占夏

作者 永冶あずみ

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倉庫のがらくたを幼馴染みが金塊だと云ってきかないのですが 永冶あずみ

風がカーテンを揺すり、初夏ながら涼しい空気を運んでくれる。穏やかな日々が、昨日と同じように、今日も明日も続くと思っていた。金塊と覚しきものは、わたしに更なる幸福を約束してくれるつもりはないようだった。禍々しい輝きが、わたしの幼馴染みを穢してゆく。わたしはそれに耐えられず、彼を残して金塊とともに旅に出ることにした。

目次

完結済 全49話

更新

  1. プロローグ
  2. １．初夏の夕暮れ
  3. Ⅰ．籃の章
  4. １．黒く長い影
  5. ２．鮎は川を遡って故郷に還る
  6. ３．瀬を早み
  7. ４．月光
  8. Ⅱ．稚の章
  9. １．デジャブ
  10. ２．拾う神在り
  11. ３．褐色の鮎、碧の鮎
  12. ４．わたしとは虚ろな器である
  13. Ⅲ．遡の章
  14. １．媒介
  15. ２．秘めたるは蕾なるが故
  16. ３．舟は嵐に湊を探す
  17. ４．白い翼
  18. Ⅳ．領の章
  19. １．断絶
  20. ２．反撃
  21. ３．ドッペルゲンガー
  22. ４．荒ら家
  23. Ⅴ．闘の章
  24. １．きれいなもの
  25. ２．ナカミヤ
  26. ３．祖霊たちの家
  27. ４．ノリ
  28. ５．入れ替わり
  29. Ⅵ．邂の章
  30. １．盆歌
  31. ２．空白の記憶
  32. ３．弱きものよ
  33. ４．チュニック
  34. Ⅶ．流の章
  35. １．女工の詩
  36. ２．足音
  37. ３．囮
  38. ４．異形の面
  39. Ⅷ．産の章
  40. １．真犯人
  41. ２．親族
  42. ３．はじまり
  43. ４．裏
  44. ５．竜神の掟
  45. ６．血
  46. Ⅸ．落の章
  47. １．光あれ
  48. ２．水あれ
  49. ３．大地あれ
  50. ４．草木あれ
  51. Ⅹ．講義
  52. １．仮説
  53. ２．密室
  54. ３．情け
  55. ４．選択
  56. エピローグ
  57. １．さようなら
  58. ２．巴
  59. ３．百々
  60. ４．われてもすえに
  61. ５．祝福、あるいは