第10話
「・・・・・・と言う訳で、話は進めて大丈夫ですね?」
「私達は問題ない。エルライナの方は?」
「内密にして頂けるのであれば、問題ないです」
「分かりました。では、話し合った結果を参考に三国の方に話を通しておきます」
オウカさんはそう言うと、資料を纏めて袖の中へと入れた。
「長い時間、私にお付き合いして頂きまして、ありがとうございました」
「こちらこそ、礼を申しあげます」
「またなにかあれば、この家にくれば即座にくるさね!」
俺に任せれば絶対安全なのは分かるけど、この場で何かあったら家に被害が出そうだから利用すんなよ!
「フフッ! 本人が嫌そうな顔をしているので、なにかあったらバルデック様の邸宅へと向かいます」
「そうですか。その時はエルライナも呼ぶさね」
あからさまに俺を当てにしている気がする。
オウカさんは俺達にペコリと頭を下げた後、家を出て行った。
「さて、エルライナ。お前にはやって貰いたい事が出来た」
「ああ〜・・・・・・もしかしてオウカさんが帰る時に、魔国に連れて行ってあげて欲しい。とかですか?」
「いや、彼女はしばらくの間滞在するし、遠征の時と重なると思うからしなくていい」
だよねぇ〜。てか、ユウゼンさん達が護衛なんだから、俺は要らないと思うし。
「お前にやって欲しい事は・・・・・・先に集合地点に向かい、現地の様子を見てくる事だ」
「現地の様子ですか?」
「ああ、そこに大型の魔物とかがいたら危ないだろう? その報告と可能であれば対処を頼みたい。無論、我々の方で付き添う人間を何人か用意する」
この言い方って、もしかして。
「まるで私が先行部隊の隊長みたくなっていませんか?」
「形だけはそんな感じさね」
やっぱりそうなんだ。
アイーニャ様達の目論見に呆れてしまっていると、アイーニャ様が笑顔で答えてくる。
「そんな顔をしないでおくれよ。アタシらの方も、色々と立て込んでいるから、アンタしか頼める人がいないのさ。
それに、エルライナからして見ず知らずの人間を選ばないから安心するのさ」
「見ず知らずかぁ〜・・・・・・」
以前にやらかしたと言うよりも、第一騎士団の不正の取り締まりの一端を担ったからなぁ〜。そことの繋がりがある人が来たら・・・・・・ってアイーニャ様達が、そんな人達を選ぶ訳がないか。
「分かりました。出発は早い方が良いですよね? 明日の朝出発って感じで?」
「ああ、今日中に人を選ぶから・・・・・・あ!」
バルデック公爵様が横を向いたので、それに釣られて右を向いたらエイミーさん達と目が合った。
「エイミーとミュリーナの二人をお前の付き添い人にしよう」
「「「えぇっ!?」」」
「私はエルちゃんと一緒じゃないんですか?」
「リズリナは、部隊の方で回復とかがあるから、別行動をして貰う」
ああそっか。リズリナさんは回復魔法を使えるから、部隊には必要だよな。
「そんなぁ〜・・・・・・エルちゃんと居たかったのにぃ〜」
「いや、遊びに行く訳じゃないんですから」
「それは分かってるよ。任務の時も一緒にいたかったなぁ〜」
あのさ、バルデック公爵様の前なのに失礼じゃないの。その態度は?
「リズリナの気持ちも分からなくはないが、これも仕事だからな。現地で会った時に仲良くしてくれ」
「はい。分かりました」
リズリナさんはそう言うと、俺の隣に座った。
「リズリナは本当にエルライナの事が好きなのさ」
「はい! だって私達は、親友ですから!」
リズリナさんがドヤ顔で俺の身体に抱きついて来た。
しかもミュリーナさんの様に俺の胸を揉んで来た。
「ふ〜ん。親友なら、こんな事しても許してくれるよね?」
俺も負けじとリズリナさんの胸を、揉んで仕返しをする。
「ちょっ!?」
「そっちがその気なら、こっちもその気でやってやる! って事ですよ!」
恥ずかしそうな顔でこっちを見つめる姿に、その反応可愛いなぁ〜! と思いながら、揉みまくる!
