2-16「今後の方針」
ゴーレムの足が再び攻撃しようと一旦シールドから離れるのをみて彼女がシールドを解除する。そこに間髪入れず敵は追撃を放つ。上から下ろされるゴーレムの足が徐々に大きくなっていく。
まだだ…彼女の身長も考慮しつつまだ引き付けろ……
死が迫っていることを告げるように全てがスローモーションになる、これのほうがタイミングが吐かれる分有難いが俺の行動も鈍るであろうことを忘れてはならない。足が徐々に徐々に大きくなり視界は敵の足でほとんど覆われあと少ししたら踏みつぶされる寸前………「今だ!」と叫ぶように俺は彼女の手を強く握った。
「『シルド!』」
途端に俺たち2人が入れるギリギリのサイズの透明なシールドが出現する。ゴーレムの足は勢いよくそのシールドを踏みつけた……!
バゴォン!とゴーレムの足が砕ける音がするや否やゴーレムは片足で身体を支えることもできずバランスを崩しドオオオオオオオオオン!と大きな音を立てて転倒した!
ゴーレムは急いで起き上がろうとするも手もなく片方の脚は足が砕け起き上がれない。
「文字通り、ゴーレムを倒したね。」
「はい、でもトーハさんって度胸があるんですね!あんなギリギリまで合図をしないなんて。」
洒落を言ったところ予想外のことで褒められて度肝を抜かれる。
「みて………たの?」
「2人一緒…ですから!怖かったですけど信じて待っていました。」
満面の笑みで彼女は答えた。しかし何かを思い出したように「あ!」と声を出した。思わずどうしたのか尋ねる。
「もう1つ謝らないといけないことがありました。」
「謝らないといけないこと?」
「はい………ケルベロスです。先の話になりますがドンカセという村の近くの森にケルベロスがいるそうです。」
ケルベロスだって!?ケルベロスと言えばギリシア神話に登場する3頭ある犬の怪物だ。俺は思わず生唾を飲み込み彼女を見つめていたがやがて口を開く。
「そっか…魔王のペットはやっぱり複数いたんだ………先の話になるけどケルベロスも倒せるなら倒しておきたいなあ。」
「トーハさんならそういう予感がしていましたが、本当にそういうとやはり驚いてしまいます。」
と彼女は笑った。
「現状魔王の手がかりはそれくらいしかないからさ。複数いるなら何体も倒していって魔王の方から動き出すのを待つのが良いと思う。」
それを聞いた彼女はそこまでは予想できていなかったと彼女は目を見開いた。
とはいえ、「一番大事なのは命だ。倒せないモンスターも出てくるかもしれない。その時は撤退してスルーすることになる。」と付け足そうとしたとき
「そうですか、凄い大変そうですけどでも………今回みたいに2人一緒なら何とかなる気がします。」
彼女が笑顔で答えた。
うっ………こういわれると敵わなければ逃げるなんて言い辛い。これは心の中にとどめておくとしよう。
「まあ、先のことはともかく今は試練だ!こんな強敵のゴーレムを倒したんだしもうそんなに難しいのはないと思う。行こう!!」
手をパンと叩いて切り出した後、歩き出そうとしてふと足を止めた。
そういえば、何故彼女は森で落ち合ったときではなく今この話をしたのだろう?きっと彼女なりの葛藤があったはずだ。そしてそれは………
「話してくれてありがとう。」
急に止まったのを不思議そうに首を傾ける彼女に感謝の気持ちを伝える。
「どういたしまして。頑張りましょうね!」
彼女は元気よく答えた。俺たちは入ってきた扉とは逆の先に続いているであろう扉目掛けて2人で歩いて行った。
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