第14話 旭は依頼の報告を行う

ダマスクとの戦いを終えた翌日。

俺はフラフラの状態で、宿泊している温泉宿の朝食を食べていた。

レーナとリーアの肌はツヤツヤしている。

このことから、部屋の中で何が行われていたか想像していただけると思う。

1つ言えるとしたら、レーナとリーアの性欲は男の俺以上だったということだな。

あれか?若いからなのか?アラサーにはもう厳しいのか?


「リーア、これとか美味しいよ?」


「本当だ。レーナありがとう」


レーナとリーアはまるで姉妹のように仲良く食事をしている。

レーナがリードしているので、側から見たら姉の面倒を見る妹にしか見えない。

肌の色が違うと言うのは些細な問題だろう。

2人を見る周りの視線は微笑ましいものとなっている。


「パパ、ちゃんと食べてる?今日は冒険者ギルドに行くんだから、しっかり食べないとダメだよ?」


「お兄ちゃん、そんな顔じゃダマスクを倒したって言っても信じてもらえないわ。これとかオススメだよ」


レーナとリーアはそう言って、俺に料理を運んでくる。

……運ばれてくる料理が、全部精のつくものなのは狙っているのか?

朝から俺の体は狙われているのか……?


「ありがとう。もう少ししたら回復すると思うから、2人もちゃんと食べておくんだぞ」


「はーい!……リーア、もう少しで回復するって……!」


「やっぱりスッポンとか持ってきたのが大きかったのかな?これでまた……」


2人はそう呟いて、ふふふと笑い合っている。

やはり狙って持ってきていたようだ。

……頑張るから、お手柔らかにお願いします。


食事が終わった後、俺たちは冒険者ギルドに向かった。

ダマスクの依頼が途中で終わったことと、ダマスクの組織を壊滅させたことを報告するためだ。

冒険者ギルドに入ると、冒険者達の視線が一気に俺達に集まる。


「おい……旭が来たぞ……!」


「なんか1人増えてないか……?あれってダマスクが連れていたダークエルフの奴隷じゃないか!」


「やっぱりあの噂は本当だったのか……」


リーアを見てざわざわとし始める冒険者ギルド。

なんだ?ダマスクが連れていたリーアを俺が連れているからおかしいのか?

噂どうこう言っていたが、そんなことはどうでもいい。

レーナだけでなく、リーアにも冒険者のテンプレをやるんじゃないだろうな?

処す?コイツら……前回よりも酷い目に合わせてやろうか……?


「ちょ……ちょっと待て!その娘に対して、何かやろうとは思ってねぇよ!だからその殺気を沈めてくれお願いします!!」


俺が殺気を放って、【勲章をなくす病】をかけてやろうかと考えていたら、そんな声が聞こえて来た。

慌てて声をかけて来たのは、最初に来た時に俺に突っかかって来たやつだ。

泣きそうな顔で必死に懇願している。

……よっぽど【絶望を呼ぶ旋風】が怖かったらしい。


「……ならいいが。リーアは俺の妹になった。手を出そうとしたら……わかっているな?」


「わかっている……!そんな恐ろしいことできるかよ!だ、だから落ち着け!!」


(((娘の次は妹かよ……!!!)))


おそらく周りの冒険者はそう思ったことだろう。

まぁ、そんなことを言ってくる人間はいないんだが。


俺は完全に腰が引けている男を尻目に、受付に向かう。


「依頼の件についてギルドマスターに確認がしたい。呼んできてもらえるか?」


「わ、わかりました!少々お待ちください!」


そう言って、受付のお姉さんは奥に引っ込んで行った。

ギルドマスターも忙しいだろうから、結構待つのかもしれないなと思っていたのだが、僅か2分で戻ってきた。


「旭、ようやくきたか。じゃあ、ギルドマスター室で報告を聞こうか」


「わかった。レーナ、リーアいくよー」


「「はーい」」


俺はレーナとリーアの手をつないで、ギルドマスターの後をついて行く。

その様子はさながら親子といっても他言ではないだろう。

しかし、去り際に聞こえたのは男冒険者達の嫉妬の声だった。


「あれが伝説の勇者が言っていたリア充か……爆発すればいいのに」


……そんなことを言っているから、女冒険者に白い目で見られるんじゃないのか?

