ……。




 ……ひょっとしたら、私のせいかもしれない。

 私が病気になっちゃったから、家族の折り合いが悪くなったのかもしれない。

 私のせいかな?

 お父さんとお母さんが離婚したきっかけは、私の体に器官があったからかな? 私が6歳の時に、それがわかってから、ひろくんがデスフレアに誘拐されたことがあって、アレが決定的だった。それで離婚しちゃったけど……。

 母さんが父さんのことが嫌いなのはわかっている。私のことが嫌いなこともね。

 電話するたび、そっけない態度をとられる。

 母さんのことはあんまり好きじゃないけど、私を産んでくれた人だから。一応、つながりを持っているだけ。

 きっと、母さんはヒーローをやっている私のことが嫌いだから……。

 でも私を産んでくれた人だし、やっぱりつながりを持っておかなきゃって思っている。私は母さんのことを大切に思っている。でも、母さんは私のことなんか何にも思っていないようだ。

 電話しても、出ないし……。


「緋色、ベランダに出て何をしているんだ? あっ、電話か」

「父さん。あ~うん、ちょっとね。中学校時代の友達と電話してて」


 哀しいウソをついた。本当は友達と呼べる人はいない。

 母さんに電話をしたことは黙っておく。

 言ったら言ったで面倒だ。根掘り葉掘り聞かれるから。あと、あまり母さんと話さないように言ってくるし。


「風呂上がりに夜風に当たるのもいいが、風邪ひくなよ……そろそろ冬なんだからさぁ、ベランダに出て電話するのは控えろよ~」


 言いたいことを言って部屋の中に戻る父さん。

 タンクトップに短パン姿で言われても困るよ。こっちは長そで長ズボンのパジャマ。その上にカーディガンを羽織って、あったかい恰好をしているのに。

 そういえば、昔と違って今は充実した生活を送れているような気がしてる。

 というのも、父さんがヒーロー事務所に所属するようになったからか。

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