第26話 エリクサー


俺がこの城に戻ってきて 30日がたった


3人で稽古をしていたのだか……


どうも あつしの様子がおかしい


イリスもその様子に気付いたようで心配しているようだ


あつしは咳をし そして血を吐いた


どうした……そうか 人族の寿命は通常は100歳


たしか 100歳になってから30日が寿命だったはず……


この世界の人族の寿命はそのように設定されているのだ


もし出会った時に100歳になったのなら 設定通りに今日が寿命


どうする 殺すか あつしを殺せば イリスも楽に殺せるが……


しかし……


俺はアイテムボックスからエリクサーを取りだし あつしに渡した


俺には出来なかった……


あつしがエリクサーを飲み若さを選んだようだ


エリクサーを飲むと寿命を10年延ばすことが出来る 見た目も若くしたい場合は10歳若くなることが出来る


……あまり姿に変化はないようだが……


あつしが俺に礼でも言ってるのかと思ったがどうやら違うようだ


もっと欲しいらしい


部下に頼めばすぐに大量に手に入るが……そこまでする義理はない


とりあえず ジェスチャーでないと伝えた


物凄くがっかりした顔に……


そんなに欲しいのなら……


もしかしたら 死んだ者のアイテムボックスの中身の取り出し方を知らないのか……


強いがどうも……


俺は勇者を墓に連れて行き アイテムボックスの取り出し方を教えることにした


死んだ者のアイテムボックスの中身を取り出すためには 死体を完全に消滅させればいいのだ


俺は墓から勇者の死体を取り出し炎で焼き付くした


するといきなり当たりが出た


俺はエリクサーを拾い あつしに渡した


あつしは喜んでいたが……イリスは何か文句でも言っているようだ


勇者の仲間の死体も燃やし尽くしたがエリクサーはなかった


しかし装備品 アイテム 食料等大量に手に入ったので あつしと2人で分けた



数日後 勇者のパーティーが俺を倒しにやって来た


「はぁ 外れか」


鑑定したら レベルが200前後だった


こいつらでは 稽古にもならない


俺はあつしの動きを思い出しながら剣を振った


相手が弱かったので一瞬で戦いは終わってしまった


今の俺の動きはどうだっただろう……あつしに評価して欲しいのだが……


言葉が通じないのは不便である


勇者のパーティーからアイテムを取り出したが外れだった


エリクサーは人族には貴重な物なので 全ての勇者が持っているわけではないが……ちょっとがっかりした


すぐに稽古を再開することにした


休憩中 あつしがジェスチャーし出した


外に?


外に出ても何もないが……


この国の住民は皆殺しにしたので 外に出ても何もないのだ


他の勇者の力も感じない……勇者以外がこの国に入って来たら 俺の部下が皆殺しにしているので誰もいないはず


外に出ても無駄なので 俺は拒否した


あつしもイリスも不満な顔をしているが……


言葉が通じれば……



城で3人で行動する生活が続く


朝食を食べているとガウから通信が入った


それなりに強い勇者のパーティーが城に向かっていると


楽しみに待っていると 平均レベル500くらいの強い勇者のパーティーだった


お互いに戦闘体勢に入った


勇者はいきなり雷魔法を使ってきた


俺は魔法防御が高いがなかなかの威力だ


更に勇者の仲間が火の魔法と水の魔法で炎の鳥と氷の鳥を作り俺に放ってきた


炎の鳥と氷の鳥は風魔法で軌道が変わり俺の左右から向かってきた


このパーティーはかなり戦いなれているようだ


俺は嬉しくなった


魔法に耐えるために動きの止まった俺に 勇者と戦士2が斬りかかってくる


更に俺の足元が氷ついた


俺は勇者の攻撃を剣で捌き 戦士2人の攻撃は受けることにした


しかし またあつしに邪魔をされてしまった


俺の足元の氷は溶かされ 俺は風魔法で飛ばされたのだ


俺が立ち上がった時には勇者のパーティーは倒れていた


勇者は一瞬で大道を寸断されて混乱している


凄すぎる……


俺が止めをさそうとしたら あつしが俺の動きを止めた


「どういうことだ」


聞いたが伝わらない


あつしは勇者達にジェスチャーで離れるように指示しだした


何がしたいのか……


勇者達は障壁に阻まれ混乱し出した


俺が呪われていることを知らなかったのか……


魔王は逃げられない と言うのは常識だと思うが……


勇者達はかなり混乱している……あつしは何か考え事をしていて見ていない……


俺は走って勇者達に近づき背中から次々に斬りつけた


後1人というところで 俺の剣をあつしが止めた


「何がしたい」


やはり通じない まさか この勇者も俺達と一緒に生活するのか……


勇者も俺に何か言っているようだが……


やはりわからない


とりあえず 離れろのジェスチャーは解ったので 俺はそれにしたがった


本当に何がしたいのやら……


しばらくしたら勇者のほうから俺に向かってきた


何かを叫びながら剣を構えて走って……


しかし あつしに大道を寸断されているので動きが鈍い


「ザシュッ」


俺は軽くかわし かわしざまに首を跳ねた


あつしに大道を寸断されて外傷はないといっても 短時間で回復するはずがないのだ


仲間が死んで我を忘れていたのだろう 未熟な


本気で最後まで戦ってみたかったが……


勇者達を燃やし尽くすと


当たりが出た


エリクサーが2つも


あつしに渡すと嬉しそうな顔で受けとり2本を飲んだ


それを見ていた イリスはあつしを軽蔑した目で見ていた……



数日後 朝早くから通信が入った


2組の勇者のパーティーが城に向かっていると


朝早いので面倒だが 手出しせずに通せと伝えた


装備して待っていると……外れだった


レベルが6人とも200未熟だったのだ


朝早くきてこのレベル


俺は向かってきた勇者達の血がベットにかからないように注意しながら戦った


もう1組のパーティーは無謀にもあつしに向かっていった


俺が5人を倒すと最後の1人が叫びながら逃げ出した


すぐに追うと5メートル距離をあけられ剣が届かなくなるので障壁で止まって混乱するまで待った


俺が近づいた時には混乱して立ち尽くしていた


「ザシュッ」


弱すぎる


あつしのほうを見ると……


精霊と何かを話していた


あの精霊はどこかで……


鑑定するとラーマ 735歳 精霊 レベル521


ラーマ……ラーマ……誰だったか……


735歳……ラーマ……そうか 転生勇者ラーマか


死んで精霊に転生……それなら年齢が違うか……


あつしと話が終わるまで待つか


ラーマが振り返り 俺とイリスを見て何かを呟いた


しかし すぐにあつしと話を再開しだした


しばらく待っていると……


ラーマが薄くなり消えてしまった


「あっ」


割り込むべきだったか……


ラーマなら魔族語も出来たはず……


「パリンッ」


地面に転がっていた玉が粉々になってしまった

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