まぁ、俺が気にすることじゃないな。



ギルドマスター室についた俺達は、早速ギルドマスターから質問をされる。


「さて、旭。ダマスクの組織を壊滅させたという情報は、奴の部下だった男から聞いている。……どうしてすぐに報告に来なかった?」


「ん?疲れていたからに決まっているだろう?戦いが終わったのは朝方だぞ?夜通し戦ったのに、すぐ行けるわけがないだろう。依頼の期日だって本来は昨日までだしな」


「いや、依頼の途中でダマスクを強襲すること自体おかしいんだが……まあいい。ダマスクからの依頼は達成ということにしておこう。魔物が活発になったという情報自体が間違っていたみたいだしな」


そういって、ギルドマスターは金貨10枚を机の上に置く。

依頼達成になって少し安心である。

金貨に余裕はあると言っても、今は3人だからな。

稼げる時に稼がないといけない。


「そうそう。今回の依頼とダマスクの件で、旭達の冒険者ランクはFからBランクに昇格となる。……本来ならもっと高い冒険者ランクでもいいと思うんだが、上が認めなくてな」


「いや、上がりすぎだから。二階級特進とかそんな優しいレベルじゃないから」


1つの依頼をこなしただけでBランク?

ギルドマスターめ……もしかして事前から準備していたな?

俺としてはもう少しFランクでよかったんだが……。


「まぁ、昇格してしまったものはしょうがないか。ところで、横にいるリーアも俺の仲間になった。冒険者証の発行をお願いしたい。できるか?」


「それくらいなら容易いことだ。というよりも、俺からお願いしたい。レーナちゃんも強くなったと聞いたから、旭の分も合わせて更新するが……問題ないか?」


「まぁ、それくらいなら問題ないが……」


俺からの同意を得られたギルドマスターは、即座に三枚のカードを取り出す。

……どうやら、俺とレーナの更新は確定事項だったようだ。

事後承諾っていうやつか?抜け目ないやつ。


「じゃあ、リーアからやろうか。【ステータス】と唱えるんだぞ?」


「大丈夫だよ、お兄ちゃん。ダマスクが依頼をしにきた時に見たことあるから。……【ステータス】」


リーアはそういうと、特に困惑することなくカードにステータスを反映させて行く。


ーーーー

リーア Lv.5

称号【響谷旭の大切な妹兼嫁】

種族:ダークエルフ(♀)


HP 4000(2000up)

MP 1800(800up)

攻撃 300(120up)

防御 2000(1600up)

魔攻 200(100up)

魔防 1600(800up)

敏捷 400(200up)


スキル

【闇魔法】

【挑発】

【狂愛】

【嫉妬】

【成長促進(Lv.II)】

【能力強化】

ーーーー


「お兄ちゃんの愛の力で強くなれたのね……!しかも大切な嫁……!ふふふ」


リーアは表示されたステータスを見て、恍惚とした表情を浮かべている。

なんか、前に見た時よりも強化されているな。

防御力が半端ない。完全にタンクじゃないか。

それにしても俺の仲間になると必然的に【成長促進】がはいるのか?

後、【狂愛】が入っているな。【嫉妬】と【狂愛】が一緒にあるのはやばいだろう。

想像以上の重い愛、ありがとうございます。

リーアのステータスを見たレーナは少し慌て始める。


「パパの大切な妹兼……嫁!?パパ!次は私!私が更新する!」


「ん?そういうことならさきにやっていいぞ」


レーナは俺からカードを受け取ると、慌てた様子でカードに能力を反映させる。


「【ステータス】ッッ!」


レーナのステータスは冒険者ギルドに登録した以降、確認をしていない。

どれほど強化されたのか少し楽しみだ。

禁忌魔法も使えるようになったし。


ーーーー

レーナ Lv.10

称号【響谷旭の最愛の娘兼嫁】

種族:ハイエルフ(♀)


HP 2800(1050up)

MP 9000(4000up)

攻撃 260(200up)

防御 280(200up)

魔攻 5000(4000up)

魔防 3600(2800up)

敏捷 300(250up)


