第73話墨洲の告白4


「で」


 やってきました百貨繚乱。


「雉ちゃん雉ちゃん」


「何でっしゃろ?」


「何処にいる?」


「モール」


 思念言語で会話する僕ら。


「りょ~か~い」


 そしてゴッドアイシステムを利用して立体映像が投射される。


 紫色のセミロングの美少女が立体映像として現れた。


「誰?」


 同じく百貨繚乱に来ている夏美が問う。


「量子ちゃんはまた……」


 こちらは秋子。


「量子って……」


 狼狽える夏美に、


「そ」


 コックリと頷いてやる。


 二次ェクトがアングラな技術である以上、そうおいそれと大日本量子ちゃんの正式アバターを使うわけにもいかない。


 で、先の大日本量子ちゃんのライブでの調整の際に作った疑似アバターを量子はいたく気に入ったらしく、こうやって使っている始末。


 そこまで語ると、


「ほえあ~」


 と夏美は呆然とした。


 ちなみに衆人環視の視線は気にしないことにする。


 巨乳にして大和撫子の秋子。


 デザイナーチルドレンの夏美。


 立体映像とはいえ美少女の量子。


 それぞれとび抜けた容姿を持つかしまし娘。


 妬み嫉みの視線を受けるのも必然だし、


「もう慣れた」


 というのが本音だ。


 苦笑してしまう。


「何その邪悪な笑み?」


 量子がジト目になる。


「恵まれてるなぁ……ってね」


 本音を語る。


「ふやっ!」


 と秋子が赤面する。


「…………」


 夏美が唇をむずむずさせる。


 若干頬が赤い。


「私とデートできるのは世界中探しても雉ちゃんだけだよ?」


 量子は不遜に言った。


 まぁそうだろうけどさ。


 僕は、灰色のパンツに押し込んでいるメモ用紙の切れ端を、クシャッと握りしめる。


「じゃあどこ行く?」


 僕が尋ねる。


 ショッピングモール百貨繚乱なので、ウィンドウショッピングからゲーセンまで多種多様にある。


「デートですね」


 嬉しそうに秋子が言う。


 いつも通り腕に抱き付いてこようとしたので、


「よっ……と……」


 サラリと躱す。


「何でよう……」


 自分の豊かな胸に聞け。


「デート……ですか……」


 照れ照れと夏美。


「僕とデートするの……嫌?」


「そんなことはありません。春雉は……その……格好いいですし……」


「そうかなぁ?」


「そうだよ」


「そうです」


「そうなんだよ」


 かしまし娘が肯定する。


「じゃあ夏美が僕に惚れる可能性もあるわけだ」


「ふえ……」


 反論もせず狼狽することしきりな夏美だった。


 あれ?


 脈在り?


 まぁ秋子と量子が許さないだろうけど。


「雉ちゃん!」


「雉ちゃん!」


 やっぱりこうなるのね。


「雉ちゃんは私だけ見てればいいの!」


「以下同文!」


 と言われてもなぁ。


 夏美は十分に「美少女」の範囲だし。


 胸が残念だけど容姿だけならトップクラスだ。


 それもモデル体型。


 遺伝子操作なぞ片手間に行なえる時代であるけど、故に美少女は量産されるが常だ。


「夏美は可愛いね」


「そういうの禁止」


 なに故よ?


「私は墨洲くんが好きなの」


「頭固いなぁ」


 それが本音だった。


「あう……」


 赤面する夏美。


 うん。


 可愛い。


 一歩間違えれば惚れしまいそうだ。


 閑話休題。


 僕らは百貨繚乱のウィンドウショッピングを楽しむのだった。


 かしまし娘は誰も彼もが容姿的に超一級だ。


 であるため服の試着には僕も魅入らざるを得なかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます