最終章2  『無双開闢・終幕執行』

 ここは、ギルドの本部、カグラたち一向、

 幼女女神、猫箱暴きの魔女デュパン、

 この世界の何千を超えるゴールド

 等級の勇者や賢者が集まっていた。


 ――だが、状況は圧倒的に絶望的である。


 ギルド本部直上、空は黒い棺桶かんおけ型の飛行戦艦に覆われ、

 太陽の光も差さない――。


 明らかに圧倒的な絶望。

 人々は……その光景に完全に心をへし折られていた。


 その天を仰ぎ、ソロモン72柱ダンダリオンは、

 いかにも楽しそうに言い放つ。


「くっくっく。随分と、大勢――お客様がいらっしゃっていますねぇ。これはまあなかなかもてなしがいがありそうですねぇ」


 ソロモン72柱序列71位のダンダリオンは、

 涼しそうな顔で、まるで他人事の様に告げる。


(……やはりこいつ……俺の知っているダンダリオンと違う……)


「おい、ダンダリオン。状況は、絶望的だ――。お前は、悪魔だ。逃げるなら今のうちだぞ……。もっともこの雲を覆う、無数の空中戦艦を掻い潜っかいくぐって逃げれることができるというならばだがな」


「……はて? なんのことですかねぇ、カグラさん。逃げる? この私――不肖、ソロモン72柱であるこの私が、異端審問官如きごときに逃げる、と……はっはっは。いつからそんな冗談を言えるようになったのですかカグラさん」


「……冗談? お前、前は一隻の空中戦艦を食い止めるのに精一杯だった俺たちが、無数のあの船をどうやって食い止めるって言うんだ?」


「はっはっは。簡単ですよ。壊せば良いじゃないですか」


 ソロモン72柱序列71位のダンダリオンは

 右手をスッと前に突き出し、何らかの詠唱を始める。


レメゲトンソロモンの鍵――召喚」


 禍々しいまがまがしい魔道書が、召喚され今は、

 ダンダリオンの左手にそえられている。


 ダンダリオンは楽しそうにペラペラと

 魔道書を捲るめくる。そして、お気に入りの

 ぺーじを見つけたのか、


 くすくす笑いながら、詠唱を始める。


「まずは――お手並み拝見。アルス・アルマデル・サロモニスArs Almadel Salomonis


 右手にペンタクルを模した、

 魔術式が展開され、魔法が展開される。


 超極大かつ超超規模の熱線…………が、上空に放たれる。

 あまりの熱量の高さから空気は薄くなり、

 嵐が巻き起こり、地面が揺れた。


(……なんなんだ……この魔法……?!)


 超極大の熱線は成層圏を貫き、ギルド本部直上に

 いる空中戦艦に直撃――小さな太陽を搭載した、

 空中戦艦は超規模の爆発を起こし、

 連鎖的に他の戦艦も爆発四散する。


 ――だがダンダリオンの熱線はまだ止まらない。


 一番手前の戦艦をドロドロに溶かし貫き、

 後方に控えていた船を貫き、百を超える

 戦艦をたった一発の魔法で貫き破壊した。


 更に個々の戦艦が貫かれるたびに、

 広範囲の爆発を伴うため、結果として

 千機以上の戦艦を無効化する事になった。


 ダンダリオンの熱線により、千を超える

 戦艦が破壊された事によって、空から太陽の

 光がカグラたちと、ギルドの皆に降り注いだ。


「はっはっは。まるでパズルゲームみたいでなかなか面白いですね。カグラさんを虐めるいじめる次くらいには愉快です。そして、ふむ――これはなかなか美しい花火ですねぇ。はっはっは」


 兆を超える艦隊のごく一部とは言え、ただの一撃の

 熱線だけで千を破壊した……その事実に、

 ここにいる人間は言葉を失った。


「おやおや、みなさんどうしたのですか? ちょっとだけ遊んだだけですよ。ほら皆さんも遠慮無く、せっかくのお客様をもてなしましょう。くっくっく」

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