Act.49 ショタジジイと、熱っつ熱の火蜥蜴親父
「サラディン!……聞こえておるのだろう——サラディン!」
「……ファッキン——何だ、お前かこのショタジジイ。」
「ショタまでは許すが、ジジイは許さんぞ?お主。それよりもだ——」
そこは
あの
あの
外は日も落ち夕闇が
そこへ霊銀製の不恰好なテーブルとイスを、無造作に
そのイスへ足を投げ出し、
「いい加減外の世界へ戻ってきてはどうだ?サラディン。これ以上お主がこんな場所に止まっていては奴が——」
「ファッキンっ!奴が暴れようが、俺は知ったこっちゃないぜっYouっ!!
「大自然の驚異って名の、自業自得を味わえばいいってヤツだぜっ!」
ビシッ!と指す指は三本の鋭い鉤爪。
肌には鱗とも取れるゴツゴツしい隆起が見えるも……二足歩行を可能とする発達した両の足が
が、頭髪の位置には炎を纏い……伸びる口から整然と並ぶ牙の影。
長い尾の先にも纏う炎は、彼が火の精霊である事実を物語っていた。
——しかし……だ。
「……お主(汗)存外にその
「ファッツ!?これは……アレだ、戦利品——と言うヤツだぜクレイジーっ!いや何……こいつを付けるとサリュアナが喜ぶんだ——」
「それ……前が見えておらんじゃろ……(汗)」
「……ノーッッ!?突っ込むんじゃねぇっ!」
まさに
ショタジジィと称された
否——身体の其処彼処に燃え盛る炎さえ同時に燃え上がる様で、暑苦しいと言うより熱・苦しいと言う言葉が当てはまる。
嘆息を漏らした
その意を感じた熱・苦しい
「俺は至って真面目だぜ?You。お前さんも、奴ら
そして語るは
彼ら精霊へ
さらに返す言葉が、
「つかYou——いや……リド・エイブラよぅ。てめぇも
が……その突き刺さる言葉の刃も意に介さぬ
「愚か者……あれは決して
「我が友……ハイエルフであるティティ・フロウの慢心こそが、
重くのし掛かった過去に視線を落とし告げる。
それは、
そう思わなければ、親しき友人を襲った過去を受け入れられぬ——受け入れられぬからこそ、友人自身の慢心が招いた物と切って捨てたのだ。
——そう思わなければ、恨みの矛先を……共存せねばならぬ
そんな重苦しさを感じ取った幼い声が、洞穴奥から寝ぼけ
「パパ~~お客様サリ~~?……あっ!爺っちゃま、来てたサリ!?サリ~~爺ちゃまサリ~~!」
「おおっ!サリサリではないかっ!ほうれ、爺ちゃまだぞ~~!」
「……って、ファッキン!?てめぇ、サリュアナが爺ちゃま呼ばわりはOKなのかよっ!?そして俺様でも呼んだことねぇ愛称で、娘
現れたのは
頭髪や尾の先に炎が舞うも、その姿は幼き少女そのもの。
クリッとしたルビーアイに、抱きしめれば壊れそうな体躯。
父親に対し肌は
それを目にした
「なんじゃ?お主、娘との親愛面の距離が少々遠いのではないか?ワシなどほれ……サリサリとそれはもう本当の家族の様に——」
「サリサリ~~☆」
「だーかーら、離れろっつてんだYou!丸焼きにしてやんぞファッキン!」
娘に擦り寄る
しかしいつしか重苦しい空気が霧散した洞穴の中……ドタバタな和気藹々が時を刻む。
が——
その一時をあざ笑う様な不穏が、隣り合う
巨大なる影が地響きと共に闇夜を支配していた。
「ぐるるるるぅ……——」
低く唸る咆哮は、周囲を威嚇する様に響き……地を舐める様に這う頭部でさえ、大型の獣の身の丈を上回る。
不揃いな牙が立ち並ぶ
地を叩き付ける尾は、
広くその生物を、
——生態系の荒ぶる頂点……
∫∫∫∫∫∫
高級さ極まるお宿の宿泊は、私達——と言うよりは、オリアナにとって落ち着きを奪うには十分でした。
「ちょっとおトイレ行ってくるっ!」と飛び出したのはもう何度目か。
そんなそちらのユルユルなバラ黒さんには、今度どんなネタをぶっ込もうか悩んでいた所——闇夜に紛れる振動が僅かに身体を揺らしたのに気付いた私。
「あいも変わらず続いているね。確か火山性微動と呼ばれてたっけ?」
宿泊を予約された大広間を有するそこ。
そのテラスで夜風に当たろうと赴いた私は、帝国から旅立ってから暫く聞いていなかった大地の雄叫びを耳にします。
「どうやらまだ収まりを見ておらん様だな。……お嬢、この景色は懐かしいのではないか?」
「おや?今日はジーンさんなんだね、珍しい。しーちゃんは?」
そんな私のひとりごちた会話へ相槌を打ったのは、こんな時のご登場も珍しい巨躯の精霊ジーンさん。
思えばこのでっかい武人精霊さんとも長い付き合いと、思考に浮かべつつ……いつもこう言う場面で現れる残念さん不在に疑問を持ち——
そのまま質問として武人な精霊さんへ問いかけます。
すると首をひねる様に答えるジーンさんは——
「うむ。何でも気にかかる事があるとかで、フワフワとその辺へ消えて行った様だ。何——いつもの風の精霊特有な、自由気ままが出たわけでは無い故……そこは案ずるなお嬢。」
「それを同族にフォローされるのはどうなんだい(汗)?全くしーちゃんも相変わらずと言うか——」
などと話を誤魔化した私は……お宿へ足を踏み入れる前に感じた気配を思い浮かべ——けれどそこへしーちゃんが対応に向かったのでは?と推測しつつ、ならばその旨を彼女に任せると言う事で決着を見ます。
でもそんな私でも、その延長上に訪れる事態までは気付く事も出来なかった訳で——
珍しい登場を見せた
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