　鐘楼の鐘が鳴り響く中、ミストルティンに次々と鋼殻兵（クルーガー）が落着した。

　混乱の極致に陥った郊外の難民キャンプでは、駆けつけた樹士団の樹械兵（ドライアード）が鋼殻兵（クルーガー）を迎え撃つが、数の差を埋めることができず劣勢に立たされる。

　そんな状況の中を、デイジーはノーチェとイノリを伴って逃げ惑った。しかし、その行く手を、ほどなく鋼殻兵（クルーガー）に阻まれる。

　巨大な鋏脚を振り上げる鋼殻兵（クルーガー）の前で、デイジーは、ノーチェとイノリを庇うようにうずくまった。

　しかし、待てど暮らせど、デイジーたちに鋼殻兵（クルーガー）の鋏脚は届かない。恐る恐る顔を上げたデイジーの瞳に、苔に覆われた一体のセコイアデンドロンが、掴み上げた鋼殻兵（クルーガー）を腕に備えた電磁刺突器で刺し貫く様子が映った。

　呆気に取られるデイジーたちの周囲を、無数のコロッポが乱舞する。支天樹の森へと向かったコロッポたちは、森のそこかしこに遺棄されていたコックピットのない樹械兵（ドライアード）に吸い込まれた。

　コロッポを身に宿したコックピットのない樹械兵（ドライアード）――無人樹械兵（ソーラドライアード）は、土砂や樹木の蔓を突き崩しながら、ゆっくりと立ち上がった。

　やがて、支天樹の森から溢れ出した数え切れないほどの無人樹械兵（ソーラドライアード）は、統率された無駄のない動きで、鋼殻兵（クルーガー）を次々と屠っていった。

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