第2話 再会
久しぶりに生まれ育った町に、降り立った。
中学を卒業後だから、15年ぶりか・・・
母と祖母は、既に他界していたみたいだ。
向こうも、僕や父を嫌っていたので、墓参りの必要はないだろう。
同級生たちも、殆どが町を離れたようだ。
僕は住所を頼りに、咲さんの住んでいた家を訪ねた。
玄関のチャイムを鳴らす。
「あら、たかくんじゃない。久しぶりね」
「ご無沙汰しています。紅葉さん」
紅葉さんというのは、咲さんのお母さんの名前だ。
「おばさんで、いいわよ。入って、咲も喜ぶから」
「はい、お邪魔します」
遺影の咲さんに、報告をした。
今、自分が作家として、活動しているということを・・・
おばさんが、お茶を入れてくれた。
「たかくんは、立派になったわね。咲も見ていると思うわ」
「恐縮です」
咲さんの自殺については、詮索するのを、止めておいた。
「すいません・・・今になって・・・」
僕は、おばさんに詫びた。
「何が?」
「夢を叶えるまでは会わないという、咲さんとの約束でしたので・・・」
「その事は、咲から聞いているわ。だから、気にしないでね」
「ありがとうございます」
どのような会話があったのかは、わからない。
「おばさん、咲さんの部屋に入れていただいてよろしいでしょうか?」
「ええ、もちろん。咲からも、頼まれているから」
「えっ」
「もし、たかくんが将来来たら、部屋に入れてくれって」
「そうですか・・・」
咲さんは、信じていてくれてたのか・・・
「亡くなった時のままにしているから」
「ありがとうございます」
僕は、咲さんの部屋に案内された。
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