(9)12月08日11時19分

 折角の彼女からの提案を断り、外でデートする事にした。

 家で、もしも、鉢合わせになったとして、もし、もしも、逆上の挙げ句に彼女が刺し殺されるなんて事になったとしたらーーなんて。そんな馬鹿な事をするやつじゃないとは思っていても、可能性は0ではない。今まで占い通りにきた。今回ばかりはやけに断定的でつ『死』という占いにそぐわないワードが使われている。そんなものが当たる可能性もまた…0とは言い切れないのだ。

 いや、こんなもの、信じる方がどうかしている。下らない、再生回数を稼ぎたい為のタチの悪い悪戯だ。そうやって笑い飛ばせないからこそ、今こうしてここにいる。会っていない間に、あの占いが本当になってしまったら、と。せめて傍にいさえすれば、危険を回避出来るかも知れないのだ。

「お待たせーっ」

 いつもの公園。時計台の下でかなり早めに待っていると、ばたばたと走って彼女はやってきた。

 にこりと、片手を上げて応えようとして、

 ぎくりとした。

 彼女の後ろ、かなり遠く離れた路地の、うっすらと日陰になっている、その隙間から、

 あの猫の被り物が、小さく見えたのだ。

 小さくても、はっきりアレだと、分かってしまった。

「悠一くん? どしたの」

 ハっとして視線が一瞬逸れる。もう1度見た時には、どこにも、何も、見当たらなかった。

(考え過ぎ……考え過ぎだ)

「取り敢えず、いこっか」

 彼女の手を取った。

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