スキル

【精霊魔法】

【回復魔法】

【光魔法(禁忌魔法習得】

【狂愛】

【慈愛】

【成長促進(LV.II)】

ーーーー


「ふふふ……!最愛の嫁だって……!嬉しい……!」


「レーナは大切じゃなくて最愛……!?羨ましい……私も最愛の存在になれるように頑張らないと……!」


レーナが安堵した表情を浮かべる一方で、嫉妬しながらも何かを決意したような表情をしているリーア。

まぁ、出会ったのはレーナの方が先だし、レーナに傾くのは仕方ないと思うんだ。


それにしても、レーナは完全に後衛タイプになったな。

俺に近い魔法攻撃になっている。

一気に9上がっていたのは驚いたが、【太陽光照射】でダマスクの部下を葬ったことが大きいのだろう。

で、だ。リーアの存在を許したことで【慈愛】のスキルを得たんじゃないかなと俺は思う。

慈愛を持つヤンデレというのも……ありだな。


「「次はパパお兄ちゃんの番だよ!」」


レーナとリーアはそう言って、俺のステータスを早く見たいとせがんでくる。

……ギルドマスターが先程から口を開けて意識を失っているが……、大丈夫なのかあれ。

そんなギルドマスターを視界の隅に起きつつ、能力をカードに反映させる。


「【ステータス】」


カードは光り、俺のステータスを映し出す。


ーーーー

響谷旭 Lv.30

称号【覚醒した真のロリコン】

種族:人間(♂)


HP 20000(16000up)

MP 150000(45000up)

攻撃 9000(7750up)

防御 6500(5700up)

魔攻 18000(9000up)

魔防 14000(8000up)

敏捷 5000(4900up)


スキル

無限収納インベントリ

【成長促進(Lv.X)】

【言語理解】

【全魔法適正】

【詠唱省略】

【鑑定眼】

【魔法威力向上】

【憤怒】

【色魔】

【強運】

【親愛】


固有スキル

【並列思考】

【叡智のサポート】


眷属

【ゼウス】(精霊)

【ナーガ】(召喚獣)

ーーーー


……レベル上昇に伴う能力の強化は別にいい。

ダマスク戦でかなりの数の魔物を倒したからな。

眷属が倒した敵も俺の経験値に反映される(叡智のサポート談)なので、Lv.30なのもいいだろう。

ただな?【覚醒した真のロリコン】ってなんだよ……。

あれか?レーナとリーアに襲われたからか?

まぁ、2人のことは好きだから問題はないが。


「……はっ!?俺は一体……」


お、ギルドマスターも意識が戻ったようだ。

俺はギルドマスターにステータスを反映させたカード三枚を渡す。


「ギルドマスター、更新終わったぞ。確認を頼む」


「あ、あぁ……わかった。……って、なんだこの能力値は!3人とも一般的な冒険者をはるかに超えすぎだろう!それに旭!お前は仲間をチートにする力でもあるのか!?」


あ、チートという言葉はあるのね。

これも昔の勇者が残したのだろうか?


「私が強くなれたのはお兄ちゃんの愛のおかげだから当然の結果だわ。ギルドマスターのくせにそんなこともわからないの?」


「リーアの言う通りだね。ギルドマスターのおじさんはもう少しパパに対する意識を改めるべきだと思うな」


ギルドマスターに対する、リーアとレーナの口調はとても辛辣だ。

というよりも、リーア。

俺の前ではそんな口調じゃないよね?

ダマスクのところから救出して、何かが変わったのか?

俺にだけに見せるデレ……萌えるじゃないか。


一方で2人の幼い女の子から毒舌を受けたギルドマスターは涙目だ。


「と……とりあえず、リーアちゃんの冒険者証の発行と、2人の更新をしてくるから少しの間待っていてくれ……」


トボトボと背中に哀愁を漂わせて、ギルドマスター室を去る部屋の持ち主。

その姿に若干の同情を覚えてしまう。


ギルドマスターが去った後、レーナとリーアは競うように俺に抱きついてくる。

レーナは最愛と表示されたことが嬉しくて、リーアは最愛の存在になるために抱きついてきたのだと推測する。

ギルドマスターが戻ってくるまでの間、俺はレーナとリーアの頭を撫で続けた。

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