7-8「意外な再会」♢
トーハさんが街を見つけたと言ってから数十分、私たちはバラダを一緒についていけないという彼に任せて街まで歩いて行った。
「しかし、びっくりしたなあ。まさかこんなところに街があるなんてさ。しかもこんなに大きな」
スペードさんが目的地である前方のニンビギにも負けないほど大きな壁を見ながらしみじみという。無理もない、私もこのような街の存在は知らなかったのだ。お父さんの日記にも記載はないばかりか王様も何も言わなかった。
「もしかしたら方向が間違っていたのかもしれませんね」
「かもな、こんな大きな街の存在なんて聞いたことねえからな。でもまあ、これもチャンスだ。砂漠を抜けたこの街なら王様が言った正体不明のモンスターの正体が分かるかも知れねえ」
「そうですね、ケルベロスの様に4足歩行なのかサイクロプスの様に二足歩行なのか人間なのか、それだけでも十分に違いますね! 」
私はそう言って気合を入れるために拳を握りガッツポーズをする。とにかくこの正体不明の敵という情報が何もない状況を打破したい。それが私だけでなくスペードさんの考えでもあると思った。
「おや」
ふと、スペードさんがそのような声を上げた。
「どうしたのですか? 」
問いながら彼女の視線を目で追うと彼女の視線は街の入り口ともいえる開け放たれた大きな門に釘付けになっていた。砂漠で物騒な人はいないという判断からかこれまでの街のように武装した人はいないものの一人、ポツンと人が立っていた。その人のことを私たちは知っていた。
「事情に詳しいかはともかくとして知り合いってのはありがてえ、行こうぜ」
そう言うとスペードさんは歩を早める。彼女に置いて行かれないように私も砂を力強く踏み歩を早めた。彼に近付くまであと数メートルというところで彼と目が合う。
「おやおや、ククッ」
私たちに気付いた彼は変わらない癖のある笑い方をした。
「久しぶりだな」
「お久しぶりです、ダーン伯爵」
そこにいたのはこの国トーイスに向かう船の中で知り合ったダーン伯爵だった。
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