第28話

リナは少しがっかりした。何だ、出て行っちゃうの?でも、まだ立っている。どうしようか悩んでいるんだろうけど…。      あぁ、眠いな。でも何でそのまま泊まらないんだろう?だって、自分との子供か欲しいって言ったのは吉永さんだよ。なら、別に今日どうこうしなくたって、一緒に横に寝る位、何が悪いって言うか、何で嫌なんだろう? 変だなぁ。アッ!もしかして、私が今日地を出しちゃったから?!かなり酒を飲んだし、あれ見て嫌になっちゃった?!      あれ、何か頭が色々と考えられるな?疲れていた筈なんだけど…。だけど吉永さんだって東京まで帰るんだから、寝て明日帰れば、楽な筈なのに。              「吉永さん?今から帰るの大変だし。   タクシーでずっと乗ってっちゃうのかも  だけど?だけどこんな所でも、やっぱり泊まっていけば?どうしても嫌なら仕方ないけど。」                  吉永は黙っている。           「別に只、寝るだけだから。…じゃあ、  おやすみ。」               リナは目をつむった。本当にもう寝よう。 出て行くなら、もう仕方無い。      吉永は少し考えてから、上衣を脱いだ。そして、ズボンを脱いだ。リナは目をつむっているが、様子で分かる。          あぁ、やっばり泊まる事にしたんだな。その方が良いよ、とにかくその方が身体が楽だもの。幾ら吉永さんがタフだからって、何も 無理して帰らなくても。ゆっくりと眠ってから帰れば。奥さんだって多分一晩位平気で しょう?警察官の奥さんなら、幾ら偉くたって、泊まってその日に帰らないナンテ事は 慣れてるんじゃあ?           吉永はランニングシャツとトランクスだけの姿になると、横に入った。部屋の電気は、 真っ暗にはせず、小さくつけた。     リナは吉永が服を脱ぎ始めてからは、途中で目を開けて見た。どんな姿で寝るのかな、と思ったからだ。そして、自分の隣に横になったので、もう一度おやすみ、と言って目を閉じた。返事は無い。           リナは目を閉じながら考えていた。何故、 吉永はあそこまで泊まるのを嫌がった、又は躊躇したのだろう。こんなラブホテルだからかな?でも、そんな事関係ないんじゃ?やはり、おそらくは自分への気持じゃないか? ああしたディスコに自分が出入りしていた事が分かったのと、酒をガバガバと飲んで喜んでいる姿を見て、多分嫌になったんだろうな。                  そんな風に思うと悲しくなった。馬鹿な事をしたなぁ。もう次は無いんだろうな?店に 来たとしても、もう外で会うなんてしないんだろうな?                                                                                                                                                                                                            

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