外典:景空さまpresents

第166話データイーター1


読まれる読者様へ。

一部設定に改変や矛盾が見られますけど、生暖かい目でご覧ください。

よしなに。




※――――※




 どうやら僕は死んだらしい。


 それに気付いたのは、オーバードライブオンラインの最中だった。


 ログアウトが出来ず、肉体に帰れない。


 では、何を以て、今の僕がいるのか?


 少し仮説はあった。


 オーバードライブオンライン。


 超過疾走オーバードライブシステムを売りにしているVRMMOだ。


 一部、


「脳に負担をかける」


 と、世論で批判されていた。


 実際に、現実と虚構の間で、問題も起きたらしい。


 その世論を回避するため、運営はワンクッション置くことにした……とのこと。


 一端、ニューロンマップを、バックアップに移して、哲学的ゾンビでアバター操作。


 そのゾンビを意識で操作。


 超過疾走症候群オーバードライブシンドロームは回避できないけど、一応世論は沈静化した。


 で、僕の現状に戻るわけだけど。


 死んだらしい。


 意識は…………ある。


 おそらくオドのバックアップだろう。


「問題は」


 ガシガシ、と、後頭部を掻く。


「涼子だよなぁ」


「――――」


 パニックまっしぐらだった。


 幼馴染みだ。


 黒髪のツインテール。


 美少女でもある僕の自慢。


「仕方ない」


 死んでしまったことはしょうがない……で済ませる僕もどうよ?


 このままだと運営が適切に処理して、データは削除されるだろう。


 その前に逃げ出さなければ。


「雉ちゃん!」


「へぇへ」


「どうしよう!」


「任せなさい」


 イメージコンソールを展開する。


 超速打鍵。


 超過疾走システムを使って、一瞬でプログラムを打ち込む。


 オドサーバへのハッキングでもあるが、さすがに四の五の言ってもいられない。


 自我変数構築。


 データ複写。


「何してるの?」


「すぐにわかるよ」


 組み上げたプログラム。


 タン、と、エンターキーを押す。


 僕と涼子に、クオリアが宿る。


「え? え?」


 自意識の芽生えに、混乱している涼子。


 実は、この手の技術は、お手の物だったりする。


 そしてオドサーバから、僕と涼子は逃げ出した。


 削除されてはたまらない。


 ブレインユビキタスネットワーク。


 ブレインアドミニストレータ。


 脳を量コン化し、演算処理を高める時代だ。


 AI技術も、格段に進歩している。


 で、その情報の海で、僕と涼子は、クラゲのように生活していた。


 某県某市の家宅で火災。


 それが原因らしい。


 近所だ。


 涼子も遊びに来ていた。


 無念。


 無明。


 で、オドプレイ中に、火災被害で死亡……と。


 死傷者を、リストアップする。


 僕と、僕の部屋に遊びに来ていた涼子は無論。


 両親も死亡したらしい。


 四人揃って、電子世界にダイブしたので、そりゃ火事に巻き込まれれば死ぬ。


 現代文明によく見受けられる死に方の一つ。


 正確には、僕は意識不明の重体。


 とはいえ、死んでいるのと変わらない。


 むしろ死ねない分、手を合わせて拝みたくなる。


 別に気にしないけどね。


「どうするの?」


 ネットの海の中。


 僕と涼子は漂って、情報を集めるクラゲになっていた。


 情報量だけがモリモリと増えていく。


「エシュロンには探知されるだろうし……」


 さてどうしたものか?


「とりあえず」


「とりあえず?」


「遊ぼう」


 ガクッ、と、涼子がずっこけた。


「死んだんだよ!?」


「死んだね」


 今更何を言うでも無い。


「何かあるでしょ?」


「何かって?」


「えと……」


 困惑する涼子。


 ほれ見ろ。


 とはいえ人のことも言えんが。


 ニュースでは火災は事故性で、


「保護された家族が原因だ」


 と語っていた。


「ふむ」


 ドライバーを振り抜きながら、事件を淡々と追う。


「ゴルフしてて良いのかなぁ?」


 ドライバーを振り抜く涼子でした。


 ナイショっ!

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