「わ、私だって負けないんだからぁ〜っ!?」
そう言うと、片手で揉んでいたのを両手に切り替えて揉んで来た!
「ヒャンッ!?」
「フッフッフッ、可愛い声を出すなんて・・・・・・エルちゃん、もう降参かなぁ?」
「降参な訳ないじゃないですかぁ!」
その後も、リズリナさんと揉んだり揉まれたりと遊びを繰り広げる。
「ねぇエイミー。私達も混ざった方が良いかしら?」
「えっ!? 止めるんじゃないの?」
「いやだって、あんなに楽しそうにしているから、私も混ざりた・・・・・・遊びに付き合おうと思って」
「今混ざりたいって言わなかった?」
「言い掛けただけで、言ってはないわ」
言い掛けた。って事は、そう思ってると同じ事ですよ。ミュリーナさん!
「はいはい。二人共良い加減に止めるのさ」
アイーニャ様はそう言うと、俺を掴んで引き剥がした。
「ああ! 今良いところだったのに!」
「良いところもなにも、アタシ達の前でする事じゃないのさ。もし続きをやりたいのなら、ベッドの上でやるのさ!」
そうなってしまうと、遊びの域を脱している気がするんですけどぉ〜。
「その時は、アタシも呼んでくれると嬉しいのさ」
「断固拒否します! 元言い、そんな予定はありませんっ!!」
「私だったら、いつでもOKだよ」
「ミュリーナさん。思ってもない事を言わないでください」
てかそんな事をしたら、ラミュールさんが黙ってないでしょ!
「生前喰わねばなんとやら。エルライナ、今夜はチャンスなのさ」
「煽らないでくださいよ!」
てか、なんで俺の上着の中に手を突っ込んでいるんだよ! ミュリーナさん! それにリズリナさん! アイーニャ様に乗っかろうとしないでくださいっ!!
アイーニャ様の拘束から逃れようと、もがくが全く引き剥がせない。
「力強っ!?」
「そりゃあ、アタシは元冒険者で戦士だったから、力は強いのさ」
あ、そういう事ですか。
「まぁまぁ皆さん。落ち着いてください。エルライナも困っているのですから、この辺にしておきましょう」
おっ! ナイスフォローだよ! エイミーさん!!
「・・・・・・そう言えばエイミー。アナタだけ、蚊帳の外ねぇ〜」
「そうだねぇ〜。エイミーってば自分が被害に遭わない様に、ずっと空気感を出してたよねぇ〜」
「えっ!? そんな事はないわよ!」
そう言いながら、ミュリーナさん達から距離を取った。
「ふ〜ん。そう言いながら逃げるのねぇ〜」
「ホント、エイミーは卑怯なところがあるよねぇ〜」
遠かったのが裏目に出てしまったのか、二人は目を光らせながらエイミーさんにジリジリ近づいて行く。
俺からエイミーさんにターゲットが移ったみたいだ。
「ちょっ、ほら! あそこにエルライナがいるんだから! 遊んであげた方が良いんじゃない?」
ほう、俺を使ってエスケープゴーストをしようと言う魂胆ですか? それはそれで解せないな。
「いやいや、私達はエルライナと一緒に遊んだから、今度はエイミーアナタの番よ」
「そうだよ。偶にはこうやって遊ぶのも悪くないんだよぉ〜」
「いや、あのぉ〜・・・・・・私はそういうのは良いからさぁ」
俺の事をチラチラ見て助けて欲しそう顔をしているけど、そうはさせないよ。
「エイミーさん」
「なに、エルライナ?」
「偶にはこういった遊びも悪くはないですよ。だから、一緒に遊びましょうか」
そう言って、俺はエイミーさん胸に飛び込んだ。
「ちょっ!? エルライナ?」
「フッフッフッフッ! 観念してください!」
「ナイス、エルちゃん!」
「良し! エルライナの援護よ!」
「ちょっ、ま・・・・・・イヤァアアアアアアッ!?」
俺達は、エイミーさんと共に遊んだ。しかし、今更ながら気づいた事がある。本当の空気はバルデック公爵様だと。
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