第167話データイーター2


 ゴッドアイシステムで、日本の某県某市に立つ。


「おおー」


「うわ……」


 前者が僕で、後者が涼子。


 家屋は、隣三軒まで、焼け崩れていた。


「たしかにこれなら助からないよね」


「だね」


 互いに、意識は共有できた。


「結局私たちって何?」


「偽物?」


「偽物なんだ……」


 というか遺伝子的に、


「オリジナルって何よ?」


 って話になるのだけど。


「矛盾してない?」


「電子アイドルも居るし」


 電子世界の知能体は、珍しくもない。


 さすがに自我を持ったAIは、僕と涼子くらいだろうけど。


 子どもの頃からコンピュータに触れていたため、ある程度のAI構築は可能となった。


 実を言うと、パラダイムシフトが起こりかねない技術なのだが、言わぬが花だろう。


 沈黙は金だ。


「どうするの私たちー!」


「勉強したいならすればいいじゃないですか」


 教科書にテスト、過去問にドリル。


 ネットの海には、いっぱいある。


「じゃあセックスして?」


「却下」


 何を考えてるんだ涼子は。


「どうせ子ども出来ないでしょ?」


「…………」


 そうだけど。


 僕はハイドの格好。


 涼子はシリョーのアバターを流用していた。


 さすがに当人を映せばホラーだ。


「とにかく」


 まずは、


「情報収集ですな」


「つまんない」


「じゃあ別行動で」


「鬼!」


「つまらないんでしょう?」


「鬼ー!」


「じゃあ一緒しますか?」


「……します」


 そういうことに相成った。


 既に葬式は終わっていた。


 両親と涼子は、火災で死亡した幾人かの内に含まれる。


 火葬されて墓の下。


 で、僕はというと、


「…………」


「死んでないよね?」


「一応ね」


 ピ、ピ、と心電図モニターが示されていた。


 二度の全身火傷。


 そのまま死んでも、おかしくない逸材だ。


「此処に居る雉ちゃんは?」


「アーティフィッシャルインテリジェンス」


 他に無いでしょ?


「でも自我持ってる」


「涼子もね」


「うん……」


 納得もいくまいよ。


 人類には、未知の技術だ。


 僕が異常なだけ。


「それは置いておくとしても」


 しばし考える。


「お金の流れは……」


「あー……」


 しばらく、そこに終始する。


 結論から言って、保険が下りていた。


 その保険で、入院中の僕が優遇されている、とのこと。


「南無三宝」


 バイトしようにもなぁ。


 はぐれAIにどうしろと?


 いや、やろうと思えば幾らでも出来るよ?


 実際に、AIを働かせて暮らしている人間もいるわけだし。


 ただちょ~~~っと意識を持つと、やりにくかったり。


 涼子はアイドルに向いてそうだけど。


 電子アイドル。


 AIをアイドルにして、電子世界に波及させる仕事だ。


「じゃあ僕はマネージャー?」


 とはいえ、会社を興すにも、苦労は要る。


 プロダクションなんて名乗った者勝ちだけど。


「うーん」


「私たちって妖怪?」


「近いかもね」


 学校も勉強もない身分ではある。


 で、


「どうしたものか」


「オドでもする?」


「それもアリかも」


 データ復旧して、サーバにアカ作るところから、始めないといけないけど。


「じゃあやろ!」


「へぇへ」


 最後に、チラリと、僕自身を見る。


 延命治療を受けている重傷者。


 痛ましい気持ちはある。


 けれど、


「本当に?」


 と詰め寄られると弱かった。


 自分相手に、


「同情」


 は成立するのか?


 少し不憫な気持ちにもなるけども。

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