ふたつぶの涙

作者 こま

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★★★ Excellent!!!

一生懸命変な人形を変な人形と思って意識しないようにしているけど、冒頭からあんまり上手く行ってない、優しさが隠せない青年セコと、家族想いの人よりもお人好しな人形・ユッポが織りなす旅物語でした。

セコ、振り返ってみると第一声が「名前は?」で冒頭から完全に迷子の面倒を自発的に見るいい人のそれで、内心は葛藤あるけど人形を人形と認識するのは上手く行ってないですね。多分、何かキッカケと勢いが必要だったんですね、それでも。

良い意味でも困った意味でもお人好しが過ぎるユッポが、セコを人生の先輩として色んな言葉を教えてもらったり、出会った人達にお節介してはセコにも助言をもらいつつ心を育てていく流れはしっかり読んでいくと沁みる味わいがありました。宿題する女の子とか壊れた椅子の話みたいな王道っぽい温かさも良かったけど、個人的には落とし物の話とか儀式の子どもみたいなちょっと一口で語りにくい話がお気に入りです。

主題の心も歯がゆいとか怒りとか、温かさの裏にあるネガティブっぽいものを丁寧に描いているなと思います。

二人と旅を終えた後、ほんのり涙が出ました。切なさもあったけど温かくて、素敵なファンタジーだと思います。