第5話 そろそろ真実を

 「明るい」パートナー交換制度で苦しみを味わった人たちの意見。それは痛烈なものだった。ある人は精神が崩壊し、ある人は実際に命を絶った者もいる。

 その他、この制度に対する怒りや憎しみが綴られていた。


 一方で、この制度への賛成意見もあるようだ。

 偏った意見ではいけない、という観点に基づいて一応賛成意見も載せているようだ。

 一体どんな意見があるというんだ、どうせしょうもないやつの意見だ。


 ほら一つ目はこうだ。

「この制度のおかげで、ずっと好きだった人と結婚することができました。高校生の時に好きだった部活の先輩で、次に会った時はもう結婚されていて。でもこの制度の後、結ばれたんです。ほんっとこの制度って素晴らしいと思います」


 ふざけるな。お前のせいで幸せを逃した人が何人いると思ってるんだ。

 えーっと次は……


「あんたぁ〜ちょっと来て!」


 はいはい、すみません。

 何故か謝まってしまう、私は悪くない。

 私は読みかけの冊子をソファにおいて、妻の待つ風呂場へ向かった。




 ソファの上には読みかけの冊子。

 昼下がりの陽に照らされて、時折風になびくそのページ。

 誰の目にも留まることの無かったそのページには、こんなことが書かれていた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る