(6)11月23日AM10:52

 祝日なので、待ち合わせの公園までの短い道すがら、すれ違う子供連れや自転車に乗った少年少女もそこそこ多い。服、変じゃないかな。髪の毛束ねてくれば良かったかな。なんて、何度も立ち止まっては手鏡でチェックしてしまう。ああでも、急がないと約束の時間に遅れてしまう。10分前には着く予定だったのに、もう2分も過ぎてしまっている。

 彼はもう来ているだろうか。

 髪が乱れない程度に足早に公園へと急ぐ。様々な遊具と、小さいながらもグラウンドまである、それなりに規模の大きな公園だ。フェンスの端が見えたあたりで、少し離れた入口から人影が飛び出してくるのが見えた。両手で口もとを押さえ、そのまま反対方向へと走り去っていく。興味は数秒と保たずに消え失せ、はやる気持ちに急かされるまま、公園の入口をまたいだ。

 時計台の下でスマホを片手にたたずんでいた彼は、すぐこちらに気付いて顔を上げてくれた。少しはにかんだ、満面の笑み。…もしかしたら「たまたま」男子達の罰ゲームか何かで、ここまでがドッキリでしたーなんて展開を少しも考えなかった訳ではないが、少なからずそんなタチの悪い悪戯を仕掛けている風には見えなかった。

 本当に嬉しそうな顔だった。

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