第29話
そんなのは、耐えられない!嫌だ。吉永さんは自分にとても優しくしてくれた。多少強引だったり、自分で決めてしまう所があったけど、でも自分の事を考えてくれた。想ってくれた…。なら、今夜ここでこうして隣通しで寝て、明日になったらそのまま別れて終わり。もしかしたら自分がまだ寝ている間に帰ってしまい、もうそれで完全に終わり…。又店に来たとしてもそこで普通に話し、そのままだろう。誘ったとしても上手くかわされて終わりだろう。 リナはそんなのは絶対に耐えられなかった。なら、最後に何か思い出を作ろう。それに、吉永さんは自分とは子供を作りたかったんだから、勿論それがあったから近づいて優しくしてくれたんだろうけど、自分もそれは受け入れたし、嬉しかった。そのお礼もしよう。「ねー、吉永さん。」 返事はない。だがまだ寝てはいないのだろう? 「吉永さん。」 もう一度声をかけたが黙っている。だが聞いている様だ。なのでリナはそのまま続けた。「吉永さん、まだ寝てないでしょ?あの、私、良いよ。」 少し黙った。何か変かな?だけど、思い切って続けた。 「吉永さんは多分、私の事、嫌になったんだよね?今日の事で、色々。何かそんな気が するんだ。だから、多分今日でもう終りだよね?」 返事は無い。 「だから、私が色々と変だったし仕方無いけど、吉永さんは凄く良くしてくれたから。 だから私、良いよ。吉永さんが良ければ。 だってもう、二度とこうして外で会ったりしないんでしょ?だから…。吉永さんと最後に、思い出作りたいし…。」 だが吉永は黙ったまま、返事をしない。リナはしばらく返事を待った。だが何も反応は 無い。何だか恥ずかしくなった。 「ごめんね、変な事言って。…じゃ、私もう本当に寝るね。おやすみなさい。」 リナはそう言って、寝ようとした。吉永は 少し考えていた。そして、その少しの間の後に、こちらを向いた。
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