第55話墨洲の提案4
てなわけで、
「じゃあギルドを結成しようかね」
そんな提案を総一郎のアバター……スミスは言った。
場所は自宅。
あくまで肉体の。
意識としての場所はオーバードライブオンラインである。
その江戸エリア。
古き良き江戸時代の雰囲気を再現したエリアである。
だいたい今のコキアやミツナのレベルにあったクエストを受注できる。
そして黒髪ショートの美少年である墨洲総一郎のアバター……金髪碧眼の美少年がそんな提案をしてきた。
当然疑問に思う。
「スミス」
墨洲総一郎のアバター名である。
「なに?」
「君は既存のギルドに所属してなかった?」
たしかそういったことをミツナから聞いた覚えがある。
「別にギルドの複数所属なんて珍しくないだろ?」
そうなんだけど……。
「俺的にはギルドを紹介してもいいんだが俺のギルドはイケイケだから初心者お断りなんだよな。なら新しくギルド作った方が話は早い」
……納得。
「でもギルドの構成は五人からじゃぁ……」
「適当にあと一人呼ぶか?」
そんなスミスの提案に、
「あ……」
と秋子。
「それならシリョーはどうだろ?」
「ふむ」
それは盲点だった。
「呼んだ?」
いきなりシリョーが現れた。
黒髪ツインテールで御馴染みの大日本量子ちゃんの再現アバターだ。
「もしかして監視してた?」
「当然」
当然なんだ……。
「誰? 大日本量子ちゃんのアバターって……たしかちょっと前の期間限定レジェンドレアアバターだよな?」
スミスの疑問も当然だろう。
「シリョーって言うんだよ」
シリョーはスミスに気後れせず答えた。
まぁ本人が良いなら良いんだけどさ。
「シリョーさんな。よろしく」
あっさりと打ち解けるね。
「どもども」
シリョーも握手に応じる。
「じゃ、このメンバーでギルド申請するが良いな?」
「はあ」
「まあ」
「構いませんけど」
順に僕、コキア、ミツナだ。
「ギルド名は何にする?」
盲点だった。
しばし考えるふり。
「瀬野三オド同好会」
あっさりとミツナ。
いやさぁ。
ネットリテラシーとかあるんじゃない?
「ハイドと愉快な仲間たち!」
これはシリョー。
何で僕が先頭に立たなきゃならないの?
というわけで却下。
「ふむ」
とスミス。
「適当に決めていいか?」
「構わないけど……」
「じゃあイレイザーズで」
誤解を招きそうなギルド名だけど、中二的で格好良さを求めるには条件を満たしていると思えた。
「僕は賛成」
「私はハイドに従います」
「私も!」
「スミスくんがいいなら私も」
「じゃあそれで申請しておくよ」
そう言ってスミスはイメージコンソールをカタカタと操作した。
「ちなみにレベル幾つ? あれなら俺がアシストするが?」
「そういうスミスのレベルは?」
「聞いて驚け。173だ」
別の意味で驚いた。
それはコキアもミツナもシリョーも同じだろう。
「ハイドちゃん……」
言うな。
言わずともわかる。
頷く僕。
「私はレベル21」
「私も」
これはコキアとミツナ。
「私はレベル500」
「僕はレベル952」
「……っ!」
絶句するスミス。
「冗談じゃなく?」
「特に見栄を張るところでもないしね」
「レベル500とレベル952?」
「そう言ってる」
確認は大事だけどここでは適用されない。
「冗談だろ?」
「別に信じてもらう必要はないんだけどね」
飄々と僕は言った。
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