34 青い大地を走る



セネはやっぱり恐ろしかった



今日もスライム ゴブリン退治に行かないようなので魔王に行きたいと必死で訴えた


するとセネが転移してくれたのだ


「セネちゃん おはよう スライムとゴブリン退治に連れて行ってくれるの?」


「そうにゃ 今日はスライム退治にゃん」


「へぇ~ 今日はスライムだけなのね 頑張る 毎日頑張ってレベル10になってみせる」


「大丈夫にゃ 今日でレベル10になれるにゃん」


「ほんと ありがとう セネちゃん よろしくね」


「まかせろにゃん」


セネが召喚した黒竜に乗って移動する


今日でレベル10かぁ~ 私も鑑定とアイテムボックスが使えるようになるのね


「もうすぐ着くにゃ 足を止めると死ぬにゃん」


「えっ どういうこと えっ スライム退治よね し 死ぬって」


下を見ると青い大地が……青い大地


「降りるにゃん」


いきなり セネが私を抱えて


「ちょっと やめて やめ きゃあああ~」


セネが黒竜から私を抱えたまま飛び降りたのだ


そして降ろされ背中を押された


「走るにゃ 頑張ってにゃん」


そう言ってセネは飛んでいる黒竜までジャンプした


私は剣を振りながら走った


とにかく走った


斬りながら走る


止まったらスライムに総攻撃されてしまう


どこに行ってもスライム スライム


走って斬る


くそっ 可愛い顔して悪魔かぁ~


走って斬る 斬る


「きゃっ」


スライムに体当たりをされてしまった


「きゃっ きゃっ」


更に


周りには無数のスライムが……


死ぬ


「にゃ 油断したらダメにゃん」


セネが飛び降りてきてスライムを蹴散らした


そしてポーションを飲ませてくれた


「あ ありがとう でも これ 無理よ 一面にスライムが」


「頑張るにゃん」


セネはそう言ってジャンプして上空の黒竜に飛び乗ってしまった


「えっ 続けるの」


鬼 悪魔 いやいや 今は集中して走らないと


走りながら斬る 


走る とにかく止まったら死ぬ


次々にスライムを倒しているけど……減った感じがしない


しかし 止まれない 休めない やるしかないのだ


1時間くらいたったのだろうか……


何度もセネに回復してもらいながら……300匹くらいは倒したと思うけど


「セネ~ まだなの~ 休憩~ ほんとうに死んじゃうよ~」


「にゃ」


セネが飛び降りてきてスライムを蹴散らした


「まだなの?」


「そうにゃ ……半分切ったにゃん」


「ええ~っ まだ半分も」


「大丈夫にゃ 今からお昼にゃん」


「えっ きゃっ」


セネが私を抱えて黒竜までジャンプした


死ぬかと思った これがまだ続くの……何としても阻止しないと


黒竜は魔物がいない場所まで移動して地面に降りた


「お昼にゃ 今日はドナの肉料理にゃん」


「ねぇ セネ レベル10になるのはもっと ゆっくりでもいいのよ」


「大丈夫にゃ まかせろにゃ 後2匹でレベル8にゃん」


「えっ 私がレベル8に 後何匹でレベル10に」


「たったの192匹にゃ すぐにゃん」


ええ あの中は無理 絶対無理よ


「もっと少ない場所に」


「ハンバーグ食べたら元気になるにゃ ドナのハンバーグは最強にゃん」


「これは……前にも食べたけど……セネちゃんの仲間が作ってるの?」


「そうにゃ 毎日 ドナかグニが作ってるにゃ エルフの料理は最強にゃん」


「エ エルフの料理だったの……確かに今まで食べた中でも美味しい料理ばかりだったけど……」


「幸せにゃ~」


セネの可愛い顔が笑顔で更に可愛くなっている


スライムの大軍の中に平気で放り込む悪魔だけど……今は抱きしめたくなる笑顔ね……私の妹になってくれないかな


1時間ほど休んだ セネから距離をとっていたが……抱えられて黒竜に……


そしてまたスライムの中に



こうなりゃ やけよ 早く終わらせるしかないのよ


「やあああああぁ~」


私は走りながら必死に剣を振った なるべく 横斬りで 走るコースを考えながら


走って 走って 斬って


走って 走って 斬って


とにかく頑張った



40分くらいたった時 いきなり魔王が飛び降りてきた


「きゃっ 何よ いきなり」


「にゃ 終わりにゃん」


セネも飛び降りてきてくれた

「えっ ほんとうに やっ きゃあああ~っ」


魔王がいきなり範囲魔法を放ち次々にスライムを倒していく


向かってきたスライムは一瞬で全滅


周辺には逃げ惑うスライム達が しかし障壁に阻まれて逃げることが出来ない


諦めて向かってきたスライム達はセネが斬り裂いていった


そして周辺には怯えているスライム達が……


魔王が何かをいった後 怯えていたスライム達 約200匹が集まってきた


「えっ 何 セネ 大丈夫なの?」


魔王が持っていた玉の中にスライムが消えていった


「えっ」


「タナトス様の部下になったにゃん」


「へぇ~ えっ もしかして 部下になったら この障壁から出られるの」


「そうにゃ~」


いいことを聞いたわ 部下のふりをして……


「もしかして 勇者すず様も……」


「そうにゃ でも 騙したにゃん」


「きゃっ」


笑顔だったセネがいきなり 私を睨んできた 私を殺そうとしているような目で……


恐い 恐い


その時 魔王がセネの横にきて何かを話した後 またいつもの顔に


恐かった……勇者すず様の話しはしない方がいいみたいね


……


「鑑定するにゃ」


セネがいつも通り話しかけてくれた


「そうね 鑑定」


鑑定 セネ 1200歳 暗殺者 レベル753


「えええ~ 出来たけど けど……セネ さんって1200歳なんですか?」


暗殺者ってのも気になるけど……


「そうにゃ セネでいいにゃん」


「う うん ありがとう セネ」


そうだ アイテムボックスも使えるのよね この盾を……


「あれっ アイテムボックスはあるけど……盾が入らないよ」


「レベルの大きさにゃ 数はレベルの2倍にゃん」


「レベルの大きさって?」


「1㎝×レベルの立方体にゃん」


「さすが セネね ありがとう」


今までだったら 誰も教えてくれなかったので混乱していたわね


「レベル10だから……10㎝の立方体が20個使えるのね……小さいわね」


「レベル上げれば問題ないにゃん」


「そうね セネは753㎝の立方体が1506個 何でも入りそうね」


「では いくにゃん」


黒竜がセネの指輪に戻り セネは転移していった


いきなり 帰るなんて……もっと……



そうだ


鑑定 あつし 100歳 勇者 レベル851


鑑定 タナトス 83歳 魔法戦士 レベル568


やっぱり勇者だったんだね 私の……


魔王は……タナトス……魔法戦士って魔王じゃないの? レベル高いと思うけど……セネよりも……


タナトス……あの? 同じ名前の人なんて沢山いるわよね……初代の伝説の勇者の仲間は……獅子族や猫人族……


……


考えていたら魔王が指輪を渡してきた


そして魔王が転移し 私達も転移した


すぐにおじいさんと魔王は稽古を始めた


私の勇者様……私の敵は……ええい 考えても わからない 素振りよ 素振り まずは魔王よりも強くなってからね 倒すか考えるのはそれからよ


私も稽古に参加した

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