(7)11月25日22時18分

 もしかしたら、彼女は同類なのかも知れない。

 押しに弱く、強く言われると流されてしまう。そんな風に、2度目の告白を、ただ断り切れなかっただけかも知れない。でも、それでも、この3連休、少なからずデートの申し出を受けてくれた彼女を見る限り、楽しそうではあった。溜息とは無縁の3日間。本心では、どう思われていたのだろうか。

 スマホに目をやる。

 ショッピングモールの休憩スペースで、クレープを手にふたりで撮った写真が、待ち受けになっている。不在着信も新着メールも、通知は表示されていない。

 あれから、スマホは静かなものだった。気にはなったが、向こうから何も言ってこない以上、改めてこちらから話す事もないし、あれが最後の別れにしてはあんまりな気もしたが、言った側が気に病む権利はない。

 思い出せば気持ちは淀むが、それもすぐに塗り潰せる。彼女は「自分が欲しい意見」「決まり切った答え」を求めてはこない。謙虚に、しかし真っ直ぐに、本心を問い掛けてきてくれる。本音を、気にかけて貰える。そんな風に接してくれる相手なんて、今までひとりもいなかった。

 幸せを、こうしてひとり噛み締めるくらい、許されても良い筈だ。

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