センゴクロック ─ 戦国世界に音楽を届けます

こげにく

suburban home

 日本の南にある地方都市。

 いやいや、どう見たってド田舎だろうよ。

 その町の郊外にぽつんと建ってるガレージが俺の仕事場だ。


 よその街での暮らしに見切りをつけ、2年前に戻ってきた生まれ故郷。


 部屋の真ん中には使い込まれたドラムセットとアンプがどっしり陣取り、入口には【mukade records】と書かれたプレートが下がっている。


 俺はかつて音楽をやって生計を立てるバンドマンだった。

 今でも音楽への情熱は変わらないが、田舎暮らしでその向き合い方は大きく変わった。

 個人事業を営む傍らで海外のバンドや国内でも主に地方で活動するミュージシャンを紹介する自主レーベルも始めた。


 レーベルっていうと大袈裟だが、海外のバンドとコンタクトを取り彼らの作品を国内盤としてリリースしたり、時々あるツアーのサポートやスタジオ兼事務所でレコーディングの手伝いをしてるくらいのもんだ。


 だがこんな俺を頼って連絡をくれる人達もいるし、地元の仕事もちょこちょこ貰いながらそれなりに忙しく過ごしている。

 ライブハウスというにはちょっと狭めだが、カフェ兼ガレージといった雰囲気の店舗で自主企画のライブをすることもある。

 田舎の郊外なんでそのくらいのスペースなら確保できる。


 音楽業界は不況続きでこの田舎で経営なんて正直厳しいけど、海外じゃ地方で生まれたロックミュージックが世界を席巻することだってあるんだ。

 そんなわけで俺は今の暮らしにそこそこ満足している。


 ああ、それから最後にひとつ。


 月に一度決まってやるライブ業務があって、これはmukade recordsにしかできない特別な企画になっている。


 まだまだ世界は広い。

 人々がまだ聞いたことのない最高の演奏を届けるために、俺はまたドアを開けるんだ。

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