第137話意外と馴染む生活2


「お疲れ様」


「お疲れ様です」


「格好良かったよ雉ちゃん!」


「変態だお前は」


 四者四様に、出迎えてくれた。


 場所は、妖精郷の喫茶店。


 コキアとミツナとシリョーとスミス……それから僕で五人だ。


 シリョー以外は、学校の繋がりで付き合っている。


 ま、それだけでもないんだけど。


 ギルド『イレイザーズ』。


 消しゴムの意を持つ弱小ギルド。


 この場合は、量的な意味でね。


 五人しかいない、小さな小さな僕たちのギルドだ。


 もっとも、スミスは、大規模ギルドのメンバーでもあるんだけど。


「雉ちゃん強すぎ……」


 茶を飲みながら、コキアが言う。


「まぁ廃人です故」


 正確には、ちと違うのだけど、あながち間違っているわけでもない。


「春雉は器用ですね」


 困ったように笑うミツナ。


「別に軽蔑してくれて構わないよ?」


「そんなこと……しませんよ……!」


 あわあわと慌てるミツナ。


 やっぱり可愛いなぁ、この子は。


「雉ちゃんだらしない顔してる……」


 シリョーのジト目。


「しょうがないじゃん。ミツナが可愛いんだから」


「ふえ……!」


 真っ赤になるミツナだった。


「なんか俺、置いてかれてない?」


 スミスが言う。


 そりゃま、女子たちには、嫌悪されてるからね。


 言ったりはしないんだけど。


 僕は白い髪を弄り、赤い瞳でミツナを見やる。


「僕どうだった?」


「格好良かったです」


「そう?」


「ええ」


 そっかぁ。


「えへへ」


 嬉しくなっちゃうね。


 例えお世辞だとしてもさ。


「ちなみに世辞じゃありませんよ?」


「そなの?」


「ええ」


 晴れやかに笑うミツナだった。


「だいたいどれくらいプレイしてんだ?」


 これはスミス。


「さすがに僕でもわかんにゃい」


 しれっと言って、コーヒーを飲む。


「廃人め」


「否定はしないよ」


 少なくとも、土井春雉はそんな存在だ。


「レベル百超えれば普通に廃人だ」


 と思うのだけど、一応スミスの面子を保つため、言葉にはしなかった。


 コーヒーを一口。


「何か貴重なアイテムは手に入れたか?」


「色々とね」


「売ってくれ」


「ネットマネーで十万から。日本円でね」


「俺たちは仲間だろ!?」


「でも礼儀と筋は通さなきゃ」


「うああぁ!」


 悶絶するスミスだった。


 知ったこっちゃござんせん。


「お前は最低だ!」


「知ってるよ」


 今更明言されても遅い。


「コキアさん?」


「何だろ?」


「こんな奴より俺の方が優しいぜ?」


「ふ~ん」


 コキアは、興味なさそうに、相槌を打つ。


 ちなみに、秋子のアバターであるコキアの胸は、ある時点を以て、ペッタンコとなっている。


 セクハラ対策だ。


 事業仕分けみたいなものかな?


 別にいいんですけど。


「じゃ、次はどこ行く?」


 これはシリョー。


「コキアさんたちのレベル上げが良くね?」


 スミスは、コキアを、引き合いに出した。


「ていうかコキアさんさぁ。現実に則したアバターが良いって」


 凄まじいセクハラだ。


「…………」


 さすがのコキアも、ジト目だった。


「別にいいでしょ。巨乳は疲れるし」


「そうだけどさぁ」


 どうしても秋子コキアに巨乳でいて欲しいらしい。


「あ、明日遊びにいかね? どう? その辺……」


「雉ちゃんと遊ぶ約束をしているので却下」


「そうなのか?」


 こっちを睨んでくるスミス。


 パイオツスキーの墨洲にしてみれば、僕の行為は、許されざるモノなのだろう。


 重ね重ね、知ったこっちゃないけどね。


「なんなら奢るし?」


「雉ちゃんの方がお金は持ってるしなぁ……」


 使おうとすれば、遠慮する癖に、何を言ってんだ。


「ま、そういうわけだから私のことは諦めて」


「ハイドはミツナと付き合ってるじゃん!」


「だからって諦める理由にはならないかな……?」


 リア充だなぁ僕……。


 もちろん皮肉だけどさ。

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