魔王視点

第21話 敗北

「ごめんなさい 約束を破るつもりはなかったけど……ごめんなさい……」


勇者すずが剣を構えた


「実力がわからないのか」


「わかっているは 私ではあなたに勝てないということは」


「では なぜ」


「ごめんなさい お願い 戦って」


「2度目だ 情けはかけない 死んでもらうぞ」


「ええ 全力でお願い 私は命をかけるから」


「そうか……残念だ」


俺は剣を構えた


勇者すずは強かった


初めて戦った時よりも ずっと


剣も魔法も強くなっていた


ここまで強くなるとは……あれから21年か……


しかし 俺の敵ではなかった


……


勇者すずが盾を手放し 斬りかかってきた


しかしなげやりな攻撃 隙だらけの……


俺は迷わずに勇者すずの心臓に剣を突き刺した


「哀れな」


実力がわかっていてなぜ……


次の瞬間


「ぐわっ 貴様」


勇者すずの剣が俺の胸に


己の身を犠牲にして隙を作り 相討ちを狙っていたのか……


「なぜ ここまでして」


「ごめんなさい 息子が……私の子供が人質に」


「なっ」


「アデル」


勇者すずが呟いた瞬間 俺の胸に突き刺さった剣が真っ赤な炎を纏う


「ぐわああああああ~」


俺の身体の内部を焼く炎


俺の大道は炎で傷付き俺は片足をついた


「ごめんなさい 私と一緒に死んで 本当にごめんなさい」


勇者すずは涙を流し……息を引き取った


勇者すずの身体から淡い光が


息子を守るためか……


俺は精霊玉を取りだし 勇者すずの魂を吸い込んだ



「タナトス様」


「ガウか」


「すみません 勇者の足止めにあい 他の者達も勇者達に足止めされているようです」


「そうか……俺は助からないだろう」


「そんな」


「心配するな すぐに転生する それより時間がないので聞いてくれ ガウ おまえが指揮をとり この地を捨て 全住民を逃がせ それぞれの国まで 女 子供を先に しんがりはアモネにまかせろ いいな」


「わかりました 無念です」


「それから 落ちついたら この精霊玉を勇者すずの息子に届けてくれ」


「しかし それは……」


「頼む」


「わ わかりました 必ず」


「ふっ そうだ これだけの血があるなら」


俺は勇者すずの剣に自分の血を吸い込ませていく


真っ赤な炎の剣は黒く染まる


剣が黒く染まり黒い炎を纏う


漆黒の刀身 黒炎の剣 レーヴァティン


「ガウ これを持っていけ そして魔王はすぐに復活すると 強い魔王がいなくなると必ず種族間の争いがまた始まるだろう」


「私がそんなことを起こさせません タナトス様が戻るまでは この剣を旗印にいたします」


「頼んだぞ」


「お願いが1つ 人族を滅ぼす許可をください」


「だめだ」


「しかし それでは 仲間達に示しが……」


「全ての種族が平和に……理想だとはわかっている……俺の野望を邪魔するというのか」


「すみません しかし」


「そうだな……今攻め込んできている兵士達 そして俺が復活したら この地にいる人族を皆殺しにするというのはどうだ」


「わかりました それで説得してみます タナトスの野望 我ら10臣の望みでもあります」


「まかせた」


力が抜けていく……これが死か……


ガウの叫び声が 仲間達の叫び声が聞こえる


